[PA79] 女子大学生の自尊心が自己制御ならびに対人ストレッサ―に及ぼす影響
キーワード:自尊心, 自己制御, 対人ストレッサ―
問 題
これまでの研究で,自尊心,自己制御,ならびに対人ストレッサーに関する研究は,数多く行われている。そして,これらの研究結果か,多くの知見が得られている。しかし,女子大学生に焦点をあてた研究は数少ない。
そこで,本研究は,自尊心,自己制御,ならびに対人ストレッサーが女子大学生におよぼす影響について検討を行った。
方 法
1.調査対象者
女子大学生および女子短期大学生1年生から4年生の875名を対象に調査を行った。回答に不備があった質問紙を削除した結果,841名を分析対象者とした。なお,対象者の平均年齢は19.59歳(SD: 1.14)であった。
2.調査用紙
(1) 自尊心:自尊心を測定するため,2項目自尊感情尺度(箕浦・成田,2013)を使用した。回答は,「全くあてはまらない」(1点)から,「非常にあてはまる」(5点)の5件法とした。
(2) 自己制御:自己制御を測定するため,社会的自己制御尺度(原田・吉澤・吉田,2008)を使用した。この尺度は,「自己主張」「持続的対処・根気」「感情・欲求抑制」の3下位尺度(計29項目)で構成されている。回答は,「まったくあてはまらない」(1点)から,「よくあてはまる」(5点)の5件法であった。
(3) 対人ストレッサー:対人ストレッサーを測定するため,対人ストレッサー尺度(高橋,2013)を使用した。この尺度は,「被拒否」,「被攻撃」,「加害」,「関係理解不能」の4下位因子(計25項目)で構成されている。回答は,「まったくあてはまらない」(1点)から,「かなりあてはまる」(5点)の5件法であった。
3.実施方法
調査用紙を封筒に入れて,調査対象者に配布をした。実施は集団で行った。
結果および考察
(1) 自尊心の高低群における各変数との違いの検討:まず,自尊心の高低群による各変数との違いを検討するため,自尊心感情得点の0.5SDを基準に高群(353名),中群(203名),低群(285名)に分類した。次に自尊心の3群における各変数(自己制御3変数,対人ストレッサー4変数)の違いを検討するため,分散分析を行った。その結果,全ての変数で群の主効果が認められたため,多重比較(Bonferroni)を行った。その結果,全ての変数で高群と低群で違いが見られた。なお,Table 1に各変数の平均値ならびに標準偏差を示している。
(2) 自尊心の高さが及ぼす自己制御ならびに対人ストレッサーへの影響:自尊心の高さの違いにおける自己制御ならびに対人ストレッサーへの影響を検討するため,パス解析を行った。分析モデルとして,自己制御の3変数から対人ストレッサーの4変数に影響を及ぼすと仮定した。分析の結果,「自己主張」から対人ストレッサーの全てのパスが有意ではなかったため,「自己主張」を削除し,再度分析を行った。
まず,分析モデルの適合度を調べた結果,両モデルともGFIは.95以上であった。しかしRMSEAは.35以上の値を示した。
次に自己制御から対人ストレッサーへの影響を検討した結果,自尊心高群では,「持続的対処・根気」から対人ストレッサーのすべての変数で,有意な負のパスが示された。また,「感情・欲求抑制」から対人ストレッサーの全ての変数で正の有意なパスが示された。自尊心低群では,「持続的対処・根気」から「被攻撃」へのパスが有意ではなかったが,その他のパスは有意であった。分析の結果,自尊心高群と同様,「持続的対処・根気」から対人ストレッサーには有意な負のパスが示され,「感情・欲求抑制」から対人ストレッサーには有意な正のパスが示された。なお,Figure 1に分析モデルを示している。
これまでの研究で,自尊心,自己制御,ならびに対人ストレッサーに関する研究は,数多く行われている。そして,これらの研究結果か,多くの知見が得られている。しかし,女子大学生に焦点をあてた研究は数少ない。
そこで,本研究は,自尊心,自己制御,ならびに対人ストレッサーが女子大学生におよぼす影響について検討を行った。
方 法
1.調査対象者
女子大学生および女子短期大学生1年生から4年生の875名を対象に調査を行った。回答に不備があった質問紙を削除した結果,841名を分析対象者とした。なお,対象者の平均年齢は19.59歳(SD: 1.14)であった。
2.調査用紙
(1) 自尊心:自尊心を測定するため,2項目自尊感情尺度(箕浦・成田,2013)を使用した。回答は,「全くあてはまらない」(1点)から,「非常にあてはまる」(5点)の5件法とした。
(2) 自己制御:自己制御を測定するため,社会的自己制御尺度(原田・吉澤・吉田,2008)を使用した。この尺度は,「自己主張」「持続的対処・根気」「感情・欲求抑制」の3下位尺度(計29項目)で構成されている。回答は,「まったくあてはまらない」(1点)から,「よくあてはまる」(5点)の5件法であった。
(3) 対人ストレッサー:対人ストレッサーを測定するため,対人ストレッサー尺度(高橋,2013)を使用した。この尺度は,「被拒否」,「被攻撃」,「加害」,「関係理解不能」の4下位因子(計25項目)で構成されている。回答は,「まったくあてはまらない」(1点)から,「かなりあてはまる」(5点)の5件法であった。
3.実施方法
調査用紙を封筒に入れて,調査対象者に配布をした。実施は集団で行った。
結果および考察
(1) 自尊心の高低群における各変数との違いの検討:まず,自尊心の高低群による各変数との違いを検討するため,自尊心感情得点の0.5SDを基準に高群(353名),中群(203名),低群(285名)に分類した。次に自尊心の3群における各変数(自己制御3変数,対人ストレッサー4変数)の違いを検討するため,分散分析を行った。その結果,全ての変数で群の主効果が認められたため,多重比較(Bonferroni)を行った。その結果,全ての変数で高群と低群で違いが見られた。なお,Table 1に各変数の平均値ならびに標準偏差を示している。
(2) 自尊心の高さが及ぼす自己制御ならびに対人ストレッサーへの影響:自尊心の高さの違いにおける自己制御ならびに対人ストレッサーへの影響を検討するため,パス解析を行った。分析モデルとして,自己制御の3変数から対人ストレッサーの4変数に影響を及ぼすと仮定した。分析の結果,「自己主張」から対人ストレッサーの全てのパスが有意ではなかったため,「自己主張」を削除し,再度分析を行った。
まず,分析モデルの適合度を調べた結果,両モデルともGFIは.95以上であった。しかしRMSEAは.35以上の値を示した。
次に自己制御から対人ストレッサーへの影響を検討した結果,自尊心高群では,「持続的対処・根気」から対人ストレッサーのすべての変数で,有意な負のパスが示された。また,「感情・欲求抑制」から対人ストレッサーの全ての変数で正の有意なパスが示された。自尊心低群では,「持続的対処・根気」から「被攻撃」へのパスが有意ではなかったが,その他のパスは有意であった。分析の結果,自尊心高群と同様,「持続的対処・根気」から対人ストレッサーには有意な負のパスが示され,「感情・欲求抑制」から対人ストレッサーには有意な正のパスが示された。なお,Figure 1に分析モデルを示している。