The 57th meeting of the Japanese association of educational psychology

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ポスター発表

ポスター発表 PG

Fri. Aug 28, 2015 10:00 AM - 12:00 PM メインホールA (2階)

[PG065] 大学キャンパスにおける総合的学生支援

学生総合支援室とカウンセラー・ソーシャルワーカーの協働

菊池悌一郎1, 下田学#2 (1.九州工業大学, 2.九州工業大学)

Keywords:学生相談カウンセラー, キャンパスソーシャルワーカー, 総合的学生支援

はじめに
近年,大学キャンパスにおける学生支援,学生相談には,多岐にわたる問題やニーズが持ち込まれている。このような状況に対応するため,吉武(2005)では「コミュニティ・アプローチモデル」,菊池(2012)では「多水準介入モデル」が示されており,学生相談カウンセラーには個別のカウンセリングに加えて,グループ活動やコンサルテーション,関係者間の橋渡し機能,また危機状況におけるマネジメントなどの活動,役割が期待されるようになっている。しなしながら,学生相談カウンセラーが,学内外のさまざまな資源を十分に活用し,いくつもの役割を担っていくのは,物理的にも機能的にも限界があり,別にそれらを担う専門性を有する人員,組織の設置が求められる。そこで発表者の所属する大学においては,従来の学生相談機関とは別に,新たに「学生総合支援室」を開設し,福祉の専門資格を持つ「キャンパスソーシャルワーカー」を配置した。ここでは学生総合支援室及びキャンパスソーシャルワーカーによる活動状況を報告し,さらに学生相談カウンセラーとキャンパスソーシャルワーカーの協働について検討する。
方法
学生総合支援室:副学長(学生担当)を室長とし,キャンパスソーシャルワーカー(週3日勤務),事務員である。また学生相談を担ってきた教員がカウンセラーを兼任したまま副室長として配置換えとなった。
相談窓口:3つの窓口を設けた。「学生なんでも相談窓口」,「障がい学生相談窓口」,「教職員サポート窓口」。これらの窓口については,チラシやホームページを通じて広報した。
活動:週1回程度の副室長,キャンパスソーシャルワーカー,事務員による「ミーティング」を行った。ミーティングでは,体制や活動に関する事柄から,個別のケースについてまで広く協議した。また特に運営に関しては室長,担当事務部も交えた「室長会議」を2ヶ月に1回程度開催した。
結果
開設1年目のX年度に学生総合支援室で対応した相談内容,件数をTable.1に示す。
また不登校学生への早期支援として,15件の「アウトリーチ活動」を実施した。さらに障がい学生支援として「ケース会議」を 3ケース7回開催し,合理的配慮を踏まえた修学や学生生活の支援プランを策定した。
考察
日本学生支援機構(2007)では,「学生支援」を教育及び支援活動における相談機能全般,「学生相談」をカウンセラーによる心理的・専門的援助活動と整理している。今回報告した学生総合支援室の活動は,これらをつなぎ,効果的に機能するような「総合的学生支援」といえよう。協働を通して,カウンセラーとソーシャルワーカーの重複する機能について,互いの専門性に基づいた役割分担が今後の課題となった。
本研究はJSPS科研費 26380931の助成を受けたものである。