[PA03] 親子の共同発達として捉えた子どもの自己制御機能(10)
2歳台の子どもにおける自己主張・自己抑制の共通性と相違
Keywords:自己制御機能
目 的
本研究の目的は,2歳台の幼児が5歳になるまでの期間における幼児とその母親を対象にした縦断調査(インタビュー・実験)の結果に基づき,「母子の共同発達過程の一側面」として捉えうる幼児の自己制御を明らかにすることである(竹尾・渡辺・渡部,2015)。本発表では,幼児の2歳時のインタビュー調査で母親により語られた子どもの行動について,前稿(9)で検討された自己主張の多様性を踏まえ,自己主張と自己抑制との差異および共通性を検討する。
方 法
(詳細は次稿(11)を参照。)
【調査対象者】7組の子ども(男児4,女児3)とその母親。
【調査方法】1.5ヶ月に1回のペースで実施した縦断調査のうち,本発表では,対象児が2歳0ヶ月前後から2歳11ヶ月にいたるまでの期間のインタビューデータの分析結果について報告する。
【分析方法】本発表では,インタビューにおける母親による語りから抽出された6つの分析テーマの1つ,「子どもの行動」について,「上位カテゴリー」および「語りの側面」に焦点を当て,検討と考察を行う。
結 果
【自己抑制の多様性】本研究では2歳台の自己抑制として8つの上位カテゴリ―が抽出され,従来の抑制の自己抑制の捉え方では扱われることなかった実に多様な自己抑制が見出された。
【自己抑制の自己主張との差異】「語りの側面」に注目した場合,自己主張における「自己主張の手段」に相当する「自己抑制の手段」というものが,自己抑制には見られなかった。自己主張の発達を捉えるにあたって,意図の表出の手段としての言語や動作などの喪失や獲得がその関連要因になりうるが,自己抑制の発達においては,異なる関連要因が存在すると考えられる。
【自己抑制の自己主張との共通性】自己抑制の「語りの側面」である「自律性・自主性の存在」「調整傾向の存在」「周囲への配慮の存在」には子どもの側の主体性が介在していると考えられる。この子どもの側の主体性は母親の子どもの自己主張・自己抑制理解の共通の視点として捉えられよう。
(本研究は科学研究費補助金(課題番号21730527)を受けて行われた。)
本研究の目的は,2歳台の幼児が5歳になるまでの期間における幼児とその母親を対象にした縦断調査(インタビュー・実験)の結果に基づき,「母子の共同発達過程の一側面」として捉えうる幼児の自己制御を明らかにすることである(竹尾・渡辺・渡部,2015)。本発表では,幼児の2歳時のインタビュー調査で母親により語られた子どもの行動について,前稿(9)で検討された自己主張の多様性を踏まえ,自己主張と自己抑制との差異および共通性を検討する。
方 法
(詳細は次稿(11)を参照。)
【調査対象者】7組の子ども(男児4,女児3)とその母親。
【調査方法】1.5ヶ月に1回のペースで実施した縦断調査のうち,本発表では,対象児が2歳0ヶ月前後から2歳11ヶ月にいたるまでの期間のインタビューデータの分析結果について報告する。
【分析方法】本発表では,インタビューにおける母親による語りから抽出された6つの分析テーマの1つ,「子どもの行動」について,「上位カテゴリー」および「語りの側面」に焦点を当て,検討と考察を行う。
結 果
【自己抑制の多様性】本研究では2歳台の自己抑制として8つの上位カテゴリ―が抽出され,従来の抑制の自己抑制の捉え方では扱われることなかった実に多様な自己抑制が見出された。
【自己抑制の自己主張との差異】「語りの側面」に注目した場合,自己主張における「自己主張の手段」に相当する「自己抑制の手段」というものが,自己抑制には見られなかった。自己主張の発達を捉えるにあたって,意図の表出の手段としての言語や動作などの喪失や獲得がその関連要因になりうるが,自己抑制の発達においては,異なる関連要因が存在すると考えられる。
【自己抑制の自己主張との共通性】自己抑制の「語りの側面」である「自律性・自主性の存在」「調整傾向の存在」「周囲への配慮の存在」には子どもの側の主体性が介在していると考えられる。この子どもの側の主体性は母親の子どもの自己主張・自己抑制理解の共通の視点として捉えられよう。
(本研究は科学研究費補助金(課題番号21730527)を受けて行われた。)