日本教育心理学会第57回総会

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ポスター発表 PF

2015年8月27日(木) 16:00 〜 18:00 メインホールA (2階)

[PF011] 学級享受感と学級雰囲気の関連

学年・学校規模・担任の年代に着目して

三島美砂 (神戸学院大学)

キーワード:教師, 学校享受感, 学校規模

問題と目的
近年,教育現場では「いじめ」や「スクールカースト」等の問題が盛んに報告されており,多くの子どもの心が不安定になっていることが予想される。しかし,元来,子どもは学校や学級に満足感を抱き,学校・学級生活を大いに享受している状態が望まれる。そこで,本研究では,子どもの学校(学級)享受感が,どのような状態にあるとき高く維持されているのかを検討し,学校(学級)享受感の維持要因を探っていく。
方法
〈時期〉2012年10月~12月。〈対象者〉
O県大学1~4年生460名。〈質問紙〉小中学生時代で最も印象に残っている学級を想起させ,「学年」「クラス数(学校規模)」「担任の年代」を尋ねた。「学年」は,小学1~3年が53,小学4~6年が170,中学1~3年が237であった。「クラス数」は,1学年1学級が53,2学級が84,3学級が109,4学級が89,5学級以上が125であった。「担任の年代」は,20代が59,30代が183,40代が182,50代が24であった。その後,古市(1994),藤枝・相川(2000)を参考に作成した「学級享受感」(9項目7件法)(以下「享受感」),三島・宇野(2004),春名(2011)を参考に作成した「学級雰囲気」(10項目7件法)について回答させた。
結果及び考察
〈因子分析〉「享受感」,「学級雰囲気」の回答結果について因子分析(主因子法,プロマックス回転)を行った。「享受感」は1因子構造を示した。「学級雰囲気」は,「協同」と「規律」の2因子が抽出された。
〈重回帰分析〉「享受感」を基準変数に,「学級雰囲気」の2因子を説明変数とした重回帰分析をおこなった(Table1)。次に,学年,クラス数,担任の年代で分け,同様の方法で分析した(Table1)。全体の分析結果においては,「享受感」と「協同」に強い関連が認められた。これは,協同し,お互いに認め合える雰囲気が,子どもの享受感に大きく影響していることが示されたものと思われる。それに対して,「規律」は全く関連が認められなかった。これにより,ルールや規則に厳しい雰囲気は子どもの享受感に影響を及ぼしてはいないことが示された。学年別による分析では,小学1~3年の結果が全体の結果と異なり,「協同」,「規律」両雰囲気に対して関連が認められなかった。低学年の場合, 学級全体の影響より,教師からの影響や,身近な友達からの影響を大きく受けている可能性が考えられる。また,小学4~6年においては「規律」からの影響が若干認められた。同調性の高いこの時期,少し規律のある方が子どもには心地よいのかもしれない。学校規模による分析では,学年1クラスの規模のみが,全体の結果と異なっており,どちらの雰囲気にも関連を示さなかった。この結果から,学年1クラスではクラス替えがなく,人間関係が固定して閉塞的な状態になり,学校生活を楽しめていない子どもが多いことが予想される。教師の年代別の結果では,20代教師の結果が全体と異なっており,どちらの雰囲気とも関連を示さなかった。学級経営において,まだ未熟な20代教師は,学級雰囲気作りを通して子ども達を充実させていくことが難しいのかもしれない。また,30代教師の結果は,「規律」にも弱い関連を示した。30代という体力のある時期,教師は,きびきびした良い意味での「規律」のある雰囲気を作り,子どもの学校生活を充実させているものと思われる。