The 57th meeting of the Japanese association of educational psychology

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ポスター発表

ポスター発表 PG

Fri. Aug 28, 2015 10:00 AM - 12:00 PM メインホールA (2階)

[PG062] 養護教諭が把握する東日本大震災後の子どもの変化

気がかりな子どもへの養護教諭の対応

西野美佐子1, 平川昌宏2, 沼山博3, 内藤裕子4, 荒井美智子5 (1.東北福祉大学, 2.東北福祉大学, 3.山形県立米沢栄養大学, 4.東北福祉大学, 5.聖和学園短期大学)

Keywords:東日本大震災, 養護教諭, 子どもの気がかり

問 題
東日本大震災の人的被害は,全国で18,534人,99.6%(18,463人)が,岩手・宮城・福島3県で,その中の58.7%(10,833人)が宮城県であった。また,0-20歳の被害は,全人口比が18.5%に対して6.5%であった。子ども(私立の園・校も含む)の被害は合計617人,宮城県は最多で430人(小学生186名,中学生75名,合計261名)。被災した学校は89校。被災した現地校で再開した学校41校(小学:23校,中学10校,高校8校),間借りまたは仮設の校舎で再開した学校は23校(小学23校,中学8校,高校4校)であった。津波被災により閉校した学校は,2011年度末で2校,2012年度末15校(地域が壊滅的な被害を受け閉校した6校が含む),被災した小・中学校の35校が統廃合により18校となり,学校は地域とともに消失していく状態が続いた。震災から4年経過した現在(2015年度),間借り校舎6校,仮設校舎5校の学校が残っている。一方で,内陸部の学校は,被災地からの転入生受け入れで児童数が増加(小学校:最小2名から最大59名,中学校:最小12名―最大104名)した学校も見られる。宮城県の沿岸地域は人口流失・過疎化が進行し,一方で隣接の内陸部では人口が目立って増加した市町もあるなど,学校は地域コミュニティのあり方等の影響を強く受け,楽興環境が変化した。
目 的
本研究の目的は,学校における養護教諭が把握する大災害後の子どもの気がかりな姿と,そうした気がかりな子どもへの養護教諭の対応を調べることで,学校及び教師支援のあり方を検討する事である。
方 法
郵送法による質問紙調査を実施した。
<調査対象>宮城県内の全公立小学校・中学校・高等学校713校に勤務する養護教諭
<調査時期>2013年8月と2014年8月2回
<質問紙の内容>フェースシート(2011年度以降の勤務校の市町及び学校種・経験年数)
2011年度,2012年度,2014年度別に,学校で見られた「子どもの姿」を身体的・心理的・行動的反応計25項目とその子どもへの養護教諭の対応10項目を挙げ該当項目全て○を付けてもらった。両方の問の「その他」を選んだ方には自由記述で回答させた。
結 果
第1回目の調査の回収数368名(回収率51.6%)第22回調査の回収数298名(43%)。
子どもの反応と養護教諭の対応結果:
考 察
子どもの反応の経年変化として,直後気がかり反応は2012年度減少するが,3年半が経過し増加傾向がみられる。また地域差が有意で,養護教諭の対応も沿岸部がより気がかりな子どものケース会議等校内連携が有意に多い。未曾有大震災からの復興は,長い道のりを要する。未来を担う子どもを教育する学校をプラットファームとして長期的支援を継続していく必要がある。
付 記
本研究の質問紙調査の実施にあたり,東北福祉大学倫理委員会の審査を受け承認された。承認番号NO RS1307125)
謝 辞
本研究は東北福祉大学感性福祉研究所における文部科学省の私立大学戦略的研究基盤形成支援事業(平成24年度~平成28年度)における私学助成を受けている。