日本教育心理学会第57回総会

講演情報

ポスター発表

ポスター発表 PE

2015年8月27日(木) 13:30 〜 15:30 メインホールA (2階)

[PE062] 学生の感想をもとにしたWOWWプログラムの効果の検討

石丸雅貴 (金沢工業大学)

キーワード:Solution-Focused Brief Therapy, WOWWプログラム, 高等教育

問題と目的
WOWWプログラムとはWorking on What Worksの略称であり,「うまくいっていることに取り組む」と訳される。このプログラムは,心理療法のSolution-Focused Brief Therapyを教育場面に適用させたものである。WOWWは学習者の授業中の態度でポジティブな側面に焦点を当て,それをフィードバックすることで良い影響を与えようとする。
これまで筆者は,WOWWを高等教育に取り入れ,高等教育の質向上を目指してきた (e.g., 石丸・相模, 2011; 石丸・加野・伊藤, 2014; 石丸, 2014)。しかし,WOWWに関する研究は限りなく少なく,その効果は明確にされていない。
本研究では,工業高等専門学校に所属する学生にWOWWを実施した。そして,WOWWを経験した学生に感想を述べてもらった。その感想を,KJ法 (川喜多, 1967) を用いてまとめ,WOWWの効果を探索的に検討することを本研究の目的とした。
方法
参加者 A県内になるB工業高等専門学校5年生で,心理学の授業を履修している17名を対象とした。
調査時期 2013年10月から2014年2月まで。
手続き B工業高等専門学校で開講されている心理学の授業に筆者が参加し,WOWWを実施した。授業終了時にA4用紙を学生に配布した。続いて,授業態度を振り返り,ポジティブな評価ができる点を探し,用紙に記述するよう教示した。その後に,記述した内容を読み返し,自分自身を褒めるよう教示した。
以上の手続きを5回の授業で実施した。そして,5回のWOWWが終了した時点で,学生にWOWWを経験した感想について,自由記述により回答させた。
結果と考察
学生が記述した感想を,KJ法を用いて分析した。結果図を図1に示した。
学生はWOWWを経験することによって『授業態度の変化』を感じていた。それは,「授業態度を振り返ることができた」や「授業態度の悪さを実感」などを通して,「授業態度の改善」へと繋がっていったからである。毎回の授業で「今日の出来を確認」し,出来が悪ければ「授業態度の悪さを実感」し,次回の改善に生かす。出来が良ければ「きちんと授業を受けた」と実感でき,「授業内容が頭に残った」という授業理解へとつながる。
さらには,「授業をきちんと受けた」という実感が湧くことで,「授業が楽しくなった」や「WOWWの評価」へとつながり,授業に対して前向きに取り組めるようになった様子も示された。
本研究結果をもとにして,今後はより詳細にWOWWの効果を検討することが望まれる。