[PA04] 親子の共同発達として捉えた子どもの自己制御機能(11)
2歳台の子どもに対する母親の対応:典型例と多様性
Keywords:自己制御, 幼児, 親子関係
目 的
本研究では,母子間の双方向的な影響関係の中で進行する「自己制御の共同発達」(竹尾・渡辺・渡部,2015)という観点から,2歳台の子どもの自己制御的行動に対する母親の対応の特徴(典型的な対応の有無,対応行動のバリエーション等)および母子間での行動の対応関係について,母親へのインタビューデータをもとに検討を行う。
方 法
調査対象者・方法:7組の母子(男児4,女児3)に対し,1.5ヶ月に1回家庭訪問を行い,母親へのインタビューと母子への実験を縦断的に実施した。本研究では,2歳0ヶ月から2歳11ヶ月の期間のインタビューの分析結果について報告する。
分析方法:母親による語りの内容に対しコーディングを行った。具体的には,まず,6つの分析テーマを設定し,語りの中の意味的まとまり(以下「話題」)に対し,上記の分析テーマごとに語りを詳細・具体的に記述可能なコードをボトムアップに設定した(下位カテゴリー)。下位カテゴリーを包括的に扱いうる上位概念(上位カテゴリー)をまとめ,そのうえで母親の語りの内容が持つ複数の側面について上位カテゴリーに基づいて分類した(語りの側面)。本発表では分析テーマのうち「母親の行動」について分析と考察を行う。
結果・考察
母親の対応行動の特徴については7つの側面が抽出された(表中「語りの側面」)。全体的には,親の意図と子どもの意図のいずれを重視するのかについてのカテゴリーの他に「コミュニカティブな対応」,「問題回避型対応」,「第三者を利用した対応」が見られた。母親は,母子の意図のいずれか一方を優先させる対応を常にとるわけではなく,多様な対応方法をとりながら母子間の葛藤解決・関係調整を行っていることがうかがえる。また,母子間の行動の組み合わせについては,初期コミュニケーション的自己主張-親の意図優先のコントロール(言及数:33),動作性自己主張-親の意図優先のコントロール(15),主体的行動へのこだわり-放任・放置・無視(16)についての言及が多かった。言及数の多さからみて,コミュニケーションにおける子どもの意図の明確さと母親の対応選択との関連が考えられる。また言及数は少ないものの他にも多様な組み合わせがあり,上記母親の対応行動の特徴とともに,このことからも母親の対応行動が状況に応じた柔軟さを持ちながら行われていることが分かる。(本研究は科学研究費補助金(課題番号21730527)を受けて行われた。)
本研究では,母子間の双方向的な影響関係の中で進行する「自己制御の共同発達」(竹尾・渡辺・渡部,2015)という観点から,2歳台の子どもの自己制御的行動に対する母親の対応の特徴(典型的な対応の有無,対応行動のバリエーション等)および母子間での行動の対応関係について,母親へのインタビューデータをもとに検討を行う。
方 法
調査対象者・方法:7組の母子(男児4,女児3)に対し,1.5ヶ月に1回家庭訪問を行い,母親へのインタビューと母子への実験を縦断的に実施した。本研究では,2歳0ヶ月から2歳11ヶ月の期間のインタビューの分析結果について報告する。
分析方法:母親による語りの内容に対しコーディングを行った。具体的には,まず,6つの分析テーマを設定し,語りの中の意味的まとまり(以下「話題」)に対し,上記の分析テーマごとに語りを詳細・具体的に記述可能なコードをボトムアップに設定した(下位カテゴリー)。下位カテゴリーを包括的に扱いうる上位概念(上位カテゴリー)をまとめ,そのうえで母親の語りの内容が持つ複数の側面について上位カテゴリーに基づいて分類した(語りの側面)。本発表では分析テーマのうち「母親の行動」について分析と考察を行う。
結果・考察
母親の対応行動の特徴については7つの側面が抽出された(表中「語りの側面」)。全体的には,親の意図と子どもの意図のいずれを重視するのかについてのカテゴリーの他に「コミュニカティブな対応」,「問題回避型対応」,「第三者を利用した対応」が見られた。母親は,母子の意図のいずれか一方を優先させる対応を常にとるわけではなく,多様な対応方法をとりながら母子間の葛藤解決・関係調整を行っていることがうかがえる。また,母子間の行動の組み合わせについては,初期コミュニケーション的自己主張-親の意図優先のコントロール(言及数:33),動作性自己主張-親の意図優先のコントロール(15),主体的行動へのこだわり-放任・放置・無視(16)についての言及が多かった。言及数の多さからみて,コミュニケーションにおける子どもの意図の明確さと母親の対応選択との関連が考えられる。また言及数は少ないものの他にも多様な組み合わせがあり,上記母親の対応行動の特徴とともに,このことからも母親の対応行動が状況に応じた柔軟さを持ちながら行われていることが分かる。(本研究は科学研究費補助金(課題番号21730527)を受けて行われた。)