[PB62] いじめ被害体験から立ち直るために大切なものとは何か?
他者と支援し合う体験の重要性と支えとなる他者の意味
Keywords:いじめ, 被害者, 被害者支援
問 題
いじめ被害の影響は,被害者のその後の人間関係にpositive(建設的,生産的:例:相手の気持ちを考えられるようになった),negative(非建設的,比生産的:例:人間不信になった)という両方の意味合いの影響を及ぼす(中島,2007,2008)。なぜ,いじめ被害体験が,ある人には,positiveに,別の人には,negativeに,影響を及ぼすのか。その違いはどこにあるのか。本研究の目的は,いじめ被害体験者が,被害体験を乗り越え,その後の人間関係にpositiveな影響を及ぼすための要因について検討するとともに,被害体験からの立ち直りを支える他者の意味について考察することである。
手 続
1.対象 女子大学生20名(19~20歳:平均年齢)。質問紙調査(中島,2007,2008)の結果,いじめ被害からpositiveな影響を持ったという内容の回答をした者5名(P群:P1~p5),negativeな影響を受けていると回答した者5名(N群:N1~M5),計10名。いずれの対象者も,研究についての説明を受け,自発的に協力すると申し込んできた者達。
2.方法 (1)半構造化面接。①いじめ被害の有無と影響 ②なぜそのような二つの影響(positive,negative)に分かれるか ③対人関係で,positive,negativeな影響に関係するエピソードがあるか。④どのようなエピソードか (2)面接実施場所と面接期間:関東地方の大学研究室にて20XX年内の1カ月程度実施した。
結 果
Table 1は,女子大学生のいじめ被害の影響とその背景要因とエピソード,他者の関わりについて,語りを分析して,まとめたものである(P1,N1のみ)。P群が,positiveな影響が出た背景要因に,「O(他者)→S(自己)」行動~他者から自己に関わられた行動で,他者について「声をかけてくれて嬉しい」「気持ちを分かってくれる子がいた」と,あなたは一人ではないという「共存」,気持ちを「受容」「共有」「共感」された体験がN群より多かった。また,自分から困っている他者に接して支援的な関わりを通し,他者から「信頼」され,「感謝」される体験をしていた(S→O=P体験)。以上の結果はP2~P5,N2~N5にも通じている。N群では,対人関係での傷つきを回避するあまり,他者から距離を置き,孤立したり,刹那的に周囲に同調・追従し,自発性や主張を抑える傾向が語られた。
考 察
いじめ被害は自己否定しながら「孤立」していき,自尊感情を低め,引き込もりや自殺など重篤な問題に発展する可能性が高い。支援の現場では,被害者と「共存」する姿勢,感情の「共有」「共感」に加え,他者と協力・支援し合い,「敬意」「信頼」「感謝」される体験を持たせることが,被害経験からの立ち直りに,positive=有効に影響していると示唆された。
いじめ被害の影響は,被害者のその後の人間関係にpositive(建設的,生産的:例:相手の気持ちを考えられるようになった),negative(非建設的,比生産的:例:人間不信になった)という両方の意味合いの影響を及ぼす(中島,2007,2008)。なぜ,いじめ被害体験が,ある人には,positiveに,別の人には,negativeに,影響を及ぼすのか。その違いはどこにあるのか。本研究の目的は,いじめ被害体験者が,被害体験を乗り越え,その後の人間関係にpositiveな影響を及ぼすための要因について検討するとともに,被害体験からの立ち直りを支える他者の意味について考察することである。
手 続
1.対象 女子大学生20名(19~20歳:平均年齢)。質問紙調査(中島,2007,2008)の結果,いじめ被害からpositiveな影響を持ったという内容の回答をした者5名(P群:P1~p5),negativeな影響を受けていると回答した者5名(N群:N1~M5),計10名。いずれの対象者も,研究についての説明を受け,自発的に協力すると申し込んできた者達。
2.方法 (1)半構造化面接。①いじめ被害の有無と影響 ②なぜそのような二つの影響(positive,negative)に分かれるか ③対人関係で,positive,negativeな影響に関係するエピソードがあるか。④どのようなエピソードか (2)面接実施場所と面接期間:関東地方の大学研究室にて20XX年内の1カ月程度実施した。
結 果
Table 1は,女子大学生のいじめ被害の影響とその背景要因とエピソード,他者の関わりについて,語りを分析して,まとめたものである(P1,N1のみ)。P群が,positiveな影響が出た背景要因に,「O(他者)→S(自己)」行動~他者から自己に関わられた行動で,他者について「声をかけてくれて嬉しい」「気持ちを分かってくれる子がいた」と,あなたは一人ではないという「共存」,気持ちを「受容」「共有」「共感」された体験がN群より多かった。また,自分から困っている他者に接して支援的な関わりを通し,他者から「信頼」され,「感謝」される体験をしていた(S→O=P体験)。以上の結果はP2~P5,N2~N5にも通じている。N群では,対人関係での傷つきを回避するあまり,他者から距離を置き,孤立したり,刹那的に周囲に同調・追従し,自発性や主張を抑える傾向が語られた。
考 察
いじめ被害は自己否定しながら「孤立」していき,自尊感情を低め,引き込もりや自殺など重篤な問題に発展する可能性が高い。支援の現場では,被害者と「共存」する姿勢,感情の「共有」「共感」に加え,他者と協力・支援し合い,「敬意」「信頼」「感謝」される体験を持たせることが,被害経験からの立ち直りに,positive=有効に影響していると示唆された。