[PH072] SSTに参加した教職課程の学生は何を学ぶのか
Keywords:ソーシャルスキルトレーニング, 教職課程, 大学生
教職課程の学生における社会性の育成の重要性は,「教職生活の全体を通じた教員の資質能力の総合的な向上方策について」(文部科学省,2012)や教職実践演習における「社会性や対人関係に関する事項」においても指摘されるところにある。児童生徒においても,対人関係及びLINE・ネット上でのトラブルなどにより社会性の未熟さが指摘され,各教科や道徳,総合学習,特別活動といった学校教育活動全体を通じてコミュニケーション能力を高めていくことが求められている。これらの点から,発表者は教職課程の学生自身が社会性を育成することはもちろんだが,生徒の社会性育成のための心理教育ができることも重要であると考えている。社会性育成の一つである心理教育ができるようになることを通して,自身の社会性を見つめ直すことにより教師としての自身の社会性を向上させていくことにもなり,これらのプロセス自体が教職課程の学生にとっては教師になるためのキャリア教育の一環になるのではないかと考える。そこで,本研究では,社会性の一つである対人関係を円滑にするためのやり方としてソーシャルスキルの視点から,ソーシャルスキルトレーニング(SST)を学ばせ,実際に学校の授業に参加させることを通して教職課程の学生は何を学ぶのかを検討することが目的である。
〔方 法〕
調査協力者と授業の時期:教職課程の学生9名。2013年10月から12月に行った授業に4年生3名,2014年10月から12月に行った授業に3年生2名,4年生4名が参加した。
授業の実施方法と内容:高等学校の道徳の時間において学年全体で実施すSSTを5回行った。ターゲットスキルはソーシャルスキルとは(ガイダンス),考えと気持ちを伝えるⅠ(コミュニケーションとは)・考えと気持ちを伝えるⅡ(聴く)・感情のコントロール・共感する(2013年),あたたかい言葉かけ(2014年)。
SSTの手続きと内容:授業の実施は担任教師が行い,教職課程の学生はティーチングアシスタントとして授業に参加した。毎回,授業前はペアの教師と授業に関する事前打ち合わせ,授業終了後には学年の教員全員と一緒に授業の振り返りと次回の打ち合わせを行った。なお,授業を実施する前に大学において研修も行った。
調査方法:インタビュー調査。調査は1対1,半構造化面接法でインタビュアーは筆頭筆者1名で行った。主なインタビュー項目は,授業に参加した感想,授業前に役立った学び,教員との打ち合わせに参加した感想,教職課程でSSTを学ぶことについてであった。
〔結果と考察〕
データは,修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて,インタビューを逐語化したデータを分析した。その結果,135個の概念,10個の小カテゴリ,13個のカテゴリ,3個の大カテゴリが得られた。教職課程の学生は心理教育の授業を体験することにより以下の点が明らかとなった。(1)個人の成長及び専門家としての力量により教師としての成長が心理教育により促進されていることに気付いている。(2)心理教育の難しさを感じてはいるものの,教職課程の科目や研修等で理論を学んでから授業に臨み,安全な学校環境の中で教員との信頼関係が築けていることにより,効果的な授業に結び付くという思いを抱いている。そのため,スキル獲得のための教職課程における学びが非常に重要になってくると認識している。(3)学校における心理教育の重要性と教師になること及び心理教育実施への動機づけが高まったという思いを抱いている。以上より,教職課程における心理教育の重要性と教職課程を通じた学習体系の取組を構築する必要性が示唆された。
本研究は,平成25年度科学研究費助成事業学術研究助成基金助成金基盤研究(C)「教職課程の学生のためのソーシャルスキル教育の開発(課題研究番号:20623961,研究代表者:原田恵理子)の助成を受けた。
〔方 法〕
調査協力者と授業の時期:教職課程の学生9名。2013年10月から12月に行った授業に4年生3名,2014年10月から12月に行った授業に3年生2名,4年生4名が参加した。
授業の実施方法と内容:高等学校の道徳の時間において学年全体で実施すSSTを5回行った。ターゲットスキルはソーシャルスキルとは(ガイダンス),考えと気持ちを伝えるⅠ(コミュニケーションとは)・考えと気持ちを伝えるⅡ(聴く)・感情のコントロール・共感する(2013年),あたたかい言葉かけ(2014年)。
SSTの手続きと内容:授業の実施は担任教師が行い,教職課程の学生はティーチングアシスタントとして授業に参加した。毎回,授業前はペアの教師と授業に関する事前打ち合わせ,授業終了後には学年の教員全員と一緒に授業の振り返りと次回の打ち合わせを行った。なお,授業を実施する前に大学において研修も行った。
調査方法:インタビュー調査。調査は1対1,半構造化面接法でインタビュアーは筆頭筆者1名で行った。主なインタビュー項目は,授業に参加した感想,授業前に役立った学び,教員との打ち合わせに参加した感想,教職課程でSSTを学ぶことについてであった。
〔結果と考察〕
データは,修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて,インタビューを逐語化したデータを分析した。その結果,135個の概念,10個の小カテゴリ,13個のカテゴリ,3個の大カテゴリが得られた。教職課程の学生は心理教育の授業を体験することにより以下の点が明らかとなった。(1)個人の成長及び専門家としての力量により教師としての成長が心理教育により促進されていることに気付いている。(2)心理教育の難しさを感じてはいるものの,教職課程の科目や研修等で理論を学んでから授業に臨み,安全な学校環境の中で教員との信頼関係が築けていることにより,効果的な授業に結び付くという思いを抱いている。そのため,スキル獲得のための教職課程における学びが非常に重要になってくると認識している。(3)学校における心理教育の重要性と教師になること及び心理教育実施への動機づけが高まったという思いを抱いている。以上より,教職課程における心理教育の重要性と教職課程を通じた学習体系の取組を構築する必要性が示唆された。
本研究は,平成25年度科学研究費助成事業学術研究助成基金助成金基盤研究(C)「教職課程の学生のためのソーシャルスキル教育の開発(課題研究番号:20623961,研究代表者:原田恵理子)の助成を受けた。