The 58th meeting of the Japanese association of educational psychology

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ポスター発表 PA(65-84)

ポスター発表 PA(65-84)

Sat. Oct 8, 2016 10:00 AM - 12:00 PM 市民ギャラリー (1階市民ギャラリー)

[PA74] グローバル教育尺度開発の試み

小・中・高校教師による児童・生徒への獲得期待

武田明典1, 澁谷由紀2, 小柴孝子3 (1.神田外語大学, 2.神田外語大学, 3.神田外語大学)

Keywords:グローバル, 教師, 学校

問   題
 日本がグローバル化社会へさらなる躍進を果たしていくために,学校教育段階から教師による児童・生徒への意識づけが重要である。このようななか,文部科学省は、学校や大学教育におけるグルーバル人材育成教育を推進することを招請している。ここで,グローバル教育の担い手である教師は現段階で,“グローバル教育”をどのようにとらえているのであろうか。また,それをどのように学校教育において展開しようとしているのであろうか。グローバル教育について,効果的に測定する尺度を開発できないであろうかという着眼点から,本調査では,それを試作する試みを行った。
目   的
 グローバル教育に関する群兼研究,および,関連尺度の検討のために,グローバル教育の構成要素を計測する尺度開発のために,児童・生徒の教育を行っている小・中・高等学校教諭に対して調査を行う。
方   法
 グローバル人材育成教育についての文部科学省資料,新聞記事や書籍,および,関連した調査研究を参考に,総合的なグローバル教育という概念要素を7つに分類して各々項目を創設し,合計97項目(全て逆転項目ナシ)の尺度素案を試作した。
 予備調査として2016年1月,学校教員に対して,5件法による無記名の質問紙による97項目の暫定的尺度を実施し,項目分析を経て80項目に精査した。
 本調査は3部構成で,1)性別・学校種・教師経験年数などを問うフェースシート;2)80項目の本尺度;3)構成要素の中で特に重要視されるコミュニケーションについて併存的妥当性を検証するために,藤本・大坊(2007)による標準化された20項目の“コミュニケーション・スキル尺度”を末尾に添付した(7件法を5件法に改変して実施)。
本調査は2016年2・3月,小・中・高等学校教師に対して,予備調査とは異なった対象に対して,教育委員会や学校長の承諾を経たうえで各学校において実施依頼し,後日,回収した。
結果と考察
 フェースシートおよび2つの尺度項目について,欠損値が1つでもある回答,および,質問紙1ページ分連続して同評定の回答紙を除外した。最終的な有効回答は229名であった。ここから,5~7因子を想定し,因子分析(主因子法;Promax回転)を行い,1つの因子における負荷量が,.35.以上,かつ,それが2因子以上に重複しないよう,自動的に除外するプロセスを経て,最終的には,6因子,48項目が抽出された。
 第1因子:総合的コミュニケーション;(α係数.95);第2因子:異文化理解(.93);第3因子:ITスキル(.91);第4因子:個性(.78);第5因子:日本人としての自覚(.62);第6因子:実行力(.47)-と命名した。
 既存の“コミュニケーション・スキル尺度”は,オリジナルのままの20項目全てを含めて分析し,1因子が得られ,α係数は.76であった。また,本尺度の第1因子との相関はやや高く(.75),ここから,部分的ではあるものの,尺度の主な要素である“コミュニケーション面”での妥当性が支持されたと考えられる。
 しかしながら,本グローバル教育尺度全体の6因子のうち,第1因子は23項目と尺度全体の大半を占め,また,第5・6因子は,各々,項目数が2個と少ないため,下位尺度としての扱いを控える必要があると考えられる。今後の課題として,1)今回のデータの再分析を重ねる;2)当初の質問項目を再検討する;3)調査対象者数を増やす再実施する―などの改善点が必要である。