The 57th meeting of the Japanese association of educational psychology

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ポスター発表

ポスター発表 PG

Fri. Aug 28, 2015 10:00 AM - 12:00 PM メインホールA (2階)

[PG044] 女子短期大学生の心理的発達に関する縦断研究(32)

学校満足度と自尊感情,抑うつの関係

五十嵐素子1, 森山雅子2, 杉本英晴3, 谷伊織4 (1.北海学園大学, 2.愛知江南短期大学, 3.中部大学, 4.東海学園大学)

Keywords:自尊感情, 抑うつ, 大学生

問題と目的
近年,メンタルヘルス不全や退学,進路未決定等,さまざまな大学生の不適応に関する要因について検討し,それらを学修面や就職活動等の支援に生かそうとする試みが多くの高等教育機関において見られる。その検討される要因や介入方法などについてはさまざまであるが,いずれも適応的な大学生活を支援することを目的としたものであろう。そこで,本研究では学生の心理的発達やキャリア形成,大学への適応のあり方を明らかにし,学生支援の方法について検討することを目的とした包括的な学生の心理的発達に関する2年間にわたる縦断調査を行った。
本報告ではその一環として,大学生活の満足度と自尊感情,抑うつとの関連を検討した結果を報告する。大学生活における学校に対する満足度は適応的な学生生活を送る上での一つの要因になると考えられるが,学校生活における満足度とメンタルヘルスの関連について縦断的にその関連性を扱った研究は多くない。そこで,これらについて,縦断的に調査を行ったうえで関連性を検討する。学生の学校満足度はメンタルヘルスと相互に影響を与えていると考えられるだろう。ここでは当該校の学生生活における7時点のデータを用いて検討する。
方 法
対象者:東海地区におけるA女子短期大学において,研究の趣旨に同意した大学生の198名を対象として2年間にわたる3か月ごと,7回の質問紙による縦断調査を行った。
調査項目:①Center for Epidemiologic Studies Depression Scale(Radloff, 1977: 島他, 1985 : CES-D)を抑うつの指標として用いた(20項目, 0-60点)。②自尊感情尺度(Rosenberg, 1965: 星野, 1970):精神的健康を支える一つの側面である,自己のとらえ方として自尊感情の指標として用いた(10項目,10-40点)。③学校満足度:単一項目にて,0-100までの得点をつけることによって評価した。なお,当該校においては倫理委員会が設置されていないため,学長による研究計画および倫理指針の承認を受けた。
結 果
7時点におけるCES-D,自尊感情尺度の各尺度得点を算出したうえで,各尺度間の相関係数を算出した。その結果,学校満足度と抑うつ,自尊感情との間の相関係数はどの時点においてもほとんどが無相関であり,有意であった相関についてもその値は概ね小さいものであった(Table 1)。
考 察
学校満足度は抑うつ,自尊感情との間にほとんど意味のある相関関係を見出すことができなかった。同じデータを用いた先行研究(五十嵐他, 2013)では,学生生活の後半における時間的展望体験と学校満足度の間に中程度の相関が見られており,単一項目による学校満足度の測定の問題から相関関係が見られないというわけではないと考えられる。すなわち,学校生活に対する満足度は精神的健康度よりも,現在に対する時間展望といった感覚に影響を受けやすいと考えられる。今後はこれらの変数を総合的に扱ったさらなる検討が必要であろう。