[PA70] 新任教員に求められるコンピテンシー向上に向けてのカリキュラム作成の試み(2)
事前講座の効果の検討
キーワード:教員養成, コンピテンシー, 事前講座
問題と目的
近年教員のコンピテンシー向上に向けて,教員養成系大学での高度な実践力および指導力の育成が責務とされている。高度な実践力および指導力を育成する方法として,「学校インターンシップ」を活用することは有効な手段の一つと考えられる。
そこで著者らは岐阜県教委と連携し,目指すべき視座として「社会人としてのマナー」「学校の安全」「特別支援を必要とする児童・生徒への対応」「教科指導」「生活習慣・学習習慣指導」「ITC活用」「外国語活動支援」「学校経営の実際」「学校行事の実際」の9つの講座を設定し,インターンシップ希望学生に対し県教委の初任者研修を担当する講師によりインターンシップ体験前にそれらの講座を開講した。本研究では,それらの講座が受講生にとってどのような効果をもたらすかを検討することを目的とする。
方 法
1)調査対象:岐阜県G大学において教育実習の事後指導を受講した357名(大学3,4年生)
2)調査時期:2015年10月
3)調査内容:①インターンシップ講座受講の有無:9講座それぞれについて受講したかどうかについての回答を求めた ②実習で獲得されたコンピテンシー尺度:開講された9講座それぞれで獲得させたいコンピテンシーに基づいて,各講座につき3項目計27項目を作成し,教育実習でどの程度取り組んだかを5件法で回答を求めた。
4)調査手続:小学校実習の事後指導の授業時に一斉に行った。本来ならばインターンシップの体験後に効果を測定するべきであるが,インターンシップ体験の内容にばらつきがあり,効果測定に適さないと考え,教育実習での効果を測定することとした。
結果と考察
全27項目において記述統計を行った結果,11項目において天井効果が出てしまった。天井効果が見られた理由として,これらの項目はインターンシップ講座の受講の有無に関わらず教育実習生の心構えとして必要なものであるため,実習特講や通常の講義での学生指導の成果および学生の教育実習へのモチベーションの高さが繁栄されてしまったためと考えられる。この結果より,インターンシップ講座の効果測定を測るためには,より具体的な講座内容を繁栄させた項目策定が必要であろう。
天井効果が見られなかった項目のうち,参加群の度数が極端に少ない項目を除いた12項目について,各講座の参加群と不参加群で対応のないt検定を行った。その結果,「学校安全」の1項目「実習校での安全に対する取り組みについて理解を深めることを心がけた」と「外国語活動」の3項目「外国語活動による児童への効果について理解を深めることを心がけた」「英語でコミュニケーションを図ることができるように学級担任がどのような工夫をしているのかを観察することを心がけた」「児童に英語のコミュニケーション能力を養うために,将来学級担任として指導していく自信がもてた」において有意差が見られた(表)。
有意差が見られた4項目を見てみると,それらの内容は他の項目に比べて実習に臨むにあたり資質・能力の獲得が意識されにくい内容であったと考えられる。それは,「学校安全」については大学の授業であまり扱われない内容であること,また「外国語教育」については授業時間数に限りがあることが要因であろう。つまり,インターンシップ講座を受けることによって,実習に臨むにあたりこれらの資質・能力の重要性を意識することができ,実習に生かすことができたと考えられる。
この結果から,大学でのカリキュラムでは扱いきれない内容をインターンシップ講座が補う役割を果たしていることが示唆された。
近年教員のコンピテンシー向上に向けて,教員養成系大学での高度な実践力および指導力の育成が責務とされている。高度な実践力および指導力を育成する方法として,「学校インターンシップ」を活用することは有効な手段の一つと考えられる。
そこで著者らは岐阜県教委と連携し,目指すべき視座として「社会人としてのマナー」「学校の安全」「特別支援を必要とする児童・生徒への対応」「教科指導」「生活習慣・学習習慣指導」「ITC活用」「外国語活動支援」「学校経営の実際」「学校行事の実際」の9つの講座を設定し,インターンシップ希望学生に対し県教委の初任者研修を担当する講師によりインターンシップ体験前にそれらの講座を開講した。本研究では,それらの講座が受講生にとってどのような効果をもたらすかを検討することを目的とする。
方 法
1)調査対象:岐阜県G大学において教育実習の事後指導を受講した357名(大学3,4年生)
2)調査時期:2015年10月
3)調査内容:①インターンシップ講座受講の有無:9講座それぞれについて受講したかどうかについての回答を求めた ②実習で獲得されたコンピテンシー尺度:開講された9講座それぞれで獲得させたいコンピテンシーに基づいて,各講座につき3項目計27項目を作成し,教育実習でどの程度取り組んだかを5件法で回答を求めた。
4)調査手続:小学校実習の事後指導の授業時に一斉に行った。本来ならばインターンシップの体験後に効果を測定するべきであるが,インターンシップ体験の内容にばらつきがあり,効果測定に適さないと考え,教育実習での効果を測定することとした。
結果と考察
全27項目において記述統計を行った結果,11項目において天井効果が出てしまった。天井効果が見られた理由として,これらの項目はインターンシップ講座の受講の有無に関わらず教育実習生の心構えとして必要なものであるため,実習特講や通常の講義での学生指導の成果および学生の教育実習へのモチベーションの高さが繁栄されてしまったためと考えられる。この結果より,インターンシップ講座の効果測定を測るためには,より具体的な講座内容を繁栄させた項目策定が必要であろう。
天井効果が見られなかった項目のうち,参加群の度数が極端に少ない項目を除いた12項目について,各講座の参加群と不参加群で対応のないt検定を行った。その結果,「学校安全」の1項目「実習校での安全に対する取り組みについて理解を深めることを心がけた」と「外国語活動」の3項目「外国語活動による児童への効果について理解を深めることを心がけた」「英語でコミュニケーションを図ることができるように学級担任がどのような工夫をしているのかを観察することを心がけた」「児童に英語のコミュニケーション能力を養うために,将来学級担任として指導していく自信がもてた」において有意差が見られた(表)。
有意差が見られた4項目を見てみると,それらの内容は他の項目に比べて実習に臨むにあたり資質・能力の獲得が意識されにくい内容であったと考えられる。それは,「学校安全」については大学の授業であまり扱われない内容であること,また「外国語教育」については授業時間数に限りがあることが要因であろう。つまり,インターンシップ講座を受けることによって,実習に臨むにあたりこれらの資質・能力の重要性を意識することができ,実習に生かすことができたと考えられる。
この結果から,大学でのカリキュラムでは扱いきれない内容をインターンシップ講座が補う役割を果たしていることが示唆された。