The 58th meeting of the Japanese association of educational psychology

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ポスター発表 PB(65-87)

ポスター発表 PB(65-87)

Sat. Oct 8, 2016 1:00 PM - 3:00 PM 市民ギャラリー (1階市民ギャラリー)

[PB84] 授業アンケート結果に対する教員の受け止めと課題

テキストマイニングを使った分析

北村瑞穂1, 鍛治谷静#2, 榊原和子#3 (1.四條畷学園短期大学, 2.四條畷学園短期大学, 3.四條畷学園短期大学)

Keywords:class evaluation questionnaire, text mining, Faculty Development

 四條畷学園短期大学FD委員会では,授業アンケートの結果を授業担当者に返し,来年度の改善点を踏まえた自己点検報告書の作成を求めてきた。今回,過去4年分の自己点検報告書をKH Coderによるテキストマイニングの手法を用い,客観的な分析を試みた。教員が授業アンケート結果をどのように受け止めたかを,学生による授業評価が高い授業と低い授業とで比較した。
方   法
調査対象科目 2012年度から2014年度の4年間の四條畷学園短期大学の科目である。
調査時期 2012年度から2014年度の学期末。
手続き 学生向けの授業アンケートは,自由記述式アンケートとWeb方式アンケートを実施した。自由記述はアンケート実施日に担当教員が持ち帰った。Web方式アンケートはFD委員会が集計し,当該授業の授業評価得点と授業評価得点の学内平均値を授業担当者にフィードバックした。その際,担当授業の授業評価得点を学内平均値と比較して自己点検報告書を作成するよう依頼した。
自己点検報告書の調査項目 「1.学生による授業評価調査の集計結果について」,「2.学生の自由記述の内容について」,「3.1と2の結果より今後の改善点について」の3項目である。
結果と考察
 回収できた自己点検報告書は科目数にして,のべ1411件,文の総数は2044文であった。
授業評価の高さ別自己点検報告書の比較 各時期の授業アンケートの学内平均値をもとに,総合評価が学内平均より高かった授業858件と低かった授業553件に分け,教員の自己点検報告書を分析した。「1.学生による授業評価調査の集計結果について」は,授業評価高群は“上回る”,“良い”,“頂く”の出現回数が多く,反対に授業評価低群は“下回る”,“低い”の出現回数が多かった。
 「2.学生の自由記述の内容について」で抽出された頻出語(上位20語)がTable 1である。なお,両群で異なる頻出語には*を付けた。授業評価高群の自己点検報告書では,“実習”,“授業内容”,“良い”,“自分”の出現回数が多かった。教員は,学生が実習系の授業に好意的だったことや,自分自身のためになったと書いていることを報告している。つまり評価の高い授業は学生の実習への取り組みや自己関与の強さが特徴的であった。授業評価低群は“プリント”,“板書”,“書く”の出現回数が多かった。教員は,学生は書くことへの抵抗があること,穴埋め式のプリントを求めていることなどを報告していた。さらに,授業評価高群では“感想”,“コメント”のニュートラルな意味の語の出現回数が多いのに対し,授業評価低群は“指摘”が多く,ネガティブで具体的な意見を学生から受けていた。「3.1と2の結果より今後の改善点について」では,“授業”,“学生”,“内容”,“工夫”,“思う”,“必要”が,授業評価高群も低群も出現回数が多く,どちらの群も授業への工夫の必要性を感じていることが明らかになった。