[PB68] 障害者に対する大学生の受容的態度に関する基礎研究3
Keywords:障害者, 態度, 大学生
問題と目的
障害者に対する態度を改善するためには,まずその正しい現状を知る必要がある。つまり障害者に対する態度の特徴を知ることであるが,従来の調査による回答には二つの問題点があった。一つはただ障害者に対する態度(以後対障害者と略)のみを質問したことであり,対照群としての健常者に対する態度(以後対健常者)を聞いていなかったことである。
次に結果の安定性(信頼性)が不明なことである。再検査信頼性がほとんどの研究で示されていなかった。特に態度については,先行研究により対象に関する知識の程度や接触経験などにより左右されるといわれ,必ずしも一度の回答で充分であるとは言えない面がある。
これらの2点の問題点について配慮しつつ数年来検討してきた(豊村(2015)他),が今回新たに多少項目内容を修正した結果が得られたので,それらについて報告する。先行研究に従い,リッカート尺度とコンジョイント分析用尺度の2種類を使用したが,今回は主として後者の結果について報告する。
方 法
被験者:欠損値がある等で不適切な回答を除き,最終的な被験者は1年男子12名女子39名,2年男子9名女子14名の74名であった。一週後に同様の調査を実施したが,その人数は男子8名女子19名,合計で27名であった。
手続き:大学の講義の時間に質問紙を配布,その場で回答させ回収した。
質問紙:(1)性別,学籍番号,学年,年齢の基本属性,(2)予備的調査で作成したリッカート尺度23項目から因子を考慮して選抜した7段階12項目×2(対障害者,対健常者),(3)コンジョィント分析用尺度(全概念尺度)7段階11項目×2(同上),(4)記入時に想起した障害(障害者について評定をしたときにイメージしていた障害を,精神障害,知的障害,身体障害,障害全般,その他の5項目から1つ選択),(5)障害者との接触に関する内容(経験,自発性,内容,今後の接触に関する意欲)であった。
リッカート尺度は先行研究で作成した23項目から,4因子(「人当たり」,「人付き合い」,「社会適応力」,「見た目」)12項目を取り出し,それらの因子の項目の合計値を因子得点とした。コンジョイント尺度は,これらの因子と内容が対応するように設定されていた。
なお,調査実施の際に,参加は任意であること,得られた結果は研究の目的以外で使用されないこと,個人のデータが開示されることはないことを説明した。また質問項目には研究目的で使用して「良い/いけない」のチェック欄を用意した。「いけない」にチェックしたものはいなかった。
結果と考察
対健常者と対障害者の全データから得られた相対重要度の結果を表1に示す。
この結果より,対健常者,対障害者ともに「人当たり」が最重要であるが,対健常者においては,「人付き合い」が,対障害者においては,「社会適応力」が二番目に重要であるという結果になった。「見た目」は最下位であった。
表2に回数別対象別全被験者の相対重要度を示す。1回目は表1の全員のデータのサブセット(2回目も回答した被験者のみの結果)である。
2回目は1週後に再度同じ被験者に回答させた結果である。2回目は対健常者では「社会適応力」が増加,「人付き合い」が減少,対障害者では「人当たり」が増え「見た目」が減少し,対健常者と対障害者の重要度の順位が同じくなった。すなわち,これら2者が同じような値を示すようになるよう変化する可能性を示した。
障害者に対する態度を改善するためには,まずその正しい現状を知る必要がある。つまり障害者に対する態度の特徴を知ることであるが,従来の調査による回答には二つの問題点があった。一つはただ障害者に対する態度(以後対障害者と略)のみを質問したことであり,対照群としての健常者に対する態度(以後対健常者)を聞いていなかったことである。
次に結果の安定性(信頼性)が不明なことである。再検査信頼性がほとんどの研究で示されていなかった。特に態度については,先行研究により対象に関する知識の程度や接触経験などにより左右されるといわれ,必ずしも一度の回答で充分であるとは言えない面がある。
これらの2点の問題点について配慮しつつ数年来検討してきた(豊村(2015)他),が今回新たに多少項目内容を修正した結果が得られたので,それらについて報告する。先行研究に従い,リッカート尺度とコンジョイント分析用尺度の2種類を使用したが,今回は主として後者の結果について報告する。
方 法
被験者:欠損値がある等で不適切な回答を除き,最終的な被験者は1年男子12名女子39名,2年男子9名女子14名の74名であった。一週後に同様の調査を実施したが,その人数は男子8名女子19名,合計で27名であった。
手続き:大学の講義の時間に質問紙を配布,その場で回答させ回収した。
質問紙:(1)性別,学籍番号,学年,年齢の基本属性,(2)予備的調査で作成したリッカート尺度23項目から因子を考慮して選抜した7段階12項目×2(対障害者,対健常者),(3)コンジョィント分析用尺度(全概念尺度)7段階11項目×2(同上),(4)記入時に想起した障害(障害者について評定をしたときにイメージしていた障害を,精神障害,知的障害,身体障害,障害全般,その他の5項目から1つ選択),(5)障害者との接触に関する内容(経験,自発性,内容,今後の接触に関する意欲)であった。
リッカート尺度は先行研究で作成した23項目から,4因子(「人当たり」,「人付き合い」,「社会適応力」,「見た目」)12項目を取り出し,それらの因子の項目の合計値を因子得点とした。コンジョイント尺度は,これらの因子と内容が対応するように設定されていた。
なお,調査実施の際に,参加は任意であること,得られた結果は研究の目的以外で使用されないこと,個人のデータが開示されることはないことを説明した。また質問項目には研究目的で使用して「良い/いけない」のチェック欄を用意した。「いけない」にチェックしたものはいなかった。
結果と考察
対健常者と対障害者の全データから得られた相対重要度の結果を表1に示す。
この結果より,対健常者,対障害者ともに「人当たり」が最重要であるが,対健常者においては,「人付き合い」が,対障害者においては,「社会適応力」が二番目に重要であるという結果になった。「見た目」は最下位であった。
表2に回数別対象別全被験者の相対重要度を示す。1回目は表1の全員のデータのサブセット(2回目も回答した被験者のみの結果)である。
2回目は1週後に再度同じ被験者に回答させた結果である。2回目は対健常者では「社会適応力」が増加,「人付き合い」が減少,対障害者では「人当たり」が増え「見た目」が減少し,対健常者と対障害者の重要度の順位が同じくなった。すなわち,これら2者が同じような値を示すようになるよう変化する可能性を示した。