[PG016] 小学校教職専門実習における学級経営観の変化
担任教育に着目した教職大学院生1年生の質的研究
キーワード:担任教育, 学級経営, KJ法
問題と目的
授業の基盤は学級経営からと言われるように,学級は,児童生徒の学校生活の基盤である。そして,文部科学省(2006)は,教職大学院において共通的に開設すべき授業科目の領域の一つとして,『学級経営,学校経営に関する領域』をあげている。学部では少ない学級経営領域を,教職大学院の必修科目としている。教職大学院では,学校における実習を教職専門実習と呼んでいる。文部科学省(2006)は,教職大学院においては,学部段階における教育実習をさらに充実・発展させた教職専門実習を10単位以上設け必修化している。曽山(2014)は,新任小学校教師の経験過程を明らかにしている。しかし,教職専門実習は,学級経営に関する力量や視点を持つ場でもあるが,教職専門実習にかかわる大学院生の学級経営観の変化は示されていない。また,河村(2010)は学級経営について研究しているが,藤森(2014)は学級経営そのものに対して研究の蓄積が少ないと述べている。学級経営の研究の備蓄が少ないこと等から大学・大学院において担任教育が充実していない可能性がある。本研究は,ストレートマスター1年生の教職専門実習における学級経営観の変化過程を検討する。教職専門実習におけるストレートマスター1年生の学級経営観の変化を明らかにすることによって,「学級経営,学校経営に関する領域」の指導の在り方の参考になると思われる。さらに,大学・大学院の教員養成段階における担任教育の発展につながると思われる。
方 法
研究方法:質的研究方法であるKJ法(川喜多,1967)を用いた。「教職大学院生の教職専門実習において学級経営観がどのように変化したか」というリサーチクェッションのもと,2014年6月と実習を終えた10月に,質問紙等で実施した。なお,教職専門実習を以下実習と記す。
研究協力者:以下の用件をすべて満たすストレートマスター1年生9名(男4名,女5名)である。1教職経験のない者,2『学級経営,学校経営に関する領域』の授業未履修者,3学部において教育実習を終えた者。
結果と考察
図1・2に実習前後の学級経営観を示す。分析資料から大カテゴリーを≪≫,中カテゴリーを【】,小グループを<>で表す。
(1) 学級経営についての実習記録の必要性
もっとも顕著に書かれたのは,担任の重要性である。大学院生は実習前には,≪担任の姿勢≫をあげていた。しかし,実習後は,≪担任の役割の重さ≫を感じていた。学生・大学院生は,教育実習全般について実習記録を書くが,担任の役割は重要であり,学びの意識づけのために,学級経営に関しての実習記録も1項目として必要であろう。
(2) 学校現場の捉えなおし 概念から明確化
大学院生は,実習前には≪学級の機能≫,実習後には≪学級経営の指導方法・目標≫と≪抽象的な考えから明確さへ≫と導き出されている。本研究は『学級経営,学校経営に関する領域』の授業を行っていない段階の調査であり,学級経営の指導法や目標作りを『学級経営,学校経営に関する領域』の授業に取り入れることにより担任教育を深めることができると考える。
(3) 担任の役割の発見と次の自己の目標を設定
実習前には,6名の大学院生が【課題】として<学級崩壊>をあげていた。しかし,実習後あげているものはいなかった。大学院生は実習後≪自己の課題と次の実習目標≫を発見し,担任教育の学びの動機を得ることができた。教職大学院では実習機会が多いため,次の実習において担任教育に生かされると思われる。
授業の基盤は学級経営からと言われるように,学級は,児童生徒の学校生活の基盤である。そして,文部科学省(2006)は,教職大学院において共通的に開設すべき授業科目の領域の一つとして,『学級経営,学校経営に関する領域』をあげている。学部では少ない学級経営領域を,教職大学院の必修科目としている。教職大学院では,学校における実習を教職専門実習と呼んでいる。文部科学省(2006)は,教職大学院においては,学部段階における教育実習をさらに充実・発展させた教職専門実習を10単位以上設け必修化している。曽山(2014)は,新任小学校教師の経験過程を明らかにしている。しかし,教職専門実習は,学級経営に関する力量や視点を持つ場でもあるが,教職専門実習にかかわる大学院生の学級経営観の変化は示されていない。また,河村(2010)は学級経営について研究しているが,藤森(2014)は学級経営そのものに対して研究の蓄積が少ないと述べている。学級経営の研究の備蓄が少ないこと等から大学・大学院において担任教育が充実していない可能性がある。本研究は,ストレートマスター1年生の教職専門実習における学級経営観の変化過程を検討する。教職専門実習におけるストレートマスター1年生の学級経営観の変化を明らかにすることによって,「学級経営,学校経営に関する領域」の指導の在り方の参考になると思われる。さらに,大学・大学院の教員養成段階における担任教育の発展につながると思われる。
方 法
研究方法:質的研究方法であるKJ法(川喜多,1967)を用いた。「教職大学院生の教職専門実習において学級経営観がどのように変化したか」というリサーチクェッションのもと,2014年6月と実習を終えた10月に,質問紙等で実施した。なお,教職専門実習を以下実習と記す。
研究協力者:以下の用件をすべて満たすストレートマスター1年生9名(男4名,女5名)である。1教職経験のない者,2『学級経営,学校経営に関する領域』の授業未履修者,3学部において教育実習を終えた者。
結果と考察
図1・2に実習前後の学級経営観を示す。分析資料から大カテゴリーを≪≫,中カテゴリーを【】,小グループを<>で表す。
(1) 学級経営についての実習記録の必要性
もっとも顕著に書かれたのは,担任の重要性である。大学院生は実習前には,≪担任の姿勢≫をあげていた。しかし,実習後は,≪担任の役割の重さ≫を感じていた。学生・大学院生は,教育実習全般について実習記録を書くが,担任の役割は重要であり,学びの意識づけのために,学級経営に関しての実習記録も1項目として必要であろう。
(2) 学校現場の捉えなおし 概念から明確化
大学院生は,実習前には≪学級の機能≫,実習後には≪学級経営の指導方法・目標≫と≪抽象的な考えから明確さへ≫と導き出されている。本研究は『学級経営,学校経営に関する領域』の授業を行っていない段階の調査であり,学級経営の指導法や目標作りを『学級経営,学校経営に関する領域』の授業に取り入れることにより担任教育を深めることができると考える。
(3) 担任の役割の発見と次の自己の目標を設定
実習前には,6名の大学院生が【課題】として<学級崩壊>をあげていた。しかし,実習後あげているものはいなかった。大学院生は実習後≪自己の課題と次の実習目標≫を発見し,担任教育の学びの動機を得ることができた。教職大学院では実習機会が多いため,次の実習において担任教育に生かされると思われる。