[PF028] 知的好奇心尺度の作成
特殊的好奇心と拡散的好奇心の区別を重視して
Keywords:知的好奇心, 特殊的好奇心, 尺度作成
問題
海外では,理論的背景や先行研究に基づいて作成された知的好奇心尺度が複数存在している(e.g. Le-herissey, 1971 ; Naylor, 1981) 。それにも関わらず,日本ではそもそも知的好奇心尺度自体があまり存在していない。現在日本でよく参考にされる知的好奇心尺度は山田・伊田(2003) であるが,この尺度は特殊的好奇心のみを前提として作成された尺度である。特殊的好奇心は「特定の情報をより深く知りたいと思う欲求」,その一方で拡散的好奇心は「一定の方向性を持たず,幅広く情報を知りたいと思う欲求」と定義することができる。海外で作成された尺度のなかには,特殊的好奇心および拡散的好奇心を区別して測定することのできる知的好奇心尺度が作成されているが,著作権の問題(Day, 1970) や尺度自体の問題(Litman&Spielberger, 2003) があり,和訳を阻む要因が複数存在する。そこで,本研究では特殊的好奇心と拡散的好奇心を区別して測定することのできる知的好奇心尺度を改めて作成することとした。
方法
対象者全国の大学生1157 名のうち,回答が有効であった1105 名(男性525 名,女性580 名:平均年齢20. 1 歳,SD=1.52:1 学年398 名,2 学年241 名,3 学年182 名,4 学年284 名:北海道38 名,東北59 名,関東468 名, 中部129 名,近畿249 名,中国51 名,四国24 名,九州78 名,沖縄9 名)を対象とした。 尺度尺度には自作の知的好奇心尺度(15 項目),山田・伊田(2003) の大学生の知的好奇心尺度(10 項目), そして古澤(1989) の刺激欲求尺度・抽象表現項目版(15 項目)を使用した。調査時期と手続き調査時期は2014年10月下旬から同年11 月上旬であった。インターネットによって質問紙が配信された。回収率は66.0% であった。
結果と考察
自作の知的好奇心尺度に対して因子分析(最尤法・プロマックス回転)を行った。スクリー・プロットの情報から因子分析を2 つに固定すべきであると判断した。因子負荷量.350 未満の質問項目を除外した結果,項目番号1-4「積極的に物事を知りたいとは思わない。(逆転項目)」と1-7「目新しいというだけですぐ興味を持つ。」はどちらの因子に対しても因子負荷量が不十分であったため除外,1-9「多くを知ることに喜びを感じる。」はどちらの因子に対しても因子負荷量が十分であったため除外し,再度因子分析を行った。その結果, スクリー・プロットの情報から因子分析を2 つに固定すべきであると判断し, 因子負荷量.350 未満の質問項目を除外するように方針を定めた。まとまった因子の意味と先行研究を考慮し,第1因子を特殊的好奇心,第2因子を拡散的好奇心と命名した。
特殊的好奇心と拡散的好奇心の間にみられた中程度の相関関係,そして因子のまとまった意味から,両者は同じ知的好奇心に分類されるものの,特殊的好奇心と拡散的好奇心という別の構成概念であるという理論的関係性が支持された。特殊的好奇心と大学生の知的好奇心(山田・伊田, 2003) との比較的高い相関関係から収束的妥当性を,刺激欲求尺度と他の因子との間にある低い相関関係から弁別的妥当性を確認することができた。
海外では,理論的背景や先行研究に基づいて作成された知的好奇心尺度が複数存在している(e.g. Le-herissey, 1971 ; Naylor, 1981) 。それにも関わらず,日本ではそもそも知的好奇心尺度自体があまり存在していない。現在日本でよく参考にされる知的好奇心尺度は山田・伊田(2003) であるが,この尺度は特殊的好奇心のみを前提として作成された尺度である。特殊的好奇心は「特定の情報をより深く知りたいと思う欲求」,その一方で拡散的好奇心は「一定の方向性を持たず,幅広く情報を知りたいと思う欲求」と定義することができる。海外で作成された尺度のなかには,特殊的好奇心および拡散的好奇心を区別して測定することのできる知的好奇心尺度が作成されているが,著作権の問題(Day, 1970) や尺度自体の問題(Litman&Spielberger, 2003) があり,和訳を阻む要因が複数存在する。そこで,本研究では特殊的好奇心と拡散的好奇心を区別して測定することのできる知的好奇心尺度を改めて作成することとした。
方法
対象者全国の大学生1157 名のうち,回答が有効であった1105 名(男性525 名,女性580 名:平均年齢20. 1 歳,SD=1.52:1 学年398 名,2 学年241 名,3 学年182 名,4 学年284 名:北海道38 名,東北59 名,関東468 名, 中部129 名,近畿249 名,中国51 名,四国24 名,九州78 名,沖縄9 名)を対象とした。 尺度尺度には自作の知的好奇心尺度(15 項目),山田・伊田(2003) の大学生の知的好奇心尺度(10 項目), そして古澤(1989) の刺激欲求尺度・抽象表現項目版(15 項目)を使用した。調査時期と手続き調査時期は2014年10月下旬から同年11 月上旬であった。インターネットによって質問紙が配信された。回収率は66.0% であった。
結果と考察
自作の知的好奇心尺度に対して因子分析(最尤法・プロマックス回転)を行った。スクリー・プロットの情報から因子分析を2 つに固定すべきであると判断した。因子負荷量.350 未満の質問項目を除外した結果,項目番号1-4「積極的に物事を知りたいとは思わない。(逆転項目)」と1-7「目新しいというだけですぐ興味を持つ。」はどちらの因子に対しても因子負荷量が不十分であったため除外,1-9「多くを知ることに喜びを感じる。」はどちらの因子に対しても因子負荷量が十分であったため除外し,再度因子分析を行った。その結果, スクリー・プロットの情報から因子分析を2 つに固定すべきであると判断し, 因子負荷量.350 未満の質問項目を除外するように方針を定めた。まとまった因子の意味と先行研究を考慮し,第1因子を特殊的好奇心,第2因子を拡散的好奇心と命名した。
特殊的好奇心と拡散的好奇心の間にみられた中程度の相関関係,そして因子のまとまった意味から,両者は同じ知的好奇心に分類されるものの,特殊的好奇心と拡散的好奇心という別の構成概念であるという理論的関係性が支持された。特殊的好奇心と大学生の知的好奇心(山田・伊田, 2003) との比較的高い相関関係から収束的妥当性を,刺激欲求尺度と他の因子との間にある低い相関関係から弁別的妥当性を確認することができた。