The 57th meeting of the Japanese association of educational psychology

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ポスター発表

ポスター発表 PG

Fri. Aug 28, 2015 10:00 AM - 12:00 PM メインホールA (2階)

[PG032] お菓子の自伝的記憶における対人的状況

エピソードに関する検討

坪井寿子 (東京未来大学)

Keywords:自伝的記憶, お菓子, 対人的状況

問 題
私たちにとってお菓子は身近な存在であり,幼少時の懐かしい思い出にもなっている。お菓子の自伝的記憶については,お菓子に関する過去のエピソードが,現在のお菓子及びより広く食に対する考えや行動にも影響を及ぼすこともある(坪井 2014)。そこでは感覚モダリティなどお菓子自体の特性を中心に個々人のお菓子への関わりについての検討を行ったが,個食などの食育の問題からするとお菓子を誰とどのような状況で食べた出来事なのかについても検討することが必要となる。個食の問題は食事が主なものであり自伝的記憶との関連も既に検討されている(飯塚 2014)が,お菓子への関わり方は食事への関わり方にもさまざまに影響すると考えられることから,お菓子の自伝的記憶における対人的状況について検討することとした。
方 法
大学生173名(男性46名,女性127名及び平均年齢20.0歳)を対象に集団式質問紙法で施行した。「1人でお菓子を食べた出来事」及び「誰かとお菓子を食べた出来事」について,最も印象に残るエピソード及び印象評定(「鮮明度」「重要度」「想起頻度」「当時の気持ち」「振り返ったときの現在の気持ち」についてそれぞれ7件法)を回答してもらった。
結果と考察
1.エピソードの内容
「1人でお菓子を食べた出来事」については,留守番しているときで寂しかったといった記述が比較的多く見られた。ほかにも「七五三の時の千歳飴で,こんなに長いのを食べていいのかとわくわくしていた(7歳の時のエピソード:以下同様)」,「お兄ちゃんのお菓子を,家に1人でいるときにこっそりと食べた(6歳)」などのエピソードが見られた。
「誰かとお菓子を食べた出来事」については,家族や友人などと楽しくお菓子を食べたといった記述が多く見られた。ほかにも「秘密基地でアイスを食べた(8歳)」,「学校帰りに友達とスーパーでお菓子をたくさん買って食べた(14歳)」などのエピソードが見られた。
2.エピソードの印象評定
各エピソードに対する印象評定の平均値を以下に示す(数値の左側は1人で食べた場合,右側は誰かと食べた場合の値,括弧内はt検定の結果)。鮮明度は4.05, 5.04(t=6.30 p<.01),重要度は2.87, 4.32(t=9.12 p<.01),頻度は2.47, 3.32(t=6.64 p<.01),当時の気持ちは4.76, 5.58(t=5.76 p<.01),現在の気持ちは4.19, 5.21(t=7.78 p<.01),である(図1)。以上により,「誰かとお菓子食べた」場合の方が,鮮明度,重要度,頻度ともに高く,当時の気持ちも現在振り返っても良い印象であることが示された。
3.まとめ
以上の結果から,「誰かとお菓子を食べた」出来事の方がより強く印象に残り,ポジティブな印象も強かったと言える。その一方で,周囲に人はいたが1人でお菓子を食べたといった場面は殆ど見られなかった傾向もあり,個々のエピソードと対人的状況との関連をさらに検討する必要がある。