The 57th meeting of the Japanese association of educational psychology

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ポスター発表

ポスター発表 PF

Thu. Aug 27, 2015 4:00 PM - 6:00 PM メインホールA (2階)

[PF070] IRT尺度値を利用した理科のパフォーマンス・アセスメント結果の解釈について

千葉陽子1,柴山直2 (1.東北大学大学院, 2.東北大学大学院)

Keywords:IRT, パフォーマンス・アセスメント, 理科

問題と目的
思考力・判断力・表現力等の評価手法としてパフォーマンス・アセスメントは重要な位置をしめる。しかし,この手法は主観的な判断に頼る部分が大きい。本研究では,中学校理科を例に,パフォーマンスの解釈にIRT尺度値を客観的な補助情報として用いる手続きを提案する。なお,その前提とし試みた,新潟県における平成18年度「全県学力調査」の第1学年と第2学年の項目を同一尺度上に位置付ける等化結果についても報告する。
方法
対象 宮城県内公立中学校第2学年6学級216名。
手続き 客観式調査(理科),パフォーマンス課題の2つの問題冊子に解答してもらった。配布は当該学級の理科担当教員による。
課題構成 ○客観式調査(理科)…新潟県における平成18年度「全県学力調査」を使用し,第1学年の14項目と第2学年の11項目,計25問から構成される。項目は現行指導要領に対応したもののみを利用した。○パフォーマンス課題…豆電球の明るさについて問う問題。4つの選択枝と選択理由を記述する欄からなる。
各パラメタの推定 項目パラメタ(識別力,困難度)の推定には,新潟県における平成18年度「全県学力調査」のデータ(受検者:中学1年生22035名,中学2年生21520名,実施:平成19年1月)と本研究で得たデータを用いた。受検者パラメタ(尺度値θ)の推定は最尤法による。なお,これらのパラメタ推定にはEasyEstimation(熊谷,2009)を使用した。
結果と考察
客観式調査(理科)については,同時尺度調整法によって第1学年と第2学年の項目を同一尺度上に位置付けた。その結果,識別力母数の等化前後の相関係数は0.995,困難度母数の相関係数は0.998となった。
対象者の結果は,客観式調査(理科)の全問正答者が4名,この4名を除いた尺度値θの平均値は-0.350,標準偏差0.972,最小値-3.470,最大値2.331であった。尺度値θについて,全問正答者を含めた216名を72名ずつ値の低い順にL群,M群,H群と3群に分割し,パフォーマンス課題の解答を分析した。全体の傾向としては,学力群のレベルが上がるごとに選択枝の正答率は上昇し,観点の着目率が上昇した。その一方で,学力群ごとの特徴も見られた。特にM群では回路と豆電球の明るさの関係について実験などで得た直接的な経験をもとに主観的な解答する生徒が目立った。以上より,IRT尺度値を利用することによって,学力群が高いほど,多面的な視点で解答を考える割合が増加すること,並びに学力群とパフォーマンスの特徴を関連付けることが示せた。
【謝 辞】
本研究はJSPS科研費25380867の助成を受けたものです。