The 57th meeting of the Japanese association of educational psychology

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ポスター発表

ポスター発表 PE

Thu. Aug 27, 2015 1:30 PM - 3:30 PM メインホールA (2階)

[PE017] 学習方略と学習動機および自己効力感との関連

井上毅1, 加藤智美#2 (1.滋賀大学, 2.滋賀大学)

Keywords:学習方略, 学習動機, 自己効力感

現在の学校教育の目標として,自ら学ぶ子どもの育成があげられているが,子どもの自己学習力を伸ばすには,効果的な学習方略を使用できるか否かという点が重要になってくる。学習方略とは,「学習の効果を高めることをめざして意図的に行なう心的操作あるいは活動」と定義されている(辰野,1997)。学習方略の使用には,様々な要因が関係しているだろうと思われており,例えば,井上・彌永(2013)では学習観や認知スタイルとの関連が明らかにされている。これらの他に,達成目標や自己効力感,原因帰属などと学習方略との関連が指摘されている。
本研究では,学習方略と学習動機,自己効力感との関連を検討することを目的とする。幅広い観点からの学習方略を取り上げ,市川(1995;1998)の2要因モデル学習動機,特性的自己効力感,学習の自己効力感との関連を調べる。
方法
[調査対象者]滋賀大学教育学部の大学生85名(男子33名,女子52名)。
[質問紙]1)学習方略使用尺度:佐藤・新井(1998)によるもので,柔軟的方略とプランニング方略の使用を測定するメタ認知的方略尺度14項目と,作業方略と友人リソース方略と認知的方略の使用を測定する認知・リソース方略尺度17項目からなる。2)学習動機尺度:市川(1995; 1998)によるもので,学習内容の重要性と学習の功利性の2要因6志向を測定する36項目からなる。3)特性的自己効力感尺度:成田・下仲他(1995)によるもので,1因子10項目からなる。4)学習の自己効力感尺度:伊藤・神藤(2003)によるもので,学業一般に関する自己効力感を測定する4項目からなる。
[手続き]授業時に,質問紙調査を実施した。
結果と考察
各学習方略と学習動機の各志向,自己効力感,学習の自己効力感との相関係数を求めた結果,Table1のようになった。
学習内容の重要性を重視する充実志向・訓練志向・実用志向と,柔軟的方略・プランニング方略・認知的方略といった学習に有効な学習方略との間に相関が認められた。一方,学習内容の重要性を軽視する関係志向・自尊志向・報酬志向は,あまり学習方略とは相関が認められず,関係志向と友人リソース方略・認知的方略との間に弱い相関がみられた程度である。また,学習の自己効力感は柔軟的方略・認知的方略との相関がみられたが,特性的自己効力感は,柔軟的方略・プランニング方略・作業方略・認知的方略との間に,より強い相関が認められている。
学習に有効な学習方略の使用を促すには,教師が,学習内容を重要視する動機づけを促し,自己効力感を高めるような学習活動を進めていくことが必要なのかもしれない。