The 57th meeting of the Japanese association of educational psychology

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準備委員会企画 招待連続講演

家族の愛情を問い直す

カウンセリングの現場から

Thu. Aug 27, 2015 4:00 PM - 6:00 PM 国際会議室 (4階)

講師:信田さよ子#(原宿カウンセリングセンター), 指定討論:根ケ山光一#(早稲田大学), 講師紹介:大浦容子(新潟大学), 司会:中島伸子(新潟大学)

4:00 PM - 6:00 PM

[shoutai02] 家族の愛情を問い直す

カウンセリングの現場から

信田さよ子#1, 根ケ山光一#2, 大浦容子3, 中島伸子4 (1.原宿カウンセリングセンター, 2.早稲田大学, 3.新潟大学, 4.新潟大学)

Keywords:カウンセリング, 家族問題, 愛情

【講演要旨】
開業カウンセリング機関は精神科医療と公的相談のニッチに位置するため,新たな定義や参照枠を要求する主訴の来談が多い。いわば時代の先取り的な問題であり,それに対する有効な援助が提供できなければ私たちは生き残ってはいけないと考えている。アディクションや暴力の問題をとおして,カウンセラーとしての「立場性(ポジショナリティ)」こそが重要だと考えるようになった。家族内弱者・被害者の立場に立たなければ見えない現実があるとすれば,中立性や客観性という言葉はいったい誰に与してきたのだろう。親子・夫婦の関係における力関係,非対称性といった視点を抜きに,日々リアルに生起する多くの問題に取り組むことはできない。当たり前に用いられる「愛情」「ケア」「つながり」「コミュニケーション」といった言葉が,家族の力関係を脱色し,結果的には弱者を抑圧し強者(常識)の側に立ってしまうという陥穽について,カウンセリング経験をとおして具体的にお話ししたい。

【講師のプロフィール】
<関心領域>
アディクション全般,アダルトチルドレン,家族問題,ドメスティックバイオレンス,子どもの虐待などの問題に心理臨床の立場から取り組む。
<略歴>
お茶の水女子大学文教育学部哲学科卒業。お茶の水女子大学大学院修士課程修了(児童学専攻)。駒木野病院勤務を経て,1995年原宿カウンセリングセンター設立,同所長。2003年内閣府男女共同参画推進課「配偶者からの暴力の加害者更正に関する調査研究・研究会」ワーキングチームメンバー。2005年法務省「性犯罪者処遇プログラム研究会」構成員。2015年内閣府「ストーカー行為等の被害者支援実態等の調査研究事業」検討委員。臨床心理士。
<主要著著>
『アディクションアプローチ-もうひとつの家族援助論』1999年 医学書院
『DVと虐待-家族の暴力に援助者ができること」2001年 医学書院
『母が重くてたまらない-墓守娘の嘆き』2008年 春秋社
『それでも,家族は続く』2012年 NTT出版
『愛情という名の支配』2014年 海竜社
『カウンセラーは何を見ているか』2014年 医学書院
『依存症臨床論-援助の現場から』2014年 青土社
『加害者は変われるか?-DVと虐待をみつめながら』2015年 ちくま文庫
『アディクション臨床入門-家族支援は終わらない』2015年 金剛出版