[PF068] 素点を用いたDIFの大きさを表す指標の提案
キーワード:DIF, 古典的テスト理論, 項目反応理論
目 的
本研究の目的は,熊谷(2012)で提案された特異項目機能(differential item functioning: 以下DIF)検出方法について,素点を利用したものへと拡張することにある。
熊谷(2012)の方法は項目反応理論を利用した,いわゆるパラメトリックな手法であるため,特に多値型データにおいては,多数のサンプルサイズが必要となる。本研究では,熊谷(2012)の方法を,素点を用いたノンパラメトリックな方法に拡張することにより,より小数のサンプルサイズにおいてもDIF分析が行えることを目的とする。
DIF検出方法
下位集団数が2および2値型データの場合の手続きは以下のとおりである。
手続き1 受検者ごとに正答数得点を算出し,その値ごとに層分けを行なう1。
手続き2 層ごとに以下の値を計算する。
ここでは層を,およびは,層における下位集団およびの項目正答率,は全受検者数に対する層の人数の比率を表す。
手続き3 以下の値をもって,DIFの大きさを表す指標とする。
分析例
熊谷(2012)の実験1に準じたシミュレーション・データを用いて,提案方法による分析を行なった。
データ 項目数65(DIFを検討しない項目15,検討する項目50),受検者数2000,下位集団数2(それぞれ1000名)の2値型データをシミュレーションにより生成した。データ生成手続きは熊谷(2012)の実験1と同様とした。
結果 シミュレーション・データのDIF検討項目(50項目)に対して熊谷(2012)による指標K(以下K1)と,本研究での提案指標(以下K2)を算出し,散布図を描いたものがFigure 1である。この時の相関係数は.99であった。
また,DIF検討項目の43番目の下位集団別および層別の正答率をプロットしたものがFigure 2である。この項目のK2の値は.34であった。
本研究で提案した指標について,素点に基づいた指標ながらも,熊谷(2012)とほぼ同様の性能を持つことが確認された。
文 献
熊谷龍一(2012).統合的DIF検出方法の提案-“EasyDIF”の開発- 心理学研究, 83, 35-(KUMAGAI Ryuichi, NOGUCHI Hiroyuki)
本研究の目的は,熊谷(2012)で提案された特異項目機能(differential item functioning: 以下DIF)検出方法について,素点を利用したものへと拡張することにある。
熊谷(2012)の方法は項目反応理論を利用した,いわゆるパラメトリックな手法であるため,特に多値型データにおいては,多数のサンプルサイズが必要となる。本研究では,熊谷(2012)の方法を,素点を用いたノンパラメトリックな方法に拡張することにより,より小数のサンプルサイズにおいてもDIF分析が行えることを目的とする。
DIF検出方法
下位集団数が2および2値型データの場合の手続きは以下のとおりである。
手続き1 受検者ごとに正答数得点を算出し,その値ごとに層分けを行なう1。
手続き2 層ごとに以下の値を計算する。
ここでは層を,およびは,層における下位集団およびの項目正答率,は全受検者数に対する層の人数の比率を表す。
手続き3 以下の値をもって,DIFの大きさを表す指標とする。
分析例
熊谷(2012)の実験1に準じたシミュレーション・データを用いて,提案方法による分析を行なった。
データ 項目数65(DIFを検討しない項目15,検討する項目50),受検者数2000,下位集団数2(それぞれ1000名)の2値型データをシミュレーションにより生成した。データ生成手続きは熊谷(2012)の実験1と同様とした。
結果 シミュレーション・データのDIF検討項目(50項目)に対して熊谷(2012)による指標K(以下K1)と,本研究での提案指標(以下K2)を算出し,散布図を描いたものがFigure 1である。この時の相関係数は.99であった。
また,DIF検討項目の43番目の下位集団別および層別の正答率をプロットしたものがFigure 2である。この項目のK2の値は.34であった。
本研究で提案した指標について,素点に基づいた指標ながらも,熊谷(2012)とほぼ同様の性能を持つことが確認された。
文 献
熊谷龍一(2012).統合的DIF検出方法の提案-“EasyDIF”の開発- 心理学研究, 83, 35-(KUMAGAI Ryuichi, NOGUCHI Hiroyuki)