[PC58] 中学生の英語のテスト不安および自己効力感と学習行動との関連
キーワード:テスト不安, 自己効力感, 先延ばし
テスト不安に関する多くの研究では,パフォーマンスや学習方略の適切さにネガティブな影響があることが示唆されている。一方,不安が動機づけとしてポジティブな機能を持つことも指摘されている(例えば,藤井,1995)。不安動因説に基づけば,テスト不安と自己効力感の高さは,その組み合わせによって学習行動に異なる影響を及ぼす可能性がある。自己効力感が高く,テスト不安が高い者は多くの対処方略を考えてテストに臨むであろうし,学習行動も多くなるだろう。自己効力感が低く,テスト不安が高い者は,これまでに不安の低減に効果的であった学習行動の回避や,先延ばしなどの対処行動をとりやすいと予測される。そこで本研究では英語のテスト不安と学習行動の関連が,自己効力感によって異なるかを検討した。
方 法
調査対象者 山口県の中学校に通う1-3年生290名を対象とした。
調査時期・方法 一斉調査による質問紙調査を行った。調査時期は平成27年11月から12月であった。調査は2回に分けて実施した。第1回調査は定期テストの約2週間前,第2回調査は定期テスト終了直後に実施した。
質問紙の内容 第1回調査時の質問紙は3つのセクションから構成されていた。(1) テスト不安尺度。坂野(1988)の用いたTAS邦訳版を使用した。16項目5件法。(2) 英語の自己効力感尺度。森(2004)の英語に対する自己効力感尺度を改変した。9項目5件法。(3) 普段の学習時間。1日あたりの英語学習時間を分単位で回答させた。
第2回調査時の質問紙は2つのセクションから構成されていた。(1) 学業的延引行動尺度。龍・小川内・橋元(2006)の用いた学業的延引行動尺度を使用した10項目5件法。(2) テスト前の学習時間。
結果と考察
テスト不安の高さによって,調査対象者の上位1/3を高群,下位1/3を低群とし,残りを中群とした。自己効力感についても同様に,高・中・低群の3群に分けた。これらを組み合わせ,9群が形成された。
各群のテスト前の学習時間の平均値をFig.1に示す。2要因分散分析を行ったところ,テスト不安の主効果が有意であり,不安高群において他の2群より学習時間が長かった。自己効力感の主効果は有意傾向であったが,多重比較において有意差は認められなかった。交互作用も有意傾向であった。下位検定の結果,自己効力感中群では,不安低群より高群の学習時間が長かった。自己効力感高群では,不安高群において他の2群より学習時間が長かった。この結果は予測と一致しており,自己効力感が高い者は,テスト不安が高い場合に,学習行動を多くとるという対処行動をとりやすいことが示唆された。
各群の学業的延引行動得点の平均値をFig.2に示す。テスト不安の主効果は有意ではなかった。自己効力感の主効果は有意であり,低群の得点が最も高く,次いで中群,高群の順であった。交互作用は有意傾向であった。下位検定の結果,自己効力感低群では,不安高群において不安中群より学業的延引行動得点が高かった。この結果は予測とおおむね一致しており,自己効力感が低い者は,テスト不安が高い場合に,先延ばし行動をとりやすいことが示唆された。
方 法
調査対象者 山口県の中学校に通う1-3年生290名を対象とした。
調査時期・方法 一斉調査による質問紙調査を行った。調査時期は平成27年11月から12月であった。調査は2回に分けて実施した。第1回調査は定期テストの約2週間前,第2回調査は定期テスト終了直後に実施した。
質問紙の内容 第1回調査時の質問紙は3つのセクションから構成されていた。(1) テスト不安尺度。坂野(1988)の用いたTAS邦訳版を使用した。16項目5件法。(2) 英語の自己効力感尺度。森(2004)の英語に対する自己効力感尺度を改変した。9項目5件法。(3) 普段の学習時間。1日あたりの英語学習時間を分単位で回答させた。
第2回調査時の質問紙は2つのセクションから構成されていた。(1) 学業的延引行動尺度。龍・小川内・橋元(2006)の用いた学業的延引行動尺度を使用した10項目5件法。(2) テスト前の学習時間。
結果と考察
テスト不安の高さによって,調査対象者の上位1/3を高群,下位1/3を低群とし,残りを中群とした。自己効力感についても同様に,高・中・低群の3群に分けた。これらを組み合わせ,9群が形成された。
各群のテスト前の学習時間の平均値をFig.1に示す。2要因分散分析を行ったところ,テスト不安の主効果が有意であり,不安高群において他の2群より学習時間が長かった。自己効力感の主効果は有意傾向であったが,多重比較において有意差は認められなかった。交互作用も有意傾向であった。下位検定の結果,自己効力感中群では,不安低群より高群の学習時間が長かった。自己効力感高群では,不安高群において他の2群より学習時間が長かった。この結果は予測と一致しており,自己効力感が高い者は,テスト不安が高い場合に,学習行動を多くとるという対処行動をとりやすいことが示唆された。
各群の学業的延引行動得点の平均値をFig.2に示す。テスト不安の主効果は有意ではなかった。自己効力感の主効果は有意であり,低群の得点が最も高く,次いで中群,高群の順であった。交互作用は有意傾向であった。下位検定の結果,自己効力感低群では,不安高群において不安中群より学業的延引行動得点が高かった。この結果は予測とおおむね一致しており,自己効力感が低い者は,テスト不安が高い場合に,先延ばし行動をとりやすいことが示唆された。