The 58th meeting of the Japanese association of educational psychology

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ポスター発表 PA(01-64)

ポスター発表 PA(01-64)

Sat. Oct 8, 2016 10:00 AM - 12:00 PM 展示場 (1階展示場)

[PA11] 東日本大震災後の保育者からみた幼児の行動状態と保育者の役割意識の特徴

西野美佐子1, いとうたけひこ2, 沼山博3, 平川昌宏4, 荒井美智子5 (1.東北福祉大学, 2.和光大学, 3.山形県立米沢栄養大学, 4.東北福祉大学, 5.聖和学院短期大学)

Keywords:震災, 保育者, 質問紙調査

目   的
 本研究は,東日本被災地の保育者から見た乳幼児の行動状態と保育者の対応ならびに危機場面のおける保育者の役割意識を明らかにすることを目的とする。宮城県内の保育者を対象に実施した質問紙調査に基づき,子どもの行動と保育者の対応の変容,震災体験を経た中で気づいた危機時の保育者の役割に関する自由記述文を分析した。
方   法
<対象>郵送法による質問紙調査を宮城県内の全幼稚園・保育所・障害児通園施設に実施した(回収数N=532)。
<質問内容>(1)乳幼児の行動状態として,身体的症状(12項目)・心理的反応(5項目)・行動変化(11項目)について,2011年度と2015年度別に5段階で評定を求めた。(2)施設内で気がかりな乳幼児への保育者の対応(11項目)について,同様年度別に5段階で評定を求めた.(3)震災等の危機における保育者の役割について自由記述で回答してもらった。自由記述の分析は,Text Mining Studio 4.2を用いた。
結   果
 保育所187,幼稚園85,通所福祉施設18,合計290施設の532名の回答を得た。
1)子どもの行動状態には年度差が有意であった(t(1, 408)=13.82,p<.001)。そこで,年度毎に地震被害(有無))と所在地(沿岸・内陸)の2要因分散分析を行った。その結果を表1に示す。
2)気がかりな保育者の対応として,因子分析の結果,「所内対応」「所外対応」の2因子が見いだされた。「所内対応」が「所外対応」よりどの年度でも有意に高かった。また,「所外対応」は低い評定値であり,年度間で有意差はなかった。
3)危機時における保育者の役割について,532名の自由記述文をテキストマイニング分析した。基礎情報として,一人あたりの平均は75.2文字,総文章数は1069文であった。延べ単語数は8832語,単語種別は1719種類であり,タイプトークン比は0.19であった。幼稚園教師と保育士がどのような役割意識を持っているのかを示したのが図3と図4である。
考   察
 子どもの行動状態は2011年より2015年になり,身体・心理・行動化いずれも改善が認められた。沿岸部の問題の減少が顕著だった。しかし,内陸部も今後ともケアをする必要が明らかになった。危機時の保育者の役割として,命を守ること,子どもが安全で安心して過ごすための配慮と行動が重要であることが本研究で示された。
謝辞:本研究は東北福祉大学感性福祉研究所における文部科学省の私立大学戦略的研究基盤形成支援事業(平成24年度~28年度)による私学助成を受けた。