The 58th meeting of the Japanese association of educational psychology

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ポスター発表 PB(65-87)

ポスター発表 PB(65-87)

Sat. Oct 8, 2016 1:00 PM - 3:00 PM 市民ギャラリー (1階市民ギャラリー)

[PB65] 臨床心理士の研修状況と研修必要性の認識

宮前淳子1, 宮前義和2 (1.香川大学, 2.香川大学)

Keywords:臨床心理士, 研修

問題と目的
 臨床心理士が業務を遂行するうえで,継続的な研修は欠かせない。日本臨床心理士会倫理綱領(2009)においても,職能的資質向上のための研鑽の重要性について触れられている。また,田畑他(2005)は,学会や職場で行われる研修会への参加状況を明らかにしている。しかし,どのような研修をどの程度行っているかや,どのような研修が必要であるかといった,具体的な研修内容に踏みこんだ検討は十分に行われていない。
 そこで本研究では,臨床心理士を対象に各種の研修状況と研修必要性の認識について検討することを目的とする。また,臨床心理業務経験年数の長短による研修状況および研修必要性の認識の差異について検討することを目的とする。
方   法
調査協力者 臨床心理士71名(男性12名,女性59名)を対象として質問紙調査を実施した。平均年齢は41.15歳(SD=11.51),臨床心理業務の平均経験年数は11.48年(SD=9.17)であった。
調査内容 (1) 臨床心理業務に関する研修状況:日本臨床心理士会(2009)を参考に,臨床心理面接に関する研修,アセスメントに関する研修など計22項目の研修内容を挙げ,それぞれ「全く研修できていない(1点)」~「じゅうぶん研修できている(4点)」の4件法で回答を求めた。(2)研修必要性の認識:①と同様の22項目に対し,「全く必要でない(1点)」~「とても必要である(4点)」の4件法で回答を求めた。
結果と考察
経験年数別にみた研修状況
 分析に先立ち,臨床心理業務の経験年数によって調査協力者を10年未満群(N=40)と10年以上群(N=31)の2群に分類した。次に,群ごとに臨床心理業務に関する各研修状況の平均値を算出した。その結果,勤務領域で求められる事項に関する研修や事例研究に関する研修では,両群ともに他の研修に比べて相対的に平均値が高いことが分かった。次に,経験年数による研修状況の違いについて検討するため,t検定を行った。その結果,倫理についての研修や地域援助に関する研修など12項目において有意な差がみられ,いずれにおいても10年以上群の平均値が高いことが明らかとなった(Table 1)。
経験年数別にみた研修の必要性の認識
 10年未満群と10年以上群の各研修に関する必要性の認識について,それぞれ平均値を算出した。その結果,勤務領域で求められる事項に関する研修や,事例研究に関する研修について,両群共通に他の研修に比べて必要性が高いと認識されていることが明らかとなった。次に,経験年数による研修必要性の認識の違いについて検討するため,t検定を行った。その結果,すべての項目において有意な差はみられなかった。今後は,臨床心理士の就業状態や主要な業務内容などをふまえた検討が必要であると思われる。