[PF038] 少年サッカー競技者の「やる気」の評定
教員免許状更新講習受講者による評定
キーワード:少年サッカー, 動機づけ, 他者評定
目的
他者のどのような様子から,「やる気」を評価しているのだろうか?名取(2014a)では少年サッカーを題材に,中,高,大学生の比較を行った。その結果,名取(2007a; 2007b)と同様に,「まじめに」活動に取り組んでいる様子が「やる気」と評価されていた。具体的には,順番を待っている際に課題とは関係のないおしゃべりをしていたと判断されると,やる気は低く評価されていた。また,課題の説明が行われている際に靴ひもを結んでいたり,足を振ったりして,しっかりと話を聞いていないと判断されると,やる気は低く評価されていた。反面同じ行動が,準備している,動きたくてしかたがない様子と判断されるとやる気は高く評価されていた。サッカー審判員指導者を加えての比較(名取,2014b)でも同様の結果が得られた。
本研究では新たに教員免許状更新講習の受講者のデータを加え,活動に従事しているどのような様子から「やる気」が評価されるのかについて,さらに探索的に検討を加えることを目的とした。
方法
評定者 教員免許状更新講習を受講していた43名に,講習内の課題として評定を依頼した。内,結果の公表に同意を得た32名(男性14名,女性18名)の回答を回収。平均年齢は43.8歳(SD=8.4歳)。不備のなかった30名のデータを分析した。
評定対象映像 これまでの一連の研究(名取,2007a; 2007b; 2014a; 2014b),で用いたのと同じ,デジタルビデオカメラで撮影された少年サッカーチームのパス練習。課題開始時のシーン1(3分22秒間)と,シーン1から3分34秒後に指導者が課題を変更するまでのシーン2(2分16秒間)である。シーン1の冒頭1分間は指導者による課題の説明を評定対象者が聞いている映像であった。それ以外は順番待ちをしている様子が中心であった。同時に収まる時間が他の競技者たちと比較すると長かった4名の少年サッカー競技者(以下A,B,C,D)を評定対象者とした。
調査内容および調査手続き シーン1,2それぞれにおける,4名の評定対象者の「やる気」の評定(「やる気」評定値)を10点満点で求めた。加えて,評定の理由について自由記述での回答を得た。各映像視聴後の記入時間は5分間であった。
結果と考察
「やる気」評定値を従属変数とし,「シーン」(シーン1,シーン2),「評定対象者」(A,B,C,D)を要因とする2×4の1要因分散分析を行った。
結果,0.1%水準での有意な2つの要因の主効果(シーン: F (1, 29)=44.11; 評定対象者: F (3, 87)=16.14)および交互作用(F (3, 87)=8.88)がみられた。そこで単純主効果の検定を行ったところ,「シーン」の単純主効果がA,B,Cでは0.1%水準,Dでは1%水準で有意であり,シーン1よりシーン2の「やる気」が低く評定されていたことが示された(F (1, 116)=50.39, 49.29, 12.87, 10.23)。また,「評定対象者」の単純主効果は,シーン1においては0.1%水準で,シーン2においては5%水準で有意であった(F (3, 174)=24.42, 2.72)。Ryan法(5%水準)による多重比較の結果,シーン1ではA,B,C,Dの順で評定され,AとB以外の評定値間に有意差がみられた。一方,シーン2では有意差がみられなかった。
評定値については,教員免許状更新講習受講者においても,中,高,大学生,および,サッカー審判員指導者と同様の結果であった。今後,理由の記述の分析を進めることが必要だと考えられる。
他者のどのような様子から,「やる気」を評価しているのだろうか?名取(2014a)では少年サッカーを題材に,中,高,大学生の比較を行った。その結果,名取(2007a; 2007b)と同様に,「まじめに」活動に取り組んでいる様子が「やる気」と評価されていた。具体的には,順番を待っている際に課題とは関係のないおしゃべりをしていたと判断されると,やる気は低く評価されていた。また,課題の説明が行われている際に靴ひもを結んでいたり,足を振ったりして,しっかりと話を聞いていないと判断されると,やる気は低く評価されていた。反面同じ行動が,準備している,動きたくてしかたがない様子と判断されるとやる気は高く評価されていた。サッカー審判員指導者を加えての比較(名取,2014b)でも同様の結果が得られた。
本研究では新たに教員免許状更新講習の受講者のデータを加え,活動に従事しているどのような様子から「やる気」が評価されるのかについて,さらに探索的に検討を加えることを目的とした。
方法
評定者 教員免許状更新講習を受講していた43名に,講習内の課題として評定を依頼した。内,結果の公表に同意を得た32名(男性14名,女性18名)の回答を回収。平均年齢は43.8歳(SD=8.4歳)。不備のなかった30名のデータを分析した。
評定対象映像 これまでの一連の研究(名取,2007a; 2007b; 2014a; 2014b),で用いたのと同じ,デジタルビデオカメラで撮影された少年サッカーチームのパス練習。課題開始時のシーン1(3分22秒間)と,シーン1から3分34秒後に指導者が課題を変更するまでのシーン2(2分16秒間)である。シーン1の冒頭1分間は指導者による課題の説明を評定対象者が聞いている映像であった。それ以外は順番待ちをしている様子が中心であった。同時に収まる時間が他の競技者たちと比較すると長かった4名の少年サッカー競技者(以下A,B,C,D)を評定対象者とした。
調査内容および調査手続き シーン1,2それぞれにおける,4名の評定対象者の「やる気」の評定(「やる気」評定値)を10点満点で求めた。加えて,評定の理由について自由記述での回答を得た。各映像視聴後の記入時間は5分間であった。
結果と考察
「やる気」評定値を従属変数とし,「シーン」(シーン1,シーン2),「評定対象者」(A,B,C,D)を要因とする2×4の1要因分散分析を行った。
結果,0.1%水準での有意な2つの要因の主効果(シーン: F (1, 29)=44.11; 評定対象者: F (3, 87)=16.14)および交互作用(F (3, 87)=8.88)がみられた。そこで単純主効果の検定を行ったところ,「シーン」の単純主効果がA,B,Cでは0.1%水準,Dでは1%水準で有意であり,シーン1よりシーン2の「やる気」が低く評定されていたことが示された(F (1, 116)=50.39, 49.29, 12.87, 10.23)。また,「評定対象者」の単純主効果は,シーン1においては0.1%水準で,シーン2においては5%水準で有意であった(F (3, 174)=24.42, 2.72)。Ryan法(5%水準)による多重比較の結果,シーン1ではA,B,C,Dの順で評定され,AとB以外の評定値間に有意差がみられた。一方,シーン2では有意差がみられなかった。
評定値については,教員免許状更新講習受講者においても,中,高,大学生,および,サッカー審判員指導者と同様の結果であった。今後,理由の記述の分析を進めることが必要だと考えられる。