[PA61] 成人用 メタ認知尺度作成の試み
Keywords:メタ認知, メタ認知尺度
目 的
メタ認知に関する研究は学業成績との関連から語られることが多いためか尺度は学校生活状況での質問項目から構成されていることが多い。そのため成人に実施する時には不適切である。成人を対象にした時には試験や勉強という言葉を使用しないことが必要であり,そのような質問紙尺度を作成することを本研究の目的とする。
方 法
成人用メタ認知尺度項目の収集・作成
メタ認知についての質問紙(吉野ら;2008,阿部・井田;2010,村山・岡安;2012)から学校生活以外の項目を集めた。それ以外にコントロール,モニタリングという観点から創作したものを含めて50の質問を用意した。
それらを,ネット調査を通じて,20代,30代,40代,50代,男女各50名計400名のデータを収集し,この内学生を除いた合計395名(男性295名,女性300名)を分析に用いた。
他に用いた尺度
セルフ・モニタリング尺度(岩淵ら;1982),認知的熟慮性—衝動性尺度(滝聞・坂元;1991),TIPI-J(小塩;2012)を同時に実施した。なお全て5件法(1点〜5点)で調査した。
結 果
成人用メタ認知尺度に対し最尤法,プロマックス回転による因子分析を繰り返し,解釈する上で最適な3因子を抽出し,それらをプランニング,コントロール,モニタリングと命名した。因子分析結果を表1に示す。プランニング,コントロール,モニタリング各因子を下位尺度とし,その合計をメタ認知得点とした。
表2に社会人用メタ認知尺度,セルフ・モニタリング尺度,認知的熟慮性—衝動性尺度,TIPIの下位尺度毎の相関係数を示す。
考 察
セルフ・モニタリング尺度は自己表出の柔軟性を表すが,メタ認知尺度とは低い相関があり,高メタ認知者は適切な社会的行動を取りうることが示された。また認知的熟慮性とも中程度の相関係数が得られ,高メタ認知者は熟慮して慎重に判断を下すことも分かった。パーソナリティとも神経症傾向以外とは正の相関が得られ,好ましい人間関係と関係することを示しており,構成概念的に説明できる結果が得られた。
これまでのメタ認知尺度ではモニタリングとコントロールが構成要素になっているが,本尺度ではプランニング,コントロール,モニタリングから構成されている。コントロールについては項目の構成が悪かったのか,全てが逆転項目であった。しかしながら従来と異なる構成因子を示せたことは本尺度の意義を示せたと考えられる。またそれらの合計をメタ認知得点とすることが適切であると考えられる。
メタ認知に関する研究は学業成績との関連から語られることが多いためか尺度は学校生活状況での質問項目から構成されていることが多い。そのため成人に実施する時には不適切である。成人を対象にした時には試験や勉強という言葉を使用しないことが必要であり,そのような質問紙尺度を作成することを本研究の目的とする。
方 法
成人用メタ認知尺度項目の収集・作成
メタ認知についての質問紙(吉野ら;2008,阿部・井田;2010,村山・岡安;2012)から学校生活以外の項目を集めた。それ以外にコントロール,モニタリングという観点から創作したものを含めて50の質問を用意した。
それらを,ネット調査を通じて,20代,30代,40代,50代,男女各50名計400名のデータを収集し,この内学生を除いた合計395名(男性295名,女性300名)を分析に用いた。
他に用いた尺度
セルフ・モニタリング尺度(岩淵ら;1982),認知的熟慮性—衝動性尺度(滝聞・坂元;1991),TIPI-J(小塩;2012)を同時に実施した。なお全て5件法(1点〜5点)で調査した。
結 果
成人用メタ認知尺度に対し最尤法,プロマックス回転による因子分析を繰り返し,解釈する上で最適な3因子を抽出し,それらをプランニング,コントロール,モニタリングと命名した。因子分析結果を表1に示す。プランニング,コントロール,モニタリング各因子を下位尺度とし,その合計をメタ認知得点とした。
表2に社会人用メタ認知尺度,セルフ・モニタリング尺度,認知的熟慮性—衝動性尺度,TIPIの下位尺度毎の相関係数を示す。
考 察
セルフ・モニタリング尺度は自己表出の柔軟性を表すが,メタ認知尺度とは低い相関があり,高メタ認知者は適切な社会的行動を取りうることが示された。また認知的熟慮性とも中程度の相関係数が得られ,高メタ認知者は熟慮して慎重に判断を下すことも分かった。パーソナリティとも神経症傾向以外とは正の相関が得られ,好ましい人間関係と関係することを示しており,構成概念的に説明できる結果が得られた。
これまでのメタ認知尺度ではモニタリングとコントロールが構成要素になっているが,本尺度ではプランニング,コントロール,モニタリングから構成されている。コントロールについては項目の構成が悪かったのか,全てが逆転項目であった。しかしながら従来と異なる構成因子を示せたことは本尺度の意義を示せたと考えられる。またそれらの合計をメタ認知得点とすることが適切であると考えられる。