[PG027] 教職科目受講学生が抱く興味・関心の内容とその理由
「教育相談」の実践を通して
Keywords:教職科目, 興味・関心, 教育相談
1.目的
大学生が,受講科目に対して積極的な興味・関心を持ち,主体的・能動的に学ぶことが求められている。本研究は,教員養成課程の教職科目である「教育相談Ⅱ」の受講学生を対象に,どのような授業内容に対して興味・関心を抱き,それにはどのような理由が挙げられるか明らかにすることを目的とする。本科目は,教育相談の理論及び方法を学修するものであり,教職に関する科目として設定されている。
2.方法
調査対象者:私立女子大学で教職科目を受講した学部2年生38名。
調査時期:2015年2月上旬
調査内容:教職科目「教育相談Ⅱ」の全授業実施後に,自由記述式の質問紙調査を行った。質問項目は,(1)この授業の中で,興味をもって学ぶことができたテーマや内容はありましたか。ある場合,それはどのようなことですか,(2)なぜ,興味がもてましたか,面白いと感じましたかの2問であった。なお,「教育相談Ⅱ」の内容は,学校における教育相談体制,教育相談に活かすカウンセリングの理論と技法,面接の基本,予防・開発的な教育相談,児童生徒の心の諸問題(不登校,いじめ,発達障害など)であった。
分析方法:得られた記述内容の類似性に基づき,2名でカテゴリー分類を行った。
3.結果と考察
(1)興味・関心を持った内容の分類
延べ48件の回答が得られ,1名が無回答であった。ほとんどの学生が興味を持って学ぶことができたと考えられた。「発達障害」や「いじめ」といったテーマに回答した学生はやや多かった。しかし,授業内容を概ね網羅する回答が挙げられ,少数のテーマに偏るのではなく,学生によって興味・関心は異なることが示された。
(2)興味・関心を持った理由の分類
延べ72件の回答が得られ,11のカテゴリーに分類した(Table1)。時間的な経過から,「講義受講前」「講義受講中」「講義受講後」の3段階として整理し,3つの段階における学生の興味・関心の理由についてまとめた。
①講義受講前:受講する以前から,心理学や特別支援教育に興味を持っている学生は,さらに学ぶことへの関心を抱いていた。
②講義受講中:授業内容から得られた,児童・生徒に関する新たな気づきや発見をしたことや,知識や技能の習得を実感したことが,興味・関心を持つことに繋がっていた。また,学習内容を日常生活に結びつけて理解することや,実際の学習に活用することが授業内容を身近に感じることに繋がり,興味を持つきっかけになったと考えられた。さらに,自身の学校生活の振り返りや,現在の実習やボランティア活動を通した体験との結びつきが意識されることによって,学習内容の関心が増すものと思われた。
③受講後:学校で起こる諸問題に対し,教師としての対応に必要な知識や能力を学ぶことの重要性を再認識することで,あるべき教師像や理想の教師像が意識化され,興味・関心を持つようになることが推察された。
以上より,「教育相談Ⅱ」の実践を通した,受講学生が抱く興味・関心の内容とその理由が明らかとなった。授業内容に対して興味・関心を高くもち学修することは,知識や技能の獲得の促進や,教師の役割の再認識,教師像の明確化につながるものと考えられる。また,単に知識を獲得するだけではなく,学修した内容が過去や現在の学修体験と結びつくことで,具体的にどのように児童・生徒と関わっていくことが良いのかイメージできるようになると言える。今回は,全授業終了後に調査を行ったが,今後は,学修の経過の中で,学生の興味・関心の変容過程を明らかにしていく必要がある。
大学生が,受講科目に対して積極的な興味・関心を持ち,主体的・能動的に学ぶことが求められている。本研究は,教員養成課程の教職科目である「教育相談Ⅱ」の受講学生を対象に,どのような授業内容に対して興味・関心を抱き,それにはどのような理由が挙げられるか明らかにすることを目的とする。本科目は,教育相談の理論及び方法を学修するものであり,教職に関する科目として設定されている。
2.方法
調査対象者:私立女子大学で教職科目を受講した学部2年生38名。
調査時期:2015年2月上旬
調査内容:教職科目「教育相談Ⅱ」の全授業実施後に,自由記述式の質問紙調査を行った。質問項目は,(1)この授業の中で,興味をもって学ぶことができたテーマや内容はありましたか。ある場合,それはどのようなことですか,(2)なぜ,興味がもてましたか,面白いと感じましたかの2問であった。なお,「教育相談Ⅱ」の内容は,学校における教育相談体制,教育相談に活かすカウンセリングの理論と技法,面接の基本,予防・開発的な教育相談,児童生徒の心の諸問題(不登校,いじめ,発達障害など)であった。
分析方法:得られた記述内容の類似性に基づき,2名でカテゴリー分類を行った。
3.結果と考察
(1)興味・関心を持った内容の分類
延べ48件の回答が得られ,1名が無回答であった。ほとんどの学生が興味を持って学ぶことができたと考えられた。「発達障害」や「いじめ」といったテーマに回答した学生はやや多かった。しかし,授業内容を概ね網羅する回答が挙げられ,少数のテーマに偏るのではなく,学生によって興味・関心は異なることが示された。
(2)興味・関心を持った理由の分類
延べ72件の回答が得られ,11のカテゴリーに分類した(Table1)。時間的な経過から,「講義受講前」「講義受講中」「講義受講後」の3段階として整理し,3つの段階における学生の興味・関心の理由についてまとめた。
①講義受講前:受講する以前から,心理学や特別支援教育に興味を持っている学生は,さらに学ぶことへの関心を抱いていた。
②講義受講中:授業内容から得られた,児童・生徒に関する新たな気づきや発見をしたことや,知識や技能の習得を実感したことが,興味・関心を持つことに繋がっていた。また,学習内容を日常生活に結びつけて理解することや,実際の学習に活用することが授業内容を身近に感じることに繋がり,興味を持つきっかけになったと考えられた。さらに,自身の学校生活の振り返りや,現在の実習やボランティア活動を通した体験との結びつきが意識されることによって,学習内容の関心が増すものと思われた。
③受講後:学校で起こる諸問題に対し,教師としての対応に必要な知識や能力を学ぶことの重要性を再認識することで,あるべき教師像や理想の教師像が意識化され,興味・関心を持つようになることが推察された。
以上より,「教育相談Ⅱ」の実践を通した,受講学生が抱く興味・関心の内容とその理由が明らかとなった。授業内容に対して興味・関心を高くもち学修することは,知識や技能の獲得の促進や,教師の役割の再認識,教師像の明確化につながるものと考えられる。また,単に知識を獲得するだけではなく,学修した内容が過去や現在の学修体験と結びつくことで,具体的にどのように児童・生徒と関わっていくことが良いのかイメージできるようになると言える。今回は,全授業終了後に調査を行ったが,今後は,学修の経過の中で,学生の興味・関心の変容過程を明らかにしていく必要がある。