The 57th meeting of the Japanese association of educational psychology

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ポスター発表

ポスター発表 PH

Fri. Aug 28, 2015 1:30 PM - 3:30 PM メインホールA (2階)

[PH042] ひとり言の心理的機能

YG性格検査との関連を通して

南憲治 (京都橘大学)

Keywords:ひとり言, YG性格検査

【目 的】
ひとり言が発せられる状況とYG性格検査の性格特徴との関連を分析することによって,ひとり言のもつ心理的機能について検討する。
【方 法】
<調査協力者>大学の1年生と2年生,計168名(男子45,女子123名)。
手続き:56項目からなる「ひとり言尺度」を作成し,各項目に記述されている状況や場面において,どの程度ひとり言を発するかについて4件法で回答を求めた後,YG性格検査を行った。
【結 果】
<「ひとり言尺度」の因子分析>「ひとりごと尺度」に因子分析(重みなし最小二乗法・プロマックス回転)を行った結果,最終的に5つの因子が抽出された。第1因子(F1)から順に,「F1:混乱・当惑」「F2:単独状況」「F3:注視」「F4:負の感情」「F5:確認」と各因子に命名した。
<YG性格検査の性格特徴と「ひとり言尺度」の相関>
YG性格検査の12の性格特徴の粗点と「ひとり言尺度」の5因子との相関を求め,その結果をTable 1に示す。
【考 察】
<ひとり言が発せられる状況からみたひとり言の心理的機能>先行研究(南・遠藤・川澤,2000)と同様,人は「混乱・当惑」した際や,「精神的につらい時」「心配事や考え事があるとき」など「負の感情」が生じた時に,ひとり言を言うことによって,自分の気持ちの立て直しを図っていることが示唆された。
<YG性格検査との関連からみたひとり言の機能>
D(抑うつ性)とC(回帰性傾向)の粗点が高い「情緒不安定」な人,またO(主観的)やCo(非協調的)の粗点が高い「社会的不適応」な人,あるいはR(のんきさ)の粗点が高い「内省的でなく,衝動的」な人の場合,予期せぬことが起こり,心が「混乱・当惑」した時や,「負の感情」が生じた時など心が不安定になった時に,ひとり言を発することによって自分の気持ちの立て直しを図っていることがうかがえる。一方,Ag(攻撃的)やG(一般的活動性)の粗点が高い「活動的」な人,あるいはA(支配性)やS(社会的外向)の粗点が高い「主導権を握る」人は,予期せぬことが起こり「混乱・当惑」した時や,「負の感情」が生じ精神的に不安定になるような状況においても,ひとり言を発することによって自分の気持ちの整理を行うことがないように思われる。おそらくこのような性格の人は,「混乱・当惑」した時や,「負の感情」が生じる状況において,心が不安定になることが少ないのではないかと推測される。