[PA15] 森の幼稚園など自然を基盤とした保育・教育に関する研究
2015年度実践に基づいた課題検討と展望
Keywords:幼稚園, 自然体験
はじめに
森の幼稚園など自然をベースとした就学前の保育・教育が進められている。
2015年6月から月1回合計10回の「森と自然の保育園」の活動を行ってきた。
この実践を通して見いだされた課題を提示し,現時点での展望を示したい。
歴 史
森の幼稚園は北欧やドイツなどで盛んである。わが国では「森のようちえん全国フォーラム」が開かれている。長野県では野外活動に特色を置いた就学前の保育・教育を推進している。2015年には「信州型自然保育認定制度」を発足させた。特に自然をベースとした保育・教育を特色とする「特化型」と保育や教育に自然化つどを取り入れたタイプの「普及型」の2種類がある。長野県以外にもこのような保育・教育を進めようとしている県として鳥取県,島根県,三重県などがあり,広がりを見せている。
本報告における実践
(1)実践の特色 2015年より自然保育を実施している。「週末自然保育」として月に1回日曜日に実施してきた。特色として「保育」と「研修」の両者を行うことが挙げられる。
「保育」は0歳児から就学前児が対象である。実際に参加した者としては小学校2~3年生までを含むことになった。
「研修」の対象は保育士,幼稚園教諭など保育者,親など保護者,自然保育に関心のある施設・機関である。これは自然保育の普及を図るとともに,携わる職員等の知識や技術の向上,保護者への理解や普及を図ることをねらいとするものである。
(2)実施スタッフ スタッフは現職の保育士・幼稚園教諭,大学教員,自然関係施設関係者,地域住民のボランティアなどである。研修も含め学生ボランティアが参加している。
(3)保育計画 2015年より自然保育を実施している。内容および実施日等は次の通りである。
第1回:6月28日(日) 夏の自然保育「体験」の指導 森ウオークを中心に
第2回:7月12日(日) 野外保育に向けて~「森の発見活動」
第3回:8月23日(日) 地域連携~地域と協力した保育
第4回:9月13日(日) 秋の自然保育~秋の森ウオーク
第5回:10月25日(日) 食を知る~収穫と収穫を味わう
第6回:11月8日(日) 冬の自然保育~森で冬の準備を見つける
第7回:12月6日(日) 年越し,生活の節目~地域の年中行事を取り入れた保育
第8回:2016年1月24日(日) 就学,進級に向けた保育~森で生活のルールを学ぶ
第9回:2月21日(日) 就学準備保育 子どもの成長を自覚する~森で仲間と楽しむ
第10回:3月13日(日) 自立に向けて~森の冒険,森を探検する
(4)内容の特色 自然をベースとした保育である。「体験」を重視している。地域の自然や伝統行事,年中行事など地域資源を活用した保育として行う。ここで実施した保育では,研修を同時に実施した。対象は,現職の保育士等関係者,保護者などである。
課題と展望
課題には子ども達の自由な意識や行動を一層伸ばすための方策など期待が持てる課題がある。同時に,整備・確立していくものとして保育内容をどのようにするか。その順序性,方法などがある。根本として「自然をベースとする保育」に関するコンセプトの確立が求められる。その上でいわゆるカリキュラムの構築が求められる。保育者の人材育成も重要である。また,保育実践の成果に関する検証も進めていく必要がある。今後,多くの実践の蓄積が求められる。展望として自然のもとでの多様な「体験」について期待できる。(日本教育心理学会第58回総会2016年10月8日~10日)
森の幼稚園など自然をベースとした就学前の保育・教育が進められている。
2015年6月から月1回合計10回の「森と自然の保育園」の活動を行ってきた。
この実践を通して見いだされた課題を提示し,現時点での展望を示したい。
歴 史
森の幼稚園は北欧やドイツなどで盛んである。わが国では「森のようちえん全国フォーラム」が開かれている。長野県では野外活動に特色を置いた就学前の保育・教育を推進している。2015年には「信州型自然保育認定制度」を発足させた。特に自然をベースとした保育・教育を特色とする「特化型」と保育や教育に自然化つどを取り入れたタイプの「普及型」の2種類がある。長野県以外にもこのような保育・教育を進めようとしている県として鳥取県,島根県,三重県などがあり,広がりを見せている。
本報告における実践
(1)実践の特色 2015年より自然保育を実施している。「週末自然保育」として月に1回日曜日に実施してきた。特色として「保育」と「研修」の両者を行うことが挙げられる。
「保育」は0歳児から就学前児が対象である。実際に参加した者としては小学校2~3年生までを含むことになった。
「研修」の対象は保育士,幼稚園教諭など保育者,親など保護者,自然保育に関心のある施設・機関である。これは自然保育の普及を図るとともに,携わる職員等の知識や技術の向上,保護者への理解や普及を図ることをねらいとするものである。
(2)実施スタッフ スタッフは現職の保育士・幼稚園教諭,大学教員,自然関係施設関係者,地域住民のボランティアなどである。研修も含め学生ボランティアが参加している。
(3)保育計画 2015年より自然保育を実施している。内容および実施日等は次の通りである。
第1回:6月28日(日) 夏の自然保育「体験」の指導 森ウオークを中心に
第2回:7月12日(日) 野外保育に向けて~「森の発見活動」
第3回:8月23日(日) 地域連携~地域と協力した保育
第4回:9月13日(日) 秋の自然保育~秋の森ウオーク
第5回:10月25日(日) 食を知る~収穫と収穫を味わう
第6回:11月8日(日) 冬の自然保育~森で冬の準備を見つける
第7回:12月6日(日) 年越し,生活の節目~地域の年中行事を取り入れた保育
第8回:2016年1月24日(日) 就学,進級に向けた保育~森で生活のルールを学ぶ
第9回:2月21日(日) 就学準備保育 子どもの成長を自覚する~森で仲間と楽しむ
第10回:3月13日(日) 自立に向けて~森の冒険,森を探検する
(4)内容の特色 自然をベースとした保育である。「体験」を重視している。地域の自然や伝統行事,年中行事など地域資源を活用した保育として行う。ここで実施した保育では,研修を同時に実施した。対象は,現職の保育士等関係者,保護者などである。
課題と展望
課題には子ども達の自由な意識や行動を一層伸ばすための方策など期待が持てる課題がある。同時に,整備・確立していくものとして保育内容をどのようにするか。その順序性,方法などがある。根本として「自然をベースとする保育」に関するコンセプトの確立が求められる。その上でいわゆるカリキュラムの構築が求められる。保育者の人材育成も重要である。また,保育実践の成果に関する検証も進めていく必要がある。今後,多くの実践の蓄積が求められる。展望として自然のもとでの多様な「体験」について期待できる。(日本教育心理学会第58回総会2016年10月8日~10日)