[PA73] コミュニケーション・ネットワークからみるいじめの実態と学校対応の分析
Keywords:いじめの実態, 学校対応, コミュニケーション・ネットワーク
問題の所在と研究の目的 2015年に行われた日本教育心理学会総会時におけるポスター発表において,少なくともタイトルに「いじめ」が入っている研究は10本を数え,それ以外にもB-Pプロジェクトなど多くの取り組みが行われているが,学校現場ではなお多くの児童生徒がいじめ被害にあっており実践と研究の有用な知見が求められている。そこで本研究においては,いじめの実態調査をもとにしながら,コミュニケーション・ネットワークという視点からいじめの実態についての分析と学校対応について検討することを目的とする。
調査方法及び実施時期 大学2~3年生及び大学院生を対象に,2015年6月に,過去のいじめの直接的・間接的経験を想起してもらい,その時の学年,被害者の性別,事例の実態(仮名),対応した教師,改善の度合い等について報告を求めた。その際に,倫理的な配慮について説明した上で協力してくれた210事例について分析の対象とした(回収率77%)。
結果及び考察
報告された事例を分類するために,表1のようなカテゴリーを設定した結果,無視や仲間はずれなどの「社会ネットワーク的」いじめが最も多かった。また,いじめ発生時の対応者は,全210事例において「担任のみ」「担任+それ以外の教師」「(誰が対応したか)わからない」がほぼ同じ割合であった(表2及び図1)。
一方で71事例あった「いじめが改善した」とされる事例においては,「担任のみ」「担任+それ以外」と,対応者の存在がはっきり認知されていたことがわかる(表3)。
いじめ事例への対応については,初期対応としてはコミュニケーション・ネットワークに関連するいじめが多く,教師はある意味表面的には気づきにくいいじめへの注意が必要である。いじめ発生時には担任を含めた複数教師の対応が効果的であることが示唆される。
(本報告の一部は,科学研究費助成事業基盤研究(c))課題番号15K04487研究代表者高橋知己の助成を受けた)。
調査方法及び実施時期 大学2~3年生及び大学院生を対象に,2015年6月に,過去のいじめの直接的・間接的経験を想起してもらい,その時の学年,被害者の性別,事例の実態(仮名),対応した教師,改善の度合い等について報告を求めた。その際に,倫理的な配慮について説明した上で協力してくれた210事例について分析の対象とした(回収率77%)。
結果及び考察
報告された事例を分類するために,表1のようなカテゴリーを設定した結果,無視や仲間はずれなどの「社会ネットワーク的」いじめが最も多かった。また,いじめ発生時の対応者は,全210事例において「担任のみ」「担任+それ以外の教師」「(誰が対応したか)わからない」がほぼ同じ割合であった(表2及び図1)。
一方で71事例あった「いじめが改善した」とされる事例においては,「担任のみ」「担任+それ以外」と,対応者の存在がはっきり認知されていたことがわかる(表3)。
いじめ事例への対応については,初期対応としてはコミュニケーション・ネットワークに関連するいじめが多く,教師はある意味表面的には気づきにくいいじめへの注意が必要である。いじめ発生時には担任を含めた複数教師の対応が効果的であることが示唆される。
(本報告の一部は,科学研究費助成事業基盤研究(c))課題番号15K04487研究代表者高橋知己の助成を受けた)。