The 58th meeting of the Japanese association of educational psychology

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ポスター発表 PA(01-64)

ポスター発表 PA(01-64)

Sat. Oct 8, 2016 10:00 AM - 12:00 PM 展示場 (1階展示場)

[PA25] 概念地図作成と知識体系化の問題

連想法と概念地図法との統合に向けて

皆川順1, 伴浩美2 (1.浦和大学, 2.長岡技術科学大学)

Keywords:概念地図法, 導入的概念地図法, 知識体系化要因

初 め に
 概念地図作成においては,実験参加者が盛んに連想を行いながらも厳密な上位概念―下位概念の関係から外れる概念は意図的・無意図的に除外される。しかし皆川(2009)はこの件に関連して,連想を実験参加者の認知構造再形成並びにそれによる単元内容の体系的理解促進に役立てることを考慮し,連想法の要素を取り入れた概念地図法を考案し,これを「導入的概念地図法(Introductory Concept Mapping)」と名づけた。これは連想法に多かれ少なかれ慣れ親しんだ実験参加者たちに無理なく概念地図法へと導入する,という意味をも有する。なおこの方法においては,リンクラベルは煩雑となりえるので省略するのを標準とした。
 当初,筆者(皆川(2009)など)はテスト問題の成績を従属変数として,概念地図上のいかなる独立変数が従属変数の値に寄与するかを中心に検討し,重回帰分析を用いて検討した結果,概念分岐数やクロスリンク数を有効な独立変数と判断した。
 その後,実験によっては必ずしも概念分岐数やクロスリンク数ではなく,単元内容に即して連想された総語彙数(正連想数)が唯一の有効な独立変数である場合も見出された。
 このように,実験によって結果が異なる原因を探るため,筆者はこれまで実施した実験を再検討し,その要因を考察することが本発表の目的である。
論   考
 この問題に関連する筆者のこれまでの実験は,皆川(2009, 2012)等で公表したが,これらの実験を総合的に考えると,この問題に影響を与えるのは,実験参加者側の要因としては①基礎学力の問題,②学習意欲の問題,③単元内容に対する知識の体制化様相などが考えられ,他方,実験上の問題としては,①教員の単元指導方略,②概念地図作成における教示の仕方,③テスト問題の内容と形式・テスト時間などが考えられる。また学生がクラス別になっている場合,そのクラス担当者の意識の問題は無視できないと言える。
 今後はそれぞれの要因を統制しつつ,学生の体系的知識構築援助に効果的な方略を検討していきたい。
参考文献
皆川 順 (2009). 導入的概念地図の諸要素と択一的テスト成績との関係 東京未来大学研究紀要 2,33-39
皆川 順 (2012). 概念群の階層化方略が知識獲得に及ぼす影響 山陽学園短期大学研究紀要 43,1-7
Novak,J.D. and Gowin,D.B. Learning How to Learn. Cambridge University Press.