[PF053] キャリア発達・教育に関する研究(20)
大学生におけるインターンシップ効果の検討
キーワード:キャリア発達, インターンシップ, 大学生
1.問題と目的
筆者らはこれまでインターンシップの効果を,職業価値観や職業イメージの観点から検討し,インターンシップは働くことに対する漠とした不安の除去や,今後のキャリア選択の動機づけとして有効であること,「いくつかの職業の中から一つの職業に絞ること」「望む職業が,自分の考えていたものと異なっていた場合,もう一度検討し直す」「ライフスタイルに合った職業を探す」などキャリア選択効力感の高まりをもたらすことを確認し,職業探索の面でも有用であることを確認してきた(國眼ら,2008,2009)。
本研究では,さらにインターンシップ「履修目的」やインターンシップ履修前後の「スキル」について検討するとともに,併せてそれらと「キャリア選択効力感」および「職業価値観」の事前事後の変容を再度検討した。
2.方法
1)調査対象および調査時期:5日間以上のインターンシップに参加し事前事後の調査に回答した大学3年生,男子30名女子21名,計51名
2) 以下①~⑤の尺度よりなる質問紙を,履修登録時(2014.5月)に実施。①履修理由(14項目)②すでにもつスキルとインターンシップで身につけたいスキル③キャリア選択効力感(27項目)(浦上1995一部改変)④「働く」ことのイメージ(SD法,15項目)⑤職業価値観46項目(菰田,2006に4項目追加)手続きⅡ終了後(2014.10月)①②を除く3つの尺度および⑥インターンシップによって身についたスキルおよびさらに身につけたいスキル(全20項目から3項目以内で選択)
3.結果と考察
1)インターンシップ参加理由:参加理由は,「キャリア探索」「業界職種探索」「キャリアモデルとの出会い」の3要因に集約され,「仕事とは」「働くとは」何かを知りたい,「将来を明確にしたい」「自分がやりたいことを探したい」など,まだ漠然としている将来のキャリアイメージを明確にしたいと希望する者が多い。
2)手続きⅠ キャリア選択効力感:効力感尺度の結果を因子分析(主因子解,バリマックス回転)したところ1因子構造であったため,各項目の合計点をもって効力感得点とし,事前事後の得点を比較した。合計得点に有意な差は見られなかったが,項目別に検討したところ履修後正の方向に変化が見られたのは「自分に適している職業が人間相手か情報相手かを知る」「ある職業の就いている人の所得を知る」であった。一方「自己の能力評価」「5年先の目標設定と計画策定」については事前事後いずれも自信がなく,逆に「ひとに勧められても自分に合わないときは断る」「いくつかの職業に興味をもつ」は事前事後も変わりなく自信を保っていた。
3)職業価値観:46項目からなる尺度を因子分析(主因子解,バリマックス回転)した結果,「労働条件」(6項目),「人間関係」(11項目),「自己の能力」(7項目),「独立志向」(6項目),「地元志向」(8項目)の5因子を抽出した。人間関係=自己の能力>労働条件>独立志向>地元志向の順で価値がおかれている。因子別得点では,インターンシップの事前と事後で変化は見られなかった。
4)身についた能力・今後身につけたい能力 インターンシップ前に「身につけたいスキル」として10%以上の学生が挙げたのは「コミュニケーション・発信力」「主体性」「自己表現力」のみであったが,事後には多様なスキルを育む必要性を感じている。インターンシップが職業人として求められるスキルに気づくよい機会になっていることがわかる。
筆者らはこれまでインターンシップの効果を,職業価値観や職業イメージの観点から検討し,インターンシップは働くことに対する漠とした不安の除去や,今後のキャリア選択の動機づけとして有効であること,「いくつかの職業の中から一つの職業に絞ること」「望む職業が,自分の考えていたものと異なっていた場合,もう一度検討し直す」「ライフスタイルに合った職業を探す」などキャリア選択効力感の高まりをもたらすことを確認し,職業探索の面でも有用であることを確認してきた(國眼ら,2008,2009)。
本研究では,さらにインターンシップ「履修目的」やインターンシップ履修前後の「スキル」について検討するとともに,併せてそれらと「キャリア選択効力感」および「職業価値観」の事前事後の変容を再度検討した。
2.方法
1)調査対象および調査時期:5日間以上のインターンシップに参加し事前事後の調査に回答した大学3年生,男子30名女子21名,計51名
2) 以下①~⑤の尺度よりなる質問紙を,履修登録時(2014.5月)に実施。①履修理由(14項目)②すでにもつスキルとインターンシップで身につけたいスキル③キャリア選択効力感(27項目)(浦上1995一部改変)④「働く」ことのイメージ(SD法,15項目)⑤職業価値観46項目(菰田,2006に4項目追加)手続きⅡ終了後(2014.10月)①②を除く3つの尺度および⑥インターンシップによって身についたスキルおよびさらに身につけたいスキル(全20項目から3項目以内で選択)
3.結果と考察
1)インターンシップ参加理由:参加理由は,「キャリア探索」「業界職種探索」「キャリアモデルとの出会い」の3要因に集約され,「仕事とは」「働くとは」何かを知りたい,「将来を明確にしたい」「自分がやりたいことを探したい」など,まだ漠然としている将来のキャリアイメージを明確にしたいと希望する者が多い。
2)手続きⅠ キャリア選択効力感:効力感尺度の結果を因子分析(主因子解,バリマックス回転)したところ1因子構造であったため,各項目の合計点をもって効力感得点とし,事前事後の得点を比較した。合計得点に有意な差は見られなかったが,項目別に検討したところ履修後正の方向に変化が見られたのは「自分に適している職業が人間相手か情報相手かを知る」「ある職業の就いている人の所得を知る」であった。一方「自己の能力評価」「5年先の目標設定と計画策定」については事前事後いずれも自信がなく,逆に「ひとに勧められても自分に合わないときは断る」「いくつかの職業に興味をもつ」は事前事後も変わりなく自信を保っていた。
3)職業価値観:46項目からなる尺度を因子分析(主因子解,バリマックス回転)した結果,「労働条件」(6項目),「人間関係」(11項目),「自己の能力」(7項目),「独立志向」(6項目),「地元志向」(8項目)の5因子を抽出した。人間関係=自己の能力>労働条件>独立志向>地元志向の順で価値がおかれている。因子別得点では,インターンシップの事前と事後で変化は見られなかった。
4)身についた能力・今後身につけたい能力 インターンシップ前に「身につけたいスキル」として10%以上の学生が挙げたのは「コミュニケーション・発信力」「主体性」「自己表現力」のみであったが,事後には多様なスキルを育む必要性を感じている。インターンシップが職業人として求められるスキルに気づくよい機会になっていることがわかる。