[PE041] ブレインライティング法に基づく創造性育成技法の検討
拡散的思考練習と収束的思考練習
Keywords:創造性育成技法, ブレインライティング法, 拡散的思考
目 的
林(2012a)では,創造性を育成するための手法の1つであるブレインライティング法を用いた授業では創造性が量的に向上し,一般的な話し合いを行うグループワークを用いた授業ではこの効果は生じないことが報告された。本研究では,当該の効果をもたらしうるブレインライティング法の諸要因のうち,拡散的思考を促すプロセスと収束的思考を促すプロセスのどちらが量的向上をもたらしたのか検証することを目的とした。
方 法
参加者 大学生25名であった。
創造性課題 林(2012b)を参考に,与えられたテーマに対し,3分間で出来るだけたくさん思いついたことを箇条書きさせる手がかり連想形式とし,2テーマ1セットでA~Dセットの4種類を作成し,使用順はグループ単位でランダマイズした。
手続き 4~5名ごとに1グループにまとめた全5グループに対し,グループ単位で集団実験を行った。まず各参加者個別にプレテストとして創造性課題を6分間実施し,グループ別に拡散思考的ブレインライティング法の予備練習を行った。その後,くじ引きでテーマを2件選ばせ,グループ単位で各15分ずつ拡散的思考を練習するためのブレインライティング法を実施した。出されたアイデアは用紙に貼り,次のプロセスで用いるために保存した。その後,さきほどとは異なる創造性課題をアフターテストとして個別に実施した。
約1週間後,収束的思考に関する実験を行った。まずプレテストとして創造性課題を個別に実施した。その後先週と同様のグループに分かれるよう求めたが,再集合出来ないグループが一つあった。収束思考的ブレインライティング法の予備練習を行った後,当該思考法の練習として,先週実施した2テーマに関するアイデアの分類を,各15分ずつを目安に行い,最後に,アフターテストとして創造性課題を個別に実施した。
結 果
拡散的思考法練習の影響 図1には,拡散的思考を促すプロセスの前後における創造性課題の平均得点を示した。実験参加者内一要因の分散分析を行ったところ,プレテストよりアフターテストの得点が高かった(F (1,19)=5.67, p<.05)。
収束的思考法練習の影響 図2には,収束的思考を促すプロセスの前後における創造性課題の平均得点を示した。同様の分散分析を行ったところ,プレテストとアフターテストの得点間に有意な差は示されなかった(F (1,18)=1.76, ns)。
考 察
本実験の結果,ブレインライティング法に基づいて拡散的思考の練習を行うと創造性得点が向上し,収束的思考の練習を行っても得点に変化は見られないことが示された。つまり,当該技法のうち,拡散的思考を促すプロセスが創造性の量的向上をもたらす可能性の高いことが確認された。今後,当該プロセスを一般的な話し合いに組み込む等の応用可能性についても検討を行いたい。
林(2012a)では,創造性を育成するための手法の1つであるブレインライティング法を用いた授業では創造性が量的に向上し,一般的な話し合いを行うグループワークを用いた授業ではこの効果は生じないことが報告された。本研究では,当該の効果をもたらしうるブレインライティング法の諸要因のうち,拡散的思考を促すプロセスと収束的思考を促すプロセスのどちらが量的向上をもたらしたのか検証することを目的とした。
方 法
参加者 大学生25名であった。
創造性課題 林(2012b)を参考に,与えられたテーマに対し,3分間で出来るだけたくさん思いついたことを箇条書きさせる手がかり連想形式とし,2テーマ1セットでA~Dセットの4種類を作成し,使用順はグループ単位でランダマイズした。
手続き 4~5名ごとに1グループにまとめた全5グループに対し,グループ単位で集団実験を行った。まず各参加者個別にプレテストとして創造性課題を6分間実施し,グループ別に拡散思考的ブレインライティング法の予備練習を行った。その後,くじ引きでテーマを2件選ばせ,グループ単位で各15分ずつ拡散的思考を練習するためのブレインライティング法を実施した。出されたアイデアは用紙に貼り,次のプロセスで用いるために保存した。その後,さきほどとは異なる創造性課題をアフターテストとして個別に実施した。
約1週間後,収束的思考に関する実験を行った。まずプレテストとして創造性課題を個別に実施した。その後先週と同様のグループに分かれるよう求めたが,再集合出来ないグループが一つあった。収束思考的ブレインライティング法の予備練習を行った後,当該思考法の練習として,先週実施した2テーマに関するアイデアの分類を,各15分ずつを目安に行い,最後に,アフターテストとして創造性課題を個別に実施した。
結 果
拡散的思考法練習の影響 図1には,拡散的思考を促すプロセスの前後における創造性課題の平均得点を示した。実験参加者内一要因の分散分析を行ったところ,プレテストよりアフターテストの得点が高かった(F (1,19)=5.67, p<.05)。
収束的思考法練習の影響 図2には,収束的思考を促すプロセスの前後における創造性課題の平均得点を示した。同様の分散分析を行ったところ,プレテストとアフターテストの得点間に有意な差は示されなかった(F (1,18)=1.76, ns)。
考 察
本実験の結果,ブレインライティング法に基づいて拡散的思考の練習を行うと創造性得点が向上し,収束的思考の練習を行っても得点に変化は見られないことが示された。つまり,当該技法のうち,拡散的思考を促すプロセスが創造性の量的向上をもたらす可能性の高いことが確認された。今後,当該プロセスを一般的な話し合いに組み込む等の応用可能性についても検討を行いたい。