[PC57] 新設四年制大学における学生生活とキャリア発達およびメンタルヘルスとの関連(5)
Keywords:キャリア発達, メンタルヘルス, 新設大学
問題と目的
高澤・播磨(2015)では新設大学における創設1期生である大学4年生を対象として,上級生というモデルがいない状況における大学生の学業や大学生活への意識およびメンタルヘルスの問題と,キャリアに関する意識や行動の発達との関連について検討した。その結果,先輩がいないという状況が学生生活の充実度がキャリア発達やメンタルヘルスに及ぼす影響は1年時や2年時,3年時に比べて減少するものの,大学生活の充実度にマイナスに影響を及ぼすと考える学生ではアイデンティティの確立や,課題・目的の存在が低いという傾向から,目的の設定などについて継続的な支援が必要であることが示された。
本研究では新設大学の2期生における4年目の調査から,1期生4年時と比較を行うことで,学生生活への充実とメンタルヘルスの問題と,キャリアに関する意識や行動の発達との関連を検討することを目的とする。
方 法
調査協力者:中国地方の新設四年制大学に所属する2期生にあたる4年生91名であった(男34名,女57名)。平均年齢は21.8歳,標準偏差は0.52であった。
調査法:質問紙調査で2015年11月から12月に無記名で実施した。
質問紙:調査用紙は性別,年齢,居住形態,出身地域とともに大学選択理由,新設大学であることの大学選択への影響,新設大学であることの現在の学生生活への影響,新設大学であることの今後の進路への影響を尋ねる項目,加えてキャリア探索尺度(安達, 2008)(5件法),多次元自我同一性尺度(谷, 2001)(7件法),青年用適応感尺度(大久保, 2005)(5件法)他から構成された。
結果と考察
新設大学であることが大学生活の充実度に影響しているかについて「プラス」と答えた者が12名(13.2%),「影響なし」が52名(57.1%),「マイナス」が27名(29.7%)であり,1期生よりも「影響なし」と回答したものが多くなった。
次に大学生活の充実度への影響を独立変数として,キャリア探索やアイデンティティ,適応感の各尺度との関連を一元配置分散分析で検討した。
キャリア探索との関連では,環境探索因子において,プラスと考える者が影響なしと考える者よりも有意に高かった(F(2,88)=4.68, p<.05)が,自己探索因子において有意差は見られなかった(表1)。
アイデンティティ,適応感,日常スキルの各尺度との関連においては,有意差が見られた因子はなかった(表2,3,4)。
以上の結果から,先輩がいなかった1期生とは異なり,先輩がいる2期生においては新設大学であることが学生生活の充実度にはあまり影響しないことが明らかにされた。その充実度について,新設大学であることを強みに思う学生は自らのキャリアについて周囲を探索する意識が高いことから,自分がおかれている環境の認識が重要であることが示された。
高澤・播磨(2015)では新設大学における創設1期生である大学4年生を対象として,上級生というモデルがいない状況における大学生の学業や大学生活への意識およびメンタルヘルスの問題と,キャリアに関する意識や行動の発達との関連について検討した。その結果,先輩がいないという状況が学生生活の充実度がキャリア発達やメンタルヘルスに及ぼす影響は1年時や2年時,3年時に比べて減少するものの,大学生活の充実度にマイナスに影響を及ぼすと考える学生ではアイデンティティの確立や,課題・目的の存在が低いという傾向から,目的の設定などについて継続的な支援が必要であることが示された。
本研究では新設大学の2期生における4年目の調査から,1期生4年時と比較を行うことで,学生生活への充実とメンタルヘルスの問題と,キャリアに関する意識や行動の発達との関連を検討することを目的とする。
方 法
調査協力者:中国地方の新設四年制大学に所属する2期生にあたる4年生91名であった(男34名,女57名)。平均年齢は21.8歳,標準偏差は0.52であった。
調査法:質問紙調査で2015年11月から12月に無記名で実施した。
質問紙:調査用紙は性別,年齢,居住形態,出身地域とともに大学選択理由,新設大学であることの大学選択への影響,新設大学であることの現在の学生生活への影響,新設大学であることの今後の進路への影響を尋ねる項目,加えてキャリア探索尺度(安達, 2008)(5件法),多次元自我同一性尺度(谷, 2001)(7件法),青年用適応感尺度(大久保, 2005)(5件法)他から構成された。
結果と考察
新設大学であることが大学生活の充実度に影響しているかについて「プラス」と答えた者が12名(13.2%),「影響なし」が52名(57.1%),「マイナス」が27名(29.7%)であり,1期生よりも「影響なし」と回答したものが多くなった。
次に大学生活の充実度への影響を独立変数として,キャリア探索やアイデンティティ,適応感の各尺度との関連を一元配置分散分析で検討した。
キャリア探索との関連では,環境探索因子において,プラスと考える者が影響なしと考える者よりも有意に高かった(F(2,88)=4.68, p<.05)が,自己探索因子において有意差は見られなかった(表1)。
アイデンティティ,適応感,日常スキルの各尺度との関連においては,有意差が見られた因子はなかった(表2,3,4)。
以上の結果から,先輩がいなかった1期生とは異なり,先輩がいる2期生においては新設大学であることが学生生活の充実度にはあまり影響しないことが明らかにされた。その充実度について,新設大学であることを強みに思う学生は自らのキャリアについて周囲を探索する意識が高いことから,自分がおかれている環境の認識が重要であることが示された。