The 58th meeting of the Japanese association of educational psychology

Presentation information

ポスター発表 PA(01-64)

ポスター発表 PA(01-64)

Sat. Oct 8, 2016 10:00 AM - 12:00 PM 展示場 (1階展示場)

[PA57] 高校生のDark Triad(1)

因子構造と性別・学年・進路希望による差異

阿部晋吾1, 太田仁2, 福井斉3 (1.梅花女子大学, 2.梅花女子大学, 3.梅花女子大学)

Keywords:マキャベリアニズム, サイコパシー, ナルシシズム(自己愛傾向)

 Dark Triad(以降,DT)は,反社会的な性格特性としてよく知られる,Machiavellianism,Psychopathy,Narcissism(以降,M,P,N)の3つの総称である(Paulhus & Williams, 2002)。DTはそれぞれが独立した性格特性として扱われてきた一方で,多くの類似した特徴も持つことから,近年では包括的な概念としてとらえるようになってきている。
 これまでのDTに関する研究は,大学生以上を対象とした研究が主流である。本研究では,高校生を対象に調査を実施し,DTの因子構造を確認するとともに,性別,学年,進路による差についても検討し,大学生以上を対象に行われた従来の研究の知見との比較を行うことを目的とした。
方   法
調査方法および調査対象者 2015年12月に,三重県中央部の公立高校の全学年を対象に調査を実施し,799名(1年生男75名, 女123名, 2年生男101名, 女194名, 3年生男103名, 女203名)の回答を得た。
質問項目 DT: 日本語版Dark Triad Dirty Dozen(DTDD-J; 増井他, 2015)を使用した。この尺度はDTの各側面に対応する4項目,計12項目で構成され,選択肢は“1.全くあてはまらない”から“5.非常にあてはまる”までの5件法である。個人属性: 性別,学年,および卒業後の進路希望について回答を求めた。進路の選択肢は“就職(243)” “大学(155)” “短大・専門学校(305)” “未定(81)” “その他(7)”であった(カッコ内は人数)。
結果と考察
因子構造の確認 増井他(2015)と同様に,DTの1因子モデル,3因子モデル,階層因子モデル(Fig. 1)を検討するため,確認的因子分析を行った。
 なお,事前に探索的因子分析を行ったところ,MとPに対応する項目が1因子にまとまったことから,この2つを統合した2因子モデルの適合度についても補足的に検討した(Table 1)。
 その結果,1因子モデルや2因子モデルよりも,3因子モデルの適合度が最も高かった。また,階層因子モデルでは,さらに適合度が高まることが明らかとなった。このことから,DTは3つのグループ因子で構成されると同時に,1つの一般因子としても説明されるという,従来の知見と整合する構造が高校生サンプルにおいても確認された。
性別・学年・進路希望による差異 性別,学年,進路希望(“未定” “その他”は分析から除外)を独立変数,DTの下位尺度得点(M,P,Nそれぞれのα= .84, .73, .85),および総合得点(α= .89)を従属変数とした,三要因分散分析を行った。その結果,いずれの従属変数に対しても性別(Fs > 5.64, ps < .05)と進路(Fs > 3.15, ps < .05)の主効果がみられ,男子の方が女子よりも,また,大学進学希望者が就職希望者よりも(ps < .05),全ての得点が有意に高かった。短大・専門学校希望者と他の2群との有意差は見られなかった。Fig. 2にDT総合得点の結果を示す(エラーバーは標準誤差)。学年の主効果,および全ての交互作用は有意ではなかった。
 全般的に男子の方が女子よりもDTが高いという本研究の結果は,従来の知見とも一致する。大学進学希望者のDTが高いという結果については,学力や自尊感情などとの関連が考えられるが,今後慎重に検討していく必要があるだろう。