日本教育心理学会第57回総会

講演情報

ポスター発表

ポスター発表 PG

2015年8月28日(金) 10:00 〜 12:00 メインホールA (2階)

[PG060] 多面的協調性尺度の作成

高校生のデータをもとに

登張真稲1, 首藤敏元2, 大山智子3, 名尾典子#4 (1.文教大学, 2.埼玉大学, 3.白百合女子大学, 4.文教大学)

キーワード:協調性, 尺度作成, 高校生

【問題と目的】
登張・大山・首藤・木村・名尾(2012)は,協調的な対人方略をとる傾向を示す項目を含む新たな協調性についての質問紙を作成し,大学生対象に調査を実施した。筆者らは,この大学生対象のデータを再分析し,25項目を選択して一部の項目の表現を変更した質問紙を作成し,これを用いて高校生対象の調査を行った。本研究では,この高校生のデータの因子分析結果をもとに,多面的協調性尺度を作成する。
【方 法】
1.大学生対象の調査
協力者:大学生男子237,女子260,計497名
調査実施:2011年12月~2012年1月
測度:協調性についての38項目 5件法
分析:38項目について因子分析(最尤法,プロマックス回転)を行うと4因子が抽出された。負荷量の高い項目の内容から第1因子は協調的問題解決,第2因子は調和志向,第3因子は非協調志向,第4因子は協力志向と命名した(登張他,2012から変更)。当該の因子負荷量が.35未満の項目と,複数の因子の負荷量が同等となる項目,類似内容の項目,表現が極端な項目を削除し,25項目を選択した。
2.高校生対象の調査
協力者:高校生男子325,女子380,計705名
測度:上記の25項目のうち2項目の表現を若干変更したものを用いた。
調査実施:2014年2月
【結果と考察】
高校生データの25項目の協調性項目について,因子分析(最尤法,プロマックス回転)を行うと,大学生データの因子分析結果と類似した結果となったが,第1因子は調和志向を表す因子,協調的問題解決を表す因子は第2因子となった。また,大学生データの結果で協調的問題解決因子の負荷量が高かった2項目は,高校生データの結果では,非協調志向因子の負荷量の方が高かった。この2項目を除いて分析すると,大学生データの結果で協力志向因子の負荷量が高かった「人間関係を第1に考えて行動している」は,調和志向因子の負荷量の方が高くなった。この項目と,調和志向と協調的問題解決因子の負荷量が相対的に低い2項目も削除し,20項目を選択した。この20項目について確認的因子分析を行った(Table 1)。
注)高校生データ
適合度は許容範囲内であると考えられる。因子間相関は,協調的問題解決,非協調志向,協力志向の3因子間がやや高く(rs=-.58,.63,-.61),調和志向と他の3因子間はやや低かった(rs=.21,-.32,.20)。
この因子分析結果をもとに,調和志向,協調的問題解決,非協調志向,協力志向の4下位尺度からなる多面的協調性尺度を作成した。協調性の様々な側面を表し,協調性の発達を検討するのに有用な尺度ができたと考えられる。
【引用文献】
登張他 (2012). 日心76回大会発表論文集,23.