[PH037] 新設四年制大学における学生生活とキャリア発達およびメンタルヘルスとの関連(4)
Keywords:大学生, キャリア発達, メンタルヘルス
【問題と目的】
高澤・播磨(2014)では新設大学における創設1期生である大学3年生を対象として,上級生というモデルがいない状況における大学生の学業や大学生活への意識およびメンタルヘルスの問題と,キャリアに関する意識や行動の発達との関連について検討した。その結果,新設大学であることが大学生活の充実度に影響なしと考える学生が2年時より増加し,充実度にプラスと考える学生はアイデンティティや日常生活スキルにおいてポジティブにとらえる傾向がみられた。
本研究では新設大学の1期生における4年目の調査から,学生生活への充実とメンタルヘルスの問題と,キャリアに関する意識や行動の発達との関連を検討することを目的とする。
【方 法】
調査協力者:中国地方の新設四年制大学に所属する1期生にあたる4年生107名であった(男30名,女77名)。平均年齢は21.8歳,標準偏差は0.93であった。
調査法:質問紙調査で2014年11月から12月に実施した。
質問紙:調査用紙は性別,年齢,居住形態,出身地域とともに大学選択理由,新設大学であることの大学選択への影響,新設大学であることの現在の学生生活への影響,新設大学であることの今後の進路への影響を尋ねる項目,加えてキャリア探索尺度(安達, 2008)(5件法),多次元自我同一性尺度(谷, 2001)(7件法),青年用適応感尺度(大久保, 2005)(5件法)他から構成された。
【結果と考察】
新設大学であることが大学生活の充実度に影響しているかについて「プラス」と答えた者が23名(21.5%),「影響なし」が49名(45.8%),「マイナス」が35名(32.7%)であり,プラスにもマイナスにも影響していることが示されており,3年生の時よりも「プラス」と回答した学生の割合が多くなった。
次に大学生活の充実度への影響を独立変数として,キャリア探索やアイデンティティ,適応感の各尺度との関連を一元配置分散分析で検討した。
キャリア探索尺度との関連では,環境探索因子,自己探索因子いずれにおいても有意差がみられなかった。
アイデンティティとの関連では,対自的同一性因子において,プラスと考える者がマイナスと考える者よりも有意に高かった(F(2, 104)=3.82, p<.05)(表1)。
次に適応感との関連では,課題・目的の存在因子において,プラスと考える者が,影響なしと考えるもの,マイナスと考える者よりも有意に高かった(F(2, 104)=5.54, p<.01)(表2)。
また,日常スキルとの関連においては,情報要約力因子において,プラスと考える者がマイナスと考える者よりも有意に高いことが示された(F(2, 104)=3.27, p<.05)(表3)。
以上の結果から,先輩がいないという状況が学生生活の充実度がキャリア発達やメンタルヘルスに及ぼす影響は1年時や2年時,3年時に比べて減少するものの,大学生活の充実度にマイナスに影響を及ぼすと考える学生ではアイデンティティの確立や,課題・目的の存在が低いという傾向から,目的の設定などについて継続的な支援が必要であることが示された。
高澤・播磨(2014)では新設大学における創設1期生である大学3年生を対象として,上級生というモデルがいない状況における大学生の学業や大学生活への意識およびメンタルヘルスの問題と,キャリアに関する意識や行動の発達との関連について検討した。その結果,新設大学であることが大学生活の充実度に影響なしと考える学生が2年時より増加し,充実度にプラスと考える学生はアイデンティティや日常生活スキルにおいてポジティブにとらえる傾向がみられた。
本研究では新設大学の1期生における4年目の調査から,学生生活への充実とメンタルヘルスの問題と,キャリアに関する意識や行動の発達との関連を検討することを目的とする。
【方 法】
調査協力者:中国地方の新設四年制大学に所属する1期生にあたる4年生107名であった(男30名,女77名)。平均年齢は21.8歳,標準偏差は0.93であった。
調査法:質問紙調査で2014年11月から12月に実施した。
質問紙:調査用紙は性別,年齢,居住形態,出身地域とともに大学選択理由,新設大学であることの大学選択への影響,新設大学であることの現在の学生生活への影響,新設大学であることの今後の進路への影響を尋ねる項目,加えてキャリア探索尺度(安達, 2008)(5件法),多次元自我同一性尺度(谷, 2001)(7件法),青年用適応感尺度(大久保, 2005)(5件法)他から構成された。
【結果と考察】
新設大学であることが大学生活の充実度に影響しているかについて「プラス」と答えた者が23名(21.5%),「影響なし」が49名(45.8%),「マイナス」が35名(32.7%)であり,プラスにもマイナスにも影響していることが示されており,3年生の時よりも「プラス」と回答した学生の割合が多くなった。
次に大学生活の充実度への影響を独立変数として,キャリア探索やアイデンティティ,適応感の各尺度との関連を一元配置分散分析で検討した。
キャリア探索尺度との関連では,環境探索因子,自己探索因子いずれにおいても有意差がみられなかった。
アイデンティティとの関連では,対自的同一性因子において,プラスと考える者がマイナスと考える者よりも有意に高かった(F(2, 104)=3.82, p<.05)(表1)。
次に適応感との関連では,課題・目的の存在因子において,プラスと考える者が,影響なしと考えるもの,マイナスと考える者よりも有意に高かった(F(2, 104)=5.54, p<.01)(表2)。
また,日常スキルとの関連においては,情報要約力因子において,プラスと考える者がマイナスと考える者よりも有意に高いことが示された(F(2, 104)=3.27, p<.05)(表3)。
以上の結果から,先輩がいないという状況が学生生活の充実度がキャリア発達やメンタルヘルスに及ぼす影響は1年時や2年時,3年時に比べて減少するものの,大学生活の充実度にマイナスに影響を及ぼすと考える学生ではアイデンティティの確立や,課題・目的の存在が低いという傾向から,目的の設定などについて継続的な支援が必要であることが示された。