The 57th meeting of the Japanese association of educational psychology

Presentation information

ポスター発表

ポスター発表 PH

Fri. Aug 28, 2015 1:30 PM - 3:30 PM メインホールA (2階)

[PH058] キャンプ・カウンセリングに関する研究(6)

キャンプ活動がカウンセリング効果を持つためのメカニズムに関する研究の論点整理

上原貴夫 (長野県短期大学)

Keywords:counseling, camping, methods

はじめに
キャンプの活用はさまざまである。体力増強や技能向上のためのトレーニング,レクレーションなどこれまで多方面から実施されてきた。
本研究の元となる活動は不登校や発達障がい,適応障がい,人間関係障がいなどに効果を発揮するキャンプ活動をめざしている。
1995年から不登校や障がいの小中学生を対象としたキャンプを実施してきた。この活動では一定の効果をあらわしている。
実際に行ってきたキャンプをふり返り,キャンプにおいてカウンセリングとしての効果を生むメカニズムについて検討する。
本報告はその視点に関するものである。討論を通して沢山の示唆をいただきたい。
1.目 的 これまでのキャンプをふり返り,効果をもたらすメカニズムについて検討する。
2.方 法 1995年より不登校や障がいの小中学生を主体としたキャンプを実施してきた。この実践を通して検討していく。
3.結 果 (1)キャンプの概要
1)実施の時期と期間 キャンプはプレキャンプと長期キャンプをセットとして実施する。プレキャンプはインテークキャンプとして実施する。カウンセリングにおける「インテークカウンセル」に該当すると位置づけている。1泊2日の短期を基本としている。長期キャンプは4~5泊の比較的長い期間実施する。時期はプレキャンプでは7月前半の土・日曜日。長期キャンプはおよそ1ヶ月後の8月初旬に実施する。
2)参加者 ①全体のようす 小学校4年生から中学3年生までの児童生徒。約50名。②不登校や障がいなど 年によって内訳は異なるが,不登校の小中学生,知的障がい,自閉症(自閉症スペクトラム含む)などの小中学生。
3)スタッフ①大学,短大学生1日当たり約25名。②リーダー(社会人)1日当たり5~6名。
4)フィールド 長野県内の少年自然の家(2カ所)。環境は,1カ所は人家から離れ,森に囲まれている。別の自然の家は,人里近くで,集落も点在している。森など自然環境も隣接。
5)プログラム ①プレ(インテーク)キャンプ キャンプに関わる情報の収集と提供,フィールドやスタッフ,生活に慣れることをねらいとする。長期キャンプに向けた「順応キャンプ」の意味も持つ。②長期キャンプ 行動や意識の変容などカウンセリングをねらいとする。食事や清掃など生活プログラムと山歩き,登山,ソロキャンプなど企画プログラム。
(2)観点の整理
キャンプ活動がカウンセリングの効果を持つ上で求められる機能と効果をとらえる主な観点として下記が考えられる。
1)直接的な要素
① フィールドが持つ機能と効果
② プログラムが持つ機能と効果
③ スタッフが持つ機能と効果
④ 参加者とかかわる仲間が持つ機能と効果
⑤ 参加者および家族,友人など身近で関わる人がキャンプ実施に至るプロセスにおいて持つ機能と効果
⑥ ①から⑤の総合がもたらす機能と効果
2)参加者に関わる要素 年齢・成長発達段階などの他に不登校や障がいの有無など参加者の特性。
4.結果の考察と展望
自然というフィールドを活用したカウンセリングの効果はこれまでの実践の上から期待できる。今回,整理をした観点について検討を進めている。展開を図る上でスタッフの人材確保や養成,プログラム開発が重要である。
(日本教育心理学会第57回 2015.Aug.26~28)