[PH021] サークル集団における行事活動の心理的成果を測定する尺度作成の試み
キーワード:大学生, サークル集団, 行事活動
問題と目的
本論文は,サークル集団における行事活動の心理的成果を測定する尺度の作成を目的とする。
小学校・中学校・高校における学校行事は,生徒が学級に適応する契機と認識されており(山田,2000),学校行事の経験は,生徒の主体性や責任感を高めることが明らかにされている(首藤,1991など)。大学においても,大学生が多く所属するサークル集団において,様々な行事活動が実施されている。しかし,大学生サークル集団における行事活動を扱った研究は少ない。そのため,本研究では,サークル集団の行事活動で獲得される心理的成果を測定する尺度を作成することを目的とする。
方 法
調査参加者 調査時期は2013年10月に,インターネット調査を用いて大学生310名に回答を求めた。
調査内容 調査では以下の3つの項目に回答を求めた。
1)半年以内に経験した行事活動調査実施時から半年前までの間で経験した行事活動について,“競技大会”“発表会”“合宿”“親睦会”“その他”“経験した行事はない”の6つの選択肢よりあてはまるものをすべて選択するように求めた。
2)最も重要な行事活動 1)で選択された行事活動の中から,最も重要だと感じた行事活動を1つ選択するように求めた。
3)行事活動の心理的成果尺度 行事活動を獲得された心理的成果を測定するために,最も重要な行事活動として選択された行事活動を想起させ,心理的成果尺度への回答を求めた。尺度は,高田(2012)を参考に,12項目を作成し,5件法により回答を求めた。
結果と考察
因子分析 行事活動の心理的成果尺度に対して因子分析(主因子法,Promax回転)を実施した。結果をTable 1に示す。その結果,第一因子は,集団に慣れ親しむことができたことを表す項目がまとまっていたため,“集団での交流”と命名した。第二因子は,成果や成長を確認することを表す項目がまとまっていたため,“成果の達成”と命名した。第三因子は,自身の成長を表す項目がまとまっていたため,“成長感”と命名した。
行事活動の内容による差 次に,行事活動の内容によって,獲得される心理的成果に差がみられるかを検討するために,行事活動の内容を独立変数とする分散分析を実施した。行事活動の内容は,“その他”を除く4水準を用いた。分散分析の結果,主効果は“成果の達成”(F (185, 3)=8.82, p<.001., η2=.125)と“成長感”(F (185, 3)=8.71, p<.001., η2=.124)でみられたが,“集団での交流”ではみられなかった(F (185, 3)=.817, n.s., η2 =.013)。そのため“成果の達成”と“成長感”に対して多重比較を実施した結果,“成果の達成”と“成長感”は,“親睦会”よりも”競技大会”,“発表会”,“合宿”で経験されやすかった。また“成果の達成”は,“発表会”,“合宿”,“親睦会”の順で経験されやすかった。
本研究では,行事活動の心理的成果が3つに分類される尺度を作成した。今後は,行事活動を効率的に運営する方略を検討するために,行事活動の心理的成果が大学生の適応に及ぼす影響を検討する必要があると考えられる。
本論文は,サークル集団における行事活動の心理的成果を測定する尺度の作成を目的とする。
小学校・中学校・高校における学校行事は,生徒が学級に適応する契機と認識されており(山田,2000),学校行事の経験は,生徒の主体性や責任感を高めることが明らかにされている(首藤,1991など)。大学においても,大学生が多く所属するサークル集団において,様々な行事活動が実施されている。しかし,大学生サークル集団における行事活動を扱った研究は少ない。そのため,本研究では,サークル集団の行事活動で獲得される心理的成果を測定する尺度を作成することを目的とする。
方 法
調査参加者 調査時期は2013年10月に,インターネット調査を用いて大学生310名に回答を求めた。
調査内容 調査では以下の3つの項目に回答を求めた。
1)半年以内に経験した行事活動調査実施時から半年前までの間で経験した行事活動について,“競技大会”“発表会”“合宿”“親睦会”“その他”“経験した行事はない”の6つの選択肢よりあてはまるものをすべて選択するように求めた。
2)最も重要な行事活動 1)で選択された行事活動の中から,最も重要だと感じた行事活動を1つ選択するように求めた。
3)行事活動の心理的成果尺度 行事活動を獲得された心理的成果を測定するために,最も重要な行事活動として選択された行事活動を想起させ,心理的成果尺度への回答を求めた。尺度は,高田(2012)を参考に,12項目を作成し,5件法により回答を求めた。
結果と考察
因子分析 行事活動の心理的成果尺度に対して因子分析(主因子法,Promax回転)を実施した。結果をTable 1に示す。その結果,第一因子は,集団に慣れ親しむことができたことを表す項目がまとまっていたため,“集団での交流”と命名した。第二因子は,成果や成長を確認することを表す項目がまとまっていたため,“成果の達成”と命名した。第三因子は,自身の成長を表す項目がまとまっていたため,“成長感”と命名した。
行事活動の内容による差 次に,行事活動の内容によって,獲得される心理的成果に差がみられるかを検討するために,行事活動の内容を独立変数とする分散分析を実施した。行事活動の内容は,“その他”を除く4水準を用いた。分散分析の結果,主効果は“成果の達成”(F (185, 3)=8.82, p<.001., η2=.125)と“成長感”(F (185, 3)=8.71, p<.001., η2=.124)でみられたが,“集団での交流”ではみられなかった(F (185, 3)=.817, n.s., η2 =.013)。そのため“成果の達成”と“成長感”に対して多重比較を実施した結果,“成果の達成”と“成長感”は,“親睦会”よりも”競技大会”,“発表会”,“合宿”で経験されやすかった。また“成果の達成”は,“発表会”,“合宿”,“親睦会”の順で経験されやすかった。
本研究では,行事活動の心理的成果が3つに分類される尺度を作成した。今後は,行事活動を効率的に運営する方略を検討するために,行事活動の心理的成果が大学生の適応に及ぼす影響を検討する必要があると考えられる。