[PE021] 地域スポーツのコーチの喜びと困惑
チーム・スポーツのコーチ対象の予備調査
Keywords:地域スポーツ, コーチング
地域スポーツとは,放課後や休日に学校活動とは別に地域の子どもたちを集めて運営されているスポーツ集団を指す。その特徴は,学生あるいは社会人のボランティア指導に支えられた任意の組織であること,入団テストや退団勧告がないこと,ほぼ同じ小学校に通う顔見知りの子どもたちで構成されることである(永井,2004)。本研究では,地域スポーツの持つ可能性と問題点を明らかにするため,地域スポーツのコーチがどのような経験を持ち,どのような指導を行っていて,どのような問題を抱えてしているのかに関し,予備調査的に検討した。
方 法
手続き インターネット調査会社に委託して実施。
回答者 全国の小学生対象の地域スポーツのコーチを1年以上つとめた経験があり,その種目が野球・バスケットボール・サッカー・バレーボールのいずれかで,コーチとしての報酬が月額5万円以下である148名(男性128名,女性20名)。年齢は18~67歳(平均41.0歳,標準偏差13.1歳)で,種目による差は認められなかった。職業は,会社勤務53.3%,公務員等9.3%,パート・アルバイト9.3%,学生8.0%であった。
また,コーチ経験年数は1~30年で,平均は5.44年(標準偏差4.79年)で,種目差は認められなかった。約半数(55.3%)は実子がそのチームに所属していたことがあると回答した。その種目のコーチ資格,スポーツ指導員,体育の教員免許等小学生のスポーツ指導に関する資格の保持率は13.5%だった。
質問項目 種目,練習頻度,コーチによる収入,実子所属の有無等を尋ねた後,コーチを行う上での工夫や心がけ,指導する中での喜びややりがい,指導する中での困ったこと,ジュニア期のコーチの問題点について,自由記述で回答を求めた。
さらに,コーチを務めているチームの技術レベルを以下の5段階評価で尋ねた:全国大会出場(1.3%),地方大会出場(12.5%),都道府県大会出場(16.4%),地区大会出場(48.7%),それ以下(18.4%)。分析は都道府県大会出場以上の三つはまとめて行った。
結果と考察
まず,コーチを行う上での工夫・心がけについては,全体的に,肯定的なコミュニケーション(褒める,楽しい雰囲気で等)と安全性への配慮(怪我をしないように,成長期の体への負担を考えて等)が多く挙げられた。実子の所属による差は見られなかった一方,チームの競技レベルが高いほど肯定的で個別化したコミュニケーションを挙げ,安全性を挙げなかった。
次に,喜びややりがいを感じる状況については,実子の所属による差が少し見られた。全体的に子どもの成長・上達(うまくなった,練習に積極的になったと感じて等)が多く挙げられ,次にチームの勝利・試合内容(勝利,勝った時の笑顔,素晴らしいチームプレー等),子どもの楽しさ・元気さ(笑顔,生き生きとした様子等)が挙げられていたが,実子が所属しているコーチは楽しさ・元気さを多く喜びややりがいとしてより挙げ,実子が所属していないコーチは子どもの成長・上達をより挙げた。
さらに,困ったと感じる状況については(表),人間関係:対親(親からの文句や干渉,熱心すぎる親,応援に来ない親等)と子どもの性格・特性(わがまま,真剣みが足りない等)が多く挙げられていた。実子の所属による差が見られ,実子の所属有のコーチは,対親を含めた人間関係と,物理的な状況(朝早い,寒い時等)をより挙げ,無のコーチは,子どもの性格特性とコミュニケーション方法(怒らなくてはいけない時,うまく伝わっていない時等)をより挙げていた。
地域スポーツのコーチの生の声を聴くことができた点が本研究の成果であろう。量的調査により変数同士の関係性を検討し,良いコーチ像についてのモデルを立てることが今後の課題である。
方 法
手続き インターネット調査会社に委託して実施。
回答者 全国の小学生対象の地域スポーツのコーチを1年以上つとめた経験があり,その種目が野球・バスケットボール・サッカー・バレーボールのいずれかで,コーチとしての報酬が月額5万円以下である148名(男性128名,女性20名)。年齢は18~67歳(平均41.0歳,標準偏差13.1歳)で,種目による差は認められなかった。職業は,会社勤務53.3%,公務員等9.3%,パート・アルバイト9.3%,学生8.0%であった。
また,コーチ経験年数は1~30年で,平均は5.44年(標準偏差4.79年)で,種目差は認められなかった。約半数(55.3%)は実子がそのチームに所属していたことがあると回答した。その種目のコーチ資格,スポーツ指導員,体育の教員免許等小学生のスポーツ指導に関する資格の保持率は13.5%だった。
質問項目 種目,練習頻度,コーチによる収入,実子所属の有無等を尋ねた後,コーチを行う上での工夫や心がけ,指導する中での喜びややりがい,指導する中での困ったこと,ジュニア期のコーチの問題点について,自由記述で回答を求めた。
さらに,コーチを務めているチームの技術レベルを以下の5段階評価で尋ねた:全国大会出場(1.3%),地方大会出場(12.5%),都道府県大会出場(16.4%),地区大会出場(48.7%),それ以下(18.4%)。分析は都道府県大会出場以上の三つはまとめて行った。
結果と考察
まず,コーチを行う上での工夫・心がけについては,全体的に,肯定的なコミュニケーション(褒める,楽しい雰囲気で等)と安全性への配慮(怪我をしないように,成長期の体への負担を考えて等)が多く挙げられた。実子の所属による差は見られなかった一方,チームの競技レベルが高いほど肯定的で個別化したコミュニケーションを挙げ,安全性を挙げなかった。
次に,喜びややりがいを感じる状況については,実子の所属による差が少し見られた。全体的に子どもの成長・上達(うまくなった,練習に積極的になったと感じて等)が多く挙げられ,次にチームの勝利・試合内容(勝利,勝った時の笑顔,素晴らしいチームプレー等),子どもの楽しさ・元気さ(笑顔,生き生きとした様子等)が挙げられていたが,実子が所属しているコーチは楽しさ・元気さを多く喜びややりがいとしてより挙げ,実子が所属していないコーチは子どもの成長・上達をより挙げた。
さらに,困ったと感じる状況については(表),人間関係:対親(親からの文句や干渉,熱心すぎる親,応援に来ない親等)と子どもの性格・特性(わがまま,真剣みが足りない等)が多く挙げられていた。実子の所属による差が見られ,実子の所属有のコーチは,対親を含めた人間関係と,物理的な状況(朝早い,寒い時等)をより挙げ,無のコーチは,子どもの性格特性とコミュニケーション方法(怒らなくてはいけない時,うまく伝わっていない時等)をより挙げていた。
地域スポーツのコーチの生の声を聴くことができた点が本研究の成果であろう。量的調査により変数同士の関係性を検討し,良いコーチ像についてのモデルを立てることが今後の課題である。