The 57th meeting of the Japanese association of educational psychology

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ポスター発表

ポスター発表 PG

Fri. Aug 28, 2015 10:00 AM - 12:00 PM メインホールA (2階)

[PE057] 公民館で実施する家庭教育支援事業

利用者と企画者の事業に対する相違点

室谷雅美1, 中山徹#2 (1.南海福祉専門学校, 2.奈良女子大学大学院)

Keywords:家庭教育支援, 公民館

問題と目的
家庭教育は,すべての教育の出発点であるといわれ,社会的マナーや子どもの人格形成,その後の生き方に大きな影響を及ぼすものであり,生涯学習社会の基礎づくりを担うものとして重要であるといわれている。
また,家庭教育として各家庭で行われるべき基本的な生活習慣を身に付けることやしつけが十分できていないなどの問題点は解決されないままの状況である。この点から,保護者の学習の場が必要であると考える。その場として,地域密着型の公民館が挙げられる。公民館の実態や家庭教育支援事業の実施状況や家庭教育支援事業に参加している利用者の実態やニーズを分析し,考察を行った。
公民館において実施されている家庭教育支援事業に対し,現状と利用者の希望との実際の違いを解明することを目的とする。
方 法
調査は,2013年2月19日~4月13日にかけて福井県福井市・神奈川県相模原市内の各1公民館,大阪府貝塚市・島根県松江市内の3公民館 計8公民館で実施されている家庭教育支援事業の参加者230名から回答を得た。職員に対しては,2013年7月21日にメールで調査表を8館の職員に送付し,7月30日までに7館の職員から回答を得た。
調査内容は,事業に関して「親子の事業」「子育てに関する事業」「親に関する講座」「体験講座」「その他の事業」と事業を分類したなかで,それぞれの事業にもし参加する場合,どのような内容を望むかを望む気持ちが大きいものから順に一番から三番まで選択して貰った。
家庭教育支援事業を企画・立案している公民館職員とその事業に参加している利用者を対象に,利用者のニーズに応えて事業が実施されているかアンケート調査を実施し把握した。
結果と考察
利用者は,全体的にみて子どもと一緒に参加し,子どもも喜べるような事業を第一に考えている。それに対し,事業実施者の職員はまず,参加者同士の交流を第一と考え,子どもとの関わりは余り重視していない。どちらかといえば実生活に活かせるものを考えていることがわかった。ともに,実施時間や回数・資料配布などは重要視されていなかった。
「親子の事業」・「子育てに関する事業」・「親に関する・「体験講座」・「その他の事業」の事業の中でも,とくに利用者と職員間で相違がある事業は「親子の事業」であった。「子どもも一緒に参加できる」・「子どもも喜んで楽しむことができる」という点を利用者は希望しているが,実施者は「保護者同士で交流できる」を主に考え,事業を企画している。利用者は,子どもと一緒に参加でき,親子で楽しむ事業を求めているのに対し,事業に参加した親同士の交流を主と考えている実施者との間に相違点がある。
今回の調査結果から,各公民館では子育て家庭や子どもに対し必要な支援を探求し,さまざまな事業を企画し,利用者ニーズに応えるよう家庭教育支援事業に力を入れていることがわかった。しかし,利用者と職員の相違点も見受けられるところから,今後,公民館が「地域の家庭教育支援の拠点」という役割を再度,職員が認識し直し,常に利用者のニーズを把握しておく必要がある。そのためには,日頃からアンケート調査や利用者に声掛けをし,生の声を聞くように心掛ける必要がある。