[PD059] 小学生の他者感情の理解に関する研究(9)
小学校3年生時と小学校6年生時の比較
キーワード:他者感情, 理解, 小学生
1.目 的
本研究の目的は,独自作成の「他者感情の理解を測定するためのテスト」を用いて,小学校3年生時と小学校6年生時の正答に関する比較を行うことである。
2.方 法
1)対象児
公立小学校1校の通常の教育課程の3学級に在籍する小学校3年生と小学校6年生であった。これの対象児は,「2007年度に小学校3年生で2010年度に小学校6年生であった群」と「2011年度に小学校3年生で2014年度に小学校6年生であった群」で構成されていた。
2)他者感情の理解を測定するためのテスト
衛藤(2005)の研究において用いたものと同様のものが使用された。質問紙は,表紙及び問題12問の計13枚の構成であり,A4用紙に印刷され,左上1箇所が綴じられていた。問題1問は,「問題文」1つと「解答のための選択肢文」3つから構成されている。
問題文は縦書きで,1問の字数は40字程度であった。1つの問題文の中には,基本的感情6種類(「怒り」,「驚き」,「悲しみ」,「嫌悪」,「喜び」,「恐れ」)を表す言動や行動のいずれか1つが含まれ,傍線が引かれている。12問の問題文のうち,6問は「ごんぎつね(新見南吉,あすなろ書房)」の中の文であり,6問は衛藤(2005)によって「独自作成」された文である。これらは,ランダムに並べられた。
解答のための選択肢文は縦書きで,1つの選択肢の字数は20字程度であった。感情生起の理由と直接感情語(「おこる」,「おどろく」,「さみしい」,「いやだ」「うれしい」,「こわい」)がそれぞれの文に含まれている。回答の方式は,三者択一であり,問題文に対する正しい感情を含む選択肢の記号に丸をつける方法が用いられた。
3)手続き
対象児童は,問題文を読んだ後,傍線が引かれている部分に含まれる感情に関して,適切なものを選ぶことが求められた。
4)結果の分析方法
全問正解者数が,全体の人数に占める割合を「通過率」,全正答数が,全問題数に占める割合を「正答率」,各感情別の全正答数が,各感情の全問題数に占める割合を「各感情別の正答率」として算出した。
3.結 果
「2007年度に小学校3年生で2010年度に小学校6年生であった群」と「2011年度に小学校3年生で2014年度に小学校6年生であった群」の通過率をTable 1に,正答率をTable 2に示した。
次に,各感情別の正答率に関して,「2007年度に小学校3年生で2010年度に小学校6年生であった群」をTable 3に,「2011年度に小学校3年生で2014年度に小学校6年生であった群」をTable 4に示した。
小学校3年生時から6年生までの3年間で,最も正答率が上昇した感情は両群とも「怒り」であり,「嫌悪」に関しては3年生時・6年生時とも最も正答率が低かった。
本研究の目的は,独自作成の「他者感情の理解を測定するためのテスト」を用いて,小学校3年生時と小学校6年生時の正答に関する比較を行うことである。
2.方 法
1)対象児
公立小学校1校の通常の教育課程の3学級に在籍する小学校3年生と小学校6年生であった。これの対象児は,「2007年度に小学校3年生で2010年度に小学校6年生であった群」と「2011年度に小学校3年生で2014年度に小学校6年生であった群」で構成されていた。
2)他者感情の理解を測定するためのテスト
衛藤(2005)の研究において用いたものと同様のものが使用された。質問紙は,表紙及び問題12問の計13枚の構成であり,A4用紙に印刷され,左上1箇所が綴じられていた。問題1問は,「問題文」1つと「解答のための選択肢文」3つから構成されている。
問題文は縦書きで,1問の字数は40字程度であった。1つの問題文の中には,基本的感情6種類(「怒り」,「驚き」,「悲しみ」,「嫌悪」,「喜び」,「恐れ」)を表す言動や行動のいずれか1つが含まれ,傍線が引かれている。12問の問題文のうち,6問は「ごんぎつね(新見南吉,あすなろ書房)」の中の文であり,6問は衛藤(2005)によって「独自作成」された文である。これらは,ランダムに並べられた。
解答のための選択肢文は縦書きで,1つの選択肢の字数は20字程度であった。感情生起の理由と直接感情語(「おこる」,「おどろく」,「さみしい」,「いやだ」「うれしい」,「こわい」)がそれぞれの文に含まれている。回答の方式は,三者択一であり,問題文に対する正しい感情を含む選択肢の記号に丸をつける方法が用いられた。
3)手続き
対象児童は,問題文を読んだ後,傍線が引かれている部分に含まれる感情に関して,適切なものを選ぶことが求められた。
4)結果の分析方法
全問正解者数が,全体の人数に占める割合を「通過率」,全正答数が,全問題数に占める割合を「正答率」,各感情別の全正答数が,各感情の全問題数に占める割合を「各感情別の正答率」として算出した。
3.結 果
「2007年度に小学校3年生で2010年度に小学校6年生であった群」と「2011年度に小学校3年生で2014年度に小学校6年生であった群」の通過率をTable 1に,正答率をTable 2に示した。
次に,各感情別の正答率に関して,「2007年度に小学校3年生で2010年度に小学校6年生であった群」をTable 3に,「2011年度に小学校3年生で2014年度に小学校6年生であった群」をTable 4に示した。
小学校3年生時から6年生までの3年間で,最も正答率が上昇した感情は両群とも「怒り」であり,「嫌悪」に関しては3年生時・6年生時とも最も正答率が低かった。