[PF044] パズル解決課題におけるフロー体験が自己効力感に与える影響
Keywords:フロー体験, パズル解決課題
問 題
人が日常生活において,時が経つのも忘れて何かに没頭している状態になることがあり,これをCsikszentmihalyi(1975)は,フロー(flow)と名づけた。フロー体験に関しては,近年体育学の分野などで実証的研究が進められてきているが,パズルや学習などの非身体的・知的活動においてはあまり多くない。そこで,本研究では,パズル解決課題におけるフロー体験について検討をおこなう。
また,浅川(2012)によると,フロー研究には,フロー状態およびその生起要因を検討する”現象学的モデル”だけでなく,フロー体験を通して能力等が成長していく過程を検討する”人間発達のモデル”の側面がある。そこで,本研究では,フロー体験が自己効力感にどのような影響を与えるかについて検討することとする。
方 法
実験参加者 大学生45名(平均年齢20.1歳)。
事前調査 特性的自己効力感尺度(GSE:成田ほか,1995)。
課題前/課題後 課題固有の自己効力感尺度(SSE:三宅,1996)。
課題後 フロー体験チェックリスト(FCL:石村,2014)。
実験課題 ナンバープレースパズル(ナンプレ)。
手続き 事前に講義出席者にGSEの測定および実験への参加の許諾を尋ね,許諾が得られた45名を課題選択群と課題易群に分けた。課題選択群は,難易度で4段階に分けた課題を用意し,自由に選択できる条件であり,課題易群は一番易しい課題を解く条件である。
実験参加者は,実験室にてSSEの測定ののち,30分間パズルを解く課題をおこない,終了後SSEとFCLを測定した。
結果と考察
課題前後でのSSEの変化を表1に示した。分散分析の結果,課題前後と群の主効果が有意であった[F (1,43)=5.55, 6.73, ps<.05]が,交互作用は有意ではなかった。
課題後のSSEを従属変数として,重回帰分析をおこなった(表2)。その結果,フロー体験「能力への自信」との関連が見られた(β=.63, p<.001)。
交互作用は有意ではなかったが,フロー高群のほうがSSEが高いことと,課題後にSSEが有意に上昇していることが見出され,課題後のSSEには「能力への自信」が関連していることが見出された。
引用文献
浅川希洋志 2012 楽しさと最適発達の現象学 鹿毛雅治(編) モティべーションをまなぶ12の理論 金剛出版
Csikszentmihalyi, M. 1975 Beyond Boredom and Anxiety: Experiencing flow in work and play. San Francisco: Jossey Bass. (チクセントミハイ,M.今村浩明(訳) 2001 .楽しみの社会学 改題新装版 新思索社)
人が日常生活において,時が経つのも忘れて何かに没頭している状態になることがあり,これをCsikszentmihalyi(1975)は,フロー(flow)と名づけた。フロー体験に関しては,近年体育学の分野などで実証的研究が進められてきているが,パズルや学習などの非身体的・知的活動においてはあまり多くない。そこで,本研究では,パズル解決課題におけるフロー体験について検討をおこなう。
また,浅川(2012)によると,フロー研究には,フロー状態およびその生起要因を検討する”現象学的モデル”だけでなく,フロー体験を通して能力等が成長していく過程を検討する”人間発達のモデル”の側面がある。そこで,本研究では,フロー体験が自己効力感にどのような影響を与えるかについて検討することとする。
方 法
実験参加者 大学生45名(平均年齢20.1歳)。
事前調査 特性的自己効力感尺度(GSE:成田ほか,1995)。
課題前/課題後 課題固有の自己効力感尺度(SSE:三宅,1996)。
課題後 フロー体験チェックリスト(FCL:石村,2014)。
実験課題 ナンバープレースパズル(ナンプレ)。
手続き 事前に講義出席者にGSEの測定および実験への参加の許諾を尋ね,許諾が得られた45名を課題選択群と課題易群に分けた。課題選択群は,難易度で4段階に分けた課題を用意し,自由に選択できる条件であり,課題易群は一番易しい課題を解く条件である。
実験参加者は,実験室にてSSEの測定ののち,30分間パズルを解く課題をおこない,終了後SSEとFCLを測定した。
結果と考察
課題前後でのSSEの変化を表1に示した。分散分析の結果,課題前後と群の主効果が有意であった[F (1,43)=5.55, 6.73, ps<.05]が,交互作用は有意ではなかった。
課題後のSSEを従属変数として,重回帰分析をおこなった(表2)。その結果,フロー体験「能力への自信」との関連が見られた(β=.63, p<.001)。
交互作用は有意ではなかったが,フロー高群のほうがSSEが高いことと,課題後にSSEが有意に上昇していることが見出され,課題後のSSEには「能力への自信」が関連していることが見出された。
引用文献
浅川希洋志 2012 楽しさと最適発達の現象学 鹿毛雅治(編) モティべーションをまなぶ12の理論 金剛出版
Csikszentmihalyi, M. 1975 Beyond Boredom and Anxiety: Experiencing flow in work and play. San Francisco: Jossey Bass. (チクセントミハイ,M.今村浩明(訳) 2001 .楽しみの社会学 改題新装版 新思索社)