The 58th meeting of the Japanese association of educational psychology

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ポスター発表 PA(01-64)

ポスター発表 PA(01-64)

Sat. Oct 8, 2016 10:00 AM - 12:00 PM 展示場 (1階展示場)

[PA32] メタ認知方略を組み込んだタブレット端末利用による算数問題解決

多鹿秀継1, 堀田千絵2 (1.神戸親和女子大学, 2.関西福祉科学大学)

Keywords:メタ認知方略, タブレット端末, 算数問題解決

問題と目的
 Tajika et al.(2012)は,小学5年生が自己説明をおこなうことによって,算数文章題の解決を促進した結果を報告した。本研究は,算数問題解決において使用されるメタ認知方略としての自己説明をタブレット端末に組み込み,小学5年生の算数問題解決を1年にわたる縦断的研究によって吟味した。
方   法
(1)小学5年の3クラス合計102名の児童のうち,3学期までの4種類のテスト(予備テストと3回の本テスト)に参加した児童99名の結果を分析した。
(2)研究で使用した算数問題解決のテストは,予備テスト(5年生1学期のみ;4題で構成)および本テスト(各学期;それぞれ8題で構成)の4種類であった。本テストは主に消去算,小数の除法の力を見る問題,2次元表の作成と読解に関する問題で,3学期には割合文章題も追加した。各本テストは,4題の易問題と4題の難問題からなった。本テストに加え,算数問題の解決過程を6~9のステップに区分して,各ステップを説明させる自己説明テストも実施した。
(3)最初に5年生の1学期に,予備テストを実施した。時間は20分であった。次いで,Surface3のタブレットを利用することにより,算数文章題を20分程度2回にわたって,3週間のなかで解くように教示した。また,児童には,ゆっくりと解くことを強調した。児童は,授業の合間や昼休みに,クラス全員の児童がタブレット端末を利用することによって,算数文章題を2回の学習で数問題を解いた。
 タブレット端末に挿入された多くの問題は,Tajika et al.(2012)のコンピュータ提示の問題と共通しており,いくつかの問題を削除・追加した。また,学期ごとにいくつかの問題を挿入した。タブレット端末では文章題の解決ステップの1つずつが提示され,児童は解決ステップの質問に正しく対応する選択肢をペン入力した。間違った場合には,エラーのフィードバックを与えた。児童の正しい選択結果は,そのまま表示した。タブレット端末の利用が終了したのち,児童は新たに自己説明テスト用紙を受け取り,自己説明することで問題を解いた。そこでは,1つの文章題と当該の問題を細かく区分された解決過程が示され,児童は1つ1つの内容が分かる場合にはどのようなことが記述されているかを,分からない場合はどこが分からないかを筆記した。説明の筆記時間は10分であった。その1週間後に,本テストを40分で実施した。
結果と考察
 表1には,児童の予備テスト(8点満点)と3学期にわたる本テストの得点結果(各16点満点)を示した。2学期から3学期にかけて,平均得点の上昇が認められない原因の1つは,3学期の本テストには割合文章題が含まれ,その得点が低いことによる。また,予備テストの成績に準じて,児童を上位群,中位群,および下位群の3群に分けた。その結果,各群ともに,学期ごとに得点の上昇が認められ,自己説明による効果がみられた。
引用文献
Tajika,H. et al. (2012). Educ.Tech.Res.,Vol.35, Nos1 & 2,11-19.
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本研究は,2015年度科研費補助金(基盤研究(C),課題番号:26380912)による。