[PE006] 小学校教師が求める援助(2)
援助欲求と援助必要度が援助者への役割期待に与える影響プロセスの検討
キーワード:小学校教師, 援助ニーズ, 援助者への役割期待
問題と目的
筆者らは研究⑴で,小学校教師の援助ニーズを測定する尺度を構成し,3援助者(SC,SSW,Co)への役割期待を比較したところ,援助者間で相違が認められた。そこで研究⑵においては,小学校教師の援助欲求と援助必要度が3援助者への役割期待に与える影響性について検討する。その際,原岡(1990)の指摘を参考に,教師の役割意識をも加味して分析する。
方法
調査時期・調査対象:研究⑴参照。
調査内容:①援助必要度,援助者への役割期待:研究⑴参照。②援助欲求:田村・石隈(2001)を参考に4項目を作成。③教師役割意識:原岡(1990)による教師の役割意識項目(10項目)のうち,教科指導,学級運営,相談助言,保護者・地域対応という4つの観点から4項目を選択し,修正を加え使用した。
②と③は4.そう思う~1.そう思わない,の4段階評定
結果と考察
はじめに,援助欲求と教師役割意識の項目に対して,主成分分析を行ったところ,援助欲求については,1因子性が確認された。教師役割意識については,2次元の尺度であることが示された。教師役割意識の第一主成分を“従来的教師役割”と,第二主成分を“積極的教師役割”と命名した。
援助欲求および援助必要度がSC,SSW,Coへの役割期待に与える影響性の違いについて検討を行うため,援助欲求が援助必要度に影響を与え,それが役割期待に至るという因果モデルを想定した。このモデルにそって,SC,SSW,CoごとにSEMによるパス解析を行った。
SCについては(Figure1),教師が援助欲求をもつことで,援助必要度を高め,それがSCの役割期待へとつながるという結果となった。また,従来的教師役割意識も役割期待へと影響を与えていた。一方,積極的役割意識は,SCへの役割期待に直接影響をおよぼしていなかったが,援助欲求と援助必要度を媒介して役割期待に至っていた。
SSWについては(Figure2),援助欲求が援助必要度を高めるが,その影響性が役割期待にまで直接至っていないという結果となった。援助欲求,援助必要度を媒介しての教師役割意識の影響性も認められなかった。援助必要度がSSWの役割期待に直接影響を与えないことについて,目の前に顕在化している問題の背後にある環境的側面にアプローチするSSWの特性上,役割期待へとすぐに直結しないのは妥当な結果と考えられた。
Coについては(Figure3),SCと同様,援助欲求が援助必要度に影響を与え,それが役割期待へとつながる可能性が示唆された。しかし,従来的教師役割はCoの役割期待に影響を与えていなかった。
本研究の結果,援助者によって役割期待に至るプロセスに相違がみられることが示唆された。これらは教師と協働する際の一助となる可能性がある。
筆者らは研究⑴で,小学校教師の援助ニーズを測定する尺度を構成し,3援助者(SC,SSW,Co)への役割期待を比較したところ,援助者間で相違が認められた。そこで研究⑵においては,小学校教師の援助欲求と援助必要度が3援助者への役割期待に与える影響性について検討する。その際,原岡(1990)の指摘を参考に,教師の役割意識をも加味して分析する。
方法
調査時期・調査対象:研究⑴参照。
調査内容:①援助必要度,援助者への役割期待:研究⑴参照。②援助欲求:田村・石隈(2001)を参考に4項目を作成。③教師役割意識:原岡(1990)による教師の役割意識項目(10項目)のうち,教科指導,学級運営,相談助言,保護者・地域対応という4つの観点から4項目を選択し,修正を加え使用した。
②と③は4.そう思う~1.そう思わない,の4段階評定
結果と考察
はじめに,援助欲求と教師役割意識の項目に対して,主成分分析を行ったところ,援助欲求については,1因子性が確認された。教師役割意識については,2次元の尺度であることが示された。教師役割意識の第一主成分を“従来的教師役割”と,第二主成分を“積極的教師役割”と命名した。
援助欲求および援助必要度がSC,SSW,Coへの役割期待に与える影響性の違いについて検討を行うため,援助欲求が援助必要度に影響を与え,それが役割期待に至るという因果モデルを想定した。このモデルにそって,SC,SSW,CoごとにSEMによるパス解析を行った。
SCについては(Figure1),教師が援助欲求をもつことで,援助必要度を高め,それがSCの役割期待へとつながるという結果となった。また,従来的教師役割意識も役割期待へと影響を与えていた。一方,積極的役割意識は,SCへの役割期待に直接影響をおよぼしていなかったが,援助欲求と援助必要度を媒介して役割期待に至っていた。
SSWについては(Figure2),援助欲求が援助必要度を高めるが,その影響性が役割期待にまで直接至っていないという結果となった。援助欲求,援助必要度を媒介しての教師役割意識の影響性も認められなかった。援助必要度がSSWの役割期待に直接影響を与えないことについて,目の前に顕在化している問題の背後にある環境的側面にアプローチするSSWの特性上,役割期待へとすぐに直結しないのは妥当な結果と考えられた。
Coについては(Figure3),SCと同様,援助欲求が援助必要度に影響を与え,それが役割期待へとつながる可能性が示唆された。しかし,従来的教師役割はCoの役割期待に影響を与えていなかった。
本研究の結果,援助者によって役割期待に至るプロセスに相違がみられることが示唆された。これらは教師と協働する際の一助となる可能性がある。