日本教育心理学会第57回総会

講演情報

ポスター発表

ポスター発表 PG

2015年8月28日(金) 10:00 〜 12:00 メインホールA (2階)

[PG024] 小学生への対人スキルアップ学習の実施とその効果の検証

核のプログラムとショートプログラムを組み合わせた スキル定着のための手立てを通して

黒水温1, 高松勝也2 (1.福岡教育大学大学院, 2.福岡教育大学)

キーワード:対人スキルアップ学習, ショートプログラム

1 問題と目的
中央教育審議会答申(2007)等の報告から今日的な児童の課題として規範意識の希薄化,自尊感情の低下,人間関係づくりが不得手という課題が読み取れる。そこで,問題を未然に防ぐ開発的予防的生徒指導としての心理教育プログラムの一層の充実が求められている。
しかし,心理教育プログラムの実施に関して学校現場では時間の確保,教育課程への位置付け,スキルの強化・般化の方策への課題が挙げられる。
そこでこれらの課題の解決の手立てとして,北九州市立皿倉小学校で実践されている対人スキルアップ学習をもとに核となるプログラムとスキル定着のためのショートプログラムを組み合わせて再構成したプログラムを実施し,その効果の検証を行った。
2 研究の方法と結果
(1)調査期間 2014年10月~2014年12月
(2)研究対象 福岡県内の公立小学校第5学年のA組(30名)を実践学級,B組(31名)を統制学級とした。
(3)手続き 効果測定は小学生版「社会性と情動」尺度を使用する。効果測定プログラムの前後(10月,12月)に行った。
(4)実践の内容 核となるプログラムは45分を1回とする。ショートプログラムは1回15分で核のプログラムと関連した内容を行う。15分×3回を1ユニットとする。核のプログラムは特別活動の時間に,ショートプログラムは朝の活動時間に行った。本研究では年間計画のうち9月から12月のものを11月と12月に集中して行った。
(5)結果 SEL-8S (社会性と情動の学習)の8つの能力を基礎的社会的能力と応用的社会的能力の2つに分け,平均値以上を上位,平均値未満を下位として分析した。小学生版「社会性と情動」尺度の上位群の変容を表1に,下位群の変容を表2に示す。その結果,上位群,下位群ともに基礎的社会的能力,応用的社会的能力において有意差は認められなかった。
実践学級担任への半構造化面接の結果,「ショートプログラムは(中略)シンプルな展開なのでわかりやすかった。」と取り組みやすさを感じていた。
(6)考察 実践の結果,実践学級と統制学級では小学生版「社会性と情動」尺度の変容は見られなかった。その原因として,本来4か月で実践する計画のプログラムを2か月間という短い期間で実施したことや核のプログラムが2回,ショートプログラムが4ユニットと回数が少なかったことが原因として考えられる。また,今回の実践ではショートプログラムの効果も見られなかった。短い期間で集中して実践を行っても児童には社会的能力は身につかないのではないかと考える。
小学生版「社会性と情動」尺度の結果では有意差が見られなかったが,児童の感想からは実践を行ったことで自己理解や他者理解の深まりにつながるような感想が認められる。このことから,今後継続して実践することでさらに変容する可能性があるのではないかと考える。