The 57th meeting of the Japanese association of educational psychology

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ポスター発表

ポスター発表 PG

Fri. Aug 28, 2015 10:00 AM - 12:00 PM メインホールA (2階)

[PG054] 就職活動時における目標と行動の関連

内定獲得有無の視点からの検討

小菅清香 (学習院大学大学院)

Keywords:目標, 就職活動, 大学生

目 的
就職活動時における目標は行動,成果に影響する(Saks, Brown and Lent, 2005)。日本人大学生がもつ就職活動時の目標と内定数について検討した小菅(2014)は,内定数に結びつきやすい目標があることを示したが,本研究ではさらに,内定獲得の有無という視点から,目標と行動の関連について検討を行うこととした。先行研究において,行動すなわち就職活動は全般的な活動とみなされ,個々の活動として扱われていなかった点をふまえ(Kanfer, Wanberg, & Kantrowitz, 2001),行動は個別の就職活動を扱うこととした。
具体的には,内定を獲得した者とそうでない者における目標,時期ごとの個別の活動について検討を行った。
方 法
1.調査時期および内容
第1回調査2012年12月 就職活動頻度:模擬面接・模擬試験参加数,エントリーシート(ES)送付企業数。
第2回調査2013年4月 ①就職活動方針:内定獲得者に対するインタビューをもとに小菅(2014)が作成した。活動量重視・内定数重視・条件重視についての各3項目,計9項目。②就職活動頻度:第1回調査と同様の項目。
第3回調査2013年10月 内定獲得数:内定獲得数について回数の記入を求めた。
2.調査対象
いずれの調査も授業時間を利用して一斉に実施した。全ての調査に参加し,進路希望を就職とした関東圏内の私立大学の大学3年生,男性18名
女性36名の計54名(平均年齢は20.93歳,SD=.77)を分析対象とした。
結 果
第3回調査での内定獲得の有無により,内定無群(N=13)と内定有群(N=41)とに分類した。
内定有群は無群に比して,内定数重視が低く,12月の模擬面接・模擬試験参加数,4月のES送付企業数が多かった。内定獲得の有無により目標間および目標と就職活動頻度との相関が異なった(表1参照)。
考 察
t検定の結果より,内定有群は無群に比して,早期に適切な活動を開始していることから,内定を獲得しているものと考えられた。
また,目標同士の関係に着目すると,内定有群は内定数を重視する目標をもつほど活動量を重視するという目標をもつのに対し,無群は内定数重視目標とその他の目標との関連がなかった。このことから,就職活動時に学生が有する目標の関係性は異なることが示され,それがもたらす成果についても異なる影響を及ぼす可能性が示唆された。
さらに,目標と行動の関連については,内定獲得有無群のそれぞれにおいて,早期に活動を行った者は活動量を重視していた者であった。
以上をふまえれば,内定獲得の有無には,活動開始時期が重要であると考えられた。また,早期の活動がみちびかれるような適切な目標を学生にもたせることが,内定獲得という成果をもたらすのに重要である可能性が示唆された。