The 58th meeting of the Japanese association of educational psychology

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ポスター発表 PA(65-84)

ポスター発表 PA(65-84)

Sat. Oct 8, 2016 10:00 AM - 12:00 PM 市民ギャラリー (1階市民ギャラリー)

[PA78] 大学の授業外での学問的交流とその阻害要因

交流欲求・ソーシャルスキル・仮想的有能感との関連

久木山健一 (九州産業大学)

Keywords:学問的交流, ソーシャルスキル, 仮想的有能感

問題と目的
 大学の授業中での学生同士の交流についてはこれまで多く検討されてきている。しかし,授業外にも学問面で他の学生と交流を持つことは学生にとって非常に意義のあることと考えられるが,その様相についての検討は乏しいといえる。そのため,本研究ではその検討を第一の目的とする。
 基本的に,学問的交流欲求が高い者は学問的交流の頻度が高くなると考えられる。しかし,ソーシャルスキルが低く対人交流に不安があったり,仮想的有能感が高く周りの学生を軽視したりすることで交流が阻害されることも考えられる。本研究では,上記の関連についても探索的に検討する。
方   法
調査対象 大学生355名(男性201名,女性154名)。 調査内容 1.学問的交流欲求尺度 さまざまな学部の学生を対象に学問的交流の具体例を採集した後,大学の規模や所属学部によらず共通して行いうる活動に集約して項目を作成した。2.仮想的有能感尺度 Hayamizu et al.(2004)で作成された11項目(5件法)。3.自尊感情尺度 Rosenberg(1965)をもとにした10項目(5件法)。4.社会的スキル尺度 菊池(1988)によるKiSS-18の18項目(5件法)。5.学問的交流の頻度(同学部・他学部・他大学・教員との学問的交流の頻度をたずねた 調査時期 2015年11~12月。
結果と考察
1.大学生の学問的交流欲求尺度の構成
 最尤法・プロマックス回転で探索的因子分析を行った。固有値の減衰状況や解釈可能性より因子数を6とし,単純構造を目指すため項目の調整を行い,再度因子分析を行った。第1因子は「広く教養を広めたい」などの項目の負荷が高かったため,「個人的な知的好奇心」と命名した。第2因子は「自分の研究を発表する場が欲しい」などの項目の負荷が高かったため,「アウトプット欲求」因子と命名した。第3因子は「他の学生と学問的な話をしたい」などの項目の負荷が高かったため,「学生同士の交流欲求」因子と命名した。第4因子は「学問に関する講演会やセミナーに参加したい」などの項目の負荷が高かったため,「学外の専門家との交流欲求」因子と命名した。第5因子は「ディスカッションに参加したい」などの項目の負荷が高かったため,「グループ活動欲求」因子と命名した。第6因子は「教員と学問的な話をしたい」などの項目の負荷が高かったため,「教員との学問的交流欲求」因子と命名した。
2.交流欲求・ソーシャルスキル・仮想的有能感との関連
 学問的交流の頻度を従属変数,学問的交流欲求の各下位尺度,ソーシャルスキル,自尊感情,仮想的有能感を独立変数とする重回帰分析を行った。ソーシャルスキルと他大学の学生との交流頻度に関連があることや,仮想的有能感と同学部学生以外との交流頻度に関連があることが確認された。