[PG013] 対人関係に関するスキルトレーニングの介入研究(1)
中学生を対象として
Keywords:対人関係, スキルトレーニング, 中学生
問題と目的
特定の小学校と一小一中の関係にある中学校では,生徒の人間関係が小学校時代から固定化された状態で入学してくることになる。このため,生徒同士の人間関係が悪くなると,関係を修復することが難しい。固定化された人間関係を広げ,生徒間の好ましい人間関係づくりを支援していくためには,相手に共感したり,相手に配慮しながら上手に自己主張したり,協力して課題を解決したりしていく社会性の育成が急務である。そこで本研究では,ソーシャルスキルトレーニング(social skill training:SST)が集団の凝集性を高め,話し合いをはじめとした言語活動を充実させ,思考力や判断力,表現力を向上させると仮定し,SSTの効果を検討することを目的とする。
方法
調査対象者
A県B中学校の1・2年生178名(男子88名,女子90名)を対象に,全4回の介入研究の前後に,質問紙調査を行った。1年生86名,2年生92名であった。
調査期間
2014年10月~2014年12月。
質問紙
教室内で質問紙調査を行った。
①学校生活に関する尺度(茨城県教育研修センター,2000):学校生活の「生徒相互の人間関係」「教師と生徒の人間関係」「学習意欲」を問う尺度。全18項目,5件法で回答を求めた。
②自尊感情尺度(Rosenberg,1965):自尊感情を測る尺度。全10項目,5件法で回答を求めた。
なお,倫理的配慮として,無回答であっても不利益は生じないこと,個人情報は守られること,成績への影響はないことなどを説明し,了承を得た上での記入を依頼した。
介入研究
体育館で介入研究を行った。
第1回(10月17日,100分)
1年1組,2年1組合同で実施。
① アウチ:導入として,適当に歩いてもらい,出会った人と人差し指を合わせる。
② 探偵ゲーム:出会った人とジャンケンをし,勝った人は,負けた人が「はい」と言いそうな質問を記録用紙から選んで質問する。「はい」が出てきたら名前を記入してもらう。
③ バースデーライン:非言語のみで誕生日順に整列する。
④ 他己紹介:ペアを作り,1対1でインタビューをした後,他のペアと4人グループとなって,自分のパートナーを紹介する。
⑤ 無人島脱出:状況を記した資料から自分なりに選択を選び,グループで話し合う。
第2回(10月31日,100分)
1年2組,2年2組合同で実施。第1回と同じ内容。
第3回(11月28日,100分)
1年3組,2年3組合同で実施。第1回と同じ内容。
第4回(12月12日,各50分)
1年生,2年生の順に実施。
① アウチ
② ジャンケン列車:出会った人とジャンケンをし,負けた方が勝った方の肩に手を置き,最終的に一つの列車を作る。
③ 足し算トーク:グループでジャンケンをし,全員の出した指の本数の合計でテーマを決め,話し合う。
結果と考察
介入前・介入後の学校生活に関する尺度得点(「生徒相互の人間関係」「教師と生徒の人間関係」「学習意欲」),自尊感情尺度得点の平均点について,対応のあるt検定を実施したところ,表に示すとおり「生徒相互の人間関係」「学習意欲」「自尊感情」において5%水準で有意な改善がみられた。
体育館で実施した,大集団でのSSTが,生徒相互の好ましい人間関係づくりや,学習意欲や自尊感情を高めるうえでの有効性が示された。
本研究は,平成26年度文部科学省初等中等教育局「対話・創作・表現活動等を取り入れた人間関係形成能力等の育成に資する教育活動に関する実践研究(専門家派遣)」の一環として行われた。
特定の小学校と一小一中の関係にある中学校では,生徒の人間関係が小学校時代から固定化された状態で入学してくることになる。このため,生徒同士の人間関係が悪くなると,関係を修復することが難しい。固定化された人間関係を広げ,生徒間の好ましい人間関係づくりを支援していくためには,相手に共感したり,相手に配慮しながら上手に自己主張したり,協力して課題を解決したりしていく社会性の育成が急務である。そこで本研究では,ソーシャルスキルトレーニング(social skill training:SST)が集団の凝集性を高め,話し合いをはじめとした言語活動を充実させ,思考力や判断力,表現力を向上させると仮定し,SSTの効果を検討することを目的とする。
方法
調査対象者
A県B中学校の1・2年生178名(男子88名,女子90名)を対象に,全4回の介入研究の前後に,質問紙調査を行った。1年生86名,2年生92名であった。
調査期間
2014年10月~2014年12月。
質問紙
教室内で質問紙調査を行った。
①学校生活に関する尺度(茨城県教育研修センター,2000):学校生活の「生徒相互の人間関係」「教師と生徒の人間関係」「学習意欲」を問う尺度。全18項目,5件法で回答を求めた。
②自尊感情尺度(Rosenberg,1965):自尊感情を測る尺度。全10項目,5件法で回答を求めた。
なお,倫理的配慮として,無回答であっても不利益は生じないこと,個人情報は守られること,成績への影響はないことなどを説明し,了承を得た上での記入を依頼した。
介入研究
体育館で介入研究を行った。
第1回(10月17日,100分)
1年1組,2年1組合同で実施。
① アウチ:導入として,適当に歩いてもらい,出会った人と人差し指を合わせる。
② 探偵ゲーム:出会った人とジャンケンをし,勝った人は,負けた人が「はい」と言いそうな質問を記録用紙から選んで質問する。「はい」が出てきたら名前を記入してもらう。
③ バースデーライン:非言語のみで誕生日順に整列する。
④ 他己紹介:ペアを作り,1対1でインタビューをした後,他のペアと4人グループとなって,自分のパートナーを紹介する。
⑤ 無人島脱出:状況を記した資料から自分なりに選択を選び,グループで話し合う。
第2回(10月31日,100分)
1年2組,2年2組合同で実施。第1回と同じ内容。
第3回(11月28日,100分)
1年3組,2年3組合同で実施。第1回と同じ内容。
第4回(12月12日,各50分)
1年生,2年生の順に実施。
① アウチ
② ジャンケン列車:出会った人とジャンケンをし,負けた方が勝った方の肩に手を置き,最終的に一つの列車を作る。
③ 足し算トーク:グループでジャンケンをし,全員の出した指の本数の合計でテーマを決め,話し合う。
結果と考察
介入前・介入後の学校生活に関する尺度得点(「生徒相互の人間関係」「教師と生徒の人間関係」「学習意欲」),自尊感情尺度得点の平均点について,対応のあるt検定を実施したところ,表に示すとおり「生徒相互の人間関係」「学習意欲」「自尊感情」において5%水準で有意な改善がみられた。
体育館で実施した,大集団でのSSTが,生徒相互の好ましい人間関係づくりや,学習意欲や自尊感情を高めるうえでの有効性が示された。
本研究は,平成26年度文部科学省初等中等教育局「対話・創作・表現活動等を取り入れた人間関係形成能力等の育成に資する教育活動に関する実践研究(専門家派遣)」の一環として行われた。