日本教育心理学会第57回総会

講演情報

ポスター発表

ポスター発表 PE

2015年8月27日(木) 13:30 〜 15:30 メインホールA (2階)

[PE015] 幼小連携において小学校参観が保育者に与える影響

池田明子1, 井上弥2 (1.広島大学附属三原幼稚園, 2.広島大学大学院教育学研究科)

キーワード:幼小連携, 幼稚園教師の小学校参観

目 的
幼稚園教育要領や学習指導要領の中では,幼小連携に関して相互に留意する旨が規定されている。本園は小学校及び中学校と同一敷地内にあり,幼小中一貫教育研究を進めている。子ども同士の交流は指導計画に位置づき,めざす子どもの姿に向けて幼小中12年間の一貫した教育活動が実施されている。しかし,幼小の接続期に焦点化して研究を進めるにはいたっていない。そこで,今回は幼小連携において保育者が改めて接続を意識しながら小学校を参観することで,保育者に与える影響を明らかにすることを目的とする。
方 法
調査対象:新任保育者2名・熟達保育者3名
実施計画:2013年1月に小学校1年生図画工作科及び音楽科の授業を参観し,その後質問紙調査を実施する。質問紙項目の内容は「授業について“なるほど”と思った点」「授業について“はてな”と思った点」「保育の特徴について再認識した点」「保育について課題として再認識した点」の4点である。
結果と考察
保育者が小学校授業を参観した後の質問紙調査をまとめた結果,以下の3点が分かった。1点目は,幼小の目立つ共通点・相違点は新任保育者と熟達保育者とも気づきを述べているということである。具体的には,「導入」「教材・環境」「指示・言葉がけ」である。2点目は,幼小の目立たない共通点・相違点は熟達保育者が気づきを述べているということである。具体的には,「教材・環境」「支援・かかわり」である。3点目は,幼小連携において「教材・環境」のとらえ方が共通点・相違点ともに多様であるということである。
特に,時間や空間の制約が大きい小学校を参観すると,保育者は新任・熟達ともに幼稚園の教材・環境の自由度の高さを再認識している。一方,熟達保育者は,教材・環境の基礎的な使い方や特徴を生かしたこまやかな生かし方について,幼稚園の特徴としてあるいは課題として再認識している。以上のことから,小学校参観を通して幼小の共通点・相違点を明らかにし,幼稚園の特徴や課題について保育者がカンファレンスで高めていくことで,更なる連携の内容の深まりが期待される。